サクラバクシンオーが直線1000mに与える影響
人気の5歳牝馬
ベルカント(父サクラバクシンオー)には、大きな強みがある。
まず、昨年は新潟の直線1000mに挑戦したのは初めてだった。初コンビとなったM.デムーロが騎乗し、好スタートから「12秒1-10秒0-10秒4-10秒1-11秒5」=54秒1。ムキになって飛ばすこともなく、緩急(強弱)のバランス抜群。いきなり直線1000mの理想のモデルパターンのような中身で、カルストンライトオの日本レコード「53秒7」と0秒4差だった。今年はそのデムーロ騎手と2度目。一週前の追い切りで後半2ハロンを「23秒2-11秒6」でまとめるなど、追ってからパンチアップしている。54秒1の記録を短縮する可能性が高い。
日本を代表する快速父系サクラバクシンオー(父サクラユタカオー)の、この直線1000mに与える影響は素晴らしく、カノヤザクラの2連勝など、過去10年でこの父系の血を持つ馬が馬券に関係(3着以内)しなかったことは、たった2回しかない。サンデー系や、キングマンボ系のことではなく、いまは主流血脈ではないテスコボーイ系の活躍だから驚く。昨年など、ベルカントだけでなく、2着シンボリディスコ(母の父サクラバクシンオー)、2年連続の3着
アースソニック(母の父サクラユタカオー)までみんなこの父系が関係していた。
サクラバクシンオーの父系は快速スピード系として存続してきたが、最大の特徴は代を経てもスピード能力を失わないこと。テスコボーイ、サクラユタカオーは必ずしも母方に入って強い影響を与えたともいえないが、サクラバクシンオーは母の父にノーザンテーストを得て、母の父としてもランキング急上昇。キタサンブラック、ハクサンムーン、さらにモンドキャンノの母の父にも登場する。ベルカントも、きょう(日曜)の小倉11Rのマルヨバクシンも、期待の繁殖牝馬となること必至である。
サクラバクシンオー産駒は早熟のスピード系ではない。古馬になって大きく成長するのである。現在は、ショウナンカンプ、昨年から種牡馬となったグランプリボスがバクシンオーの後継種牡馬の筆頭だが、やがては今春の高松宮記念をレコードで制したビッグアーサー(母の父キングマンボ)も種牡馬入りするはずであり、もっとも長く存続するサイアーラインの日本記録を、さらに伸ばして存続することになるだろう。
新潟直線1000mは、オープンになると完全なスピード能力の時計勝負。最低でも54秒台前半で乗り切らないと争覇圏に入れない。該当する記録を持つ
プリンセスムーン、
ネロは当然有力。大穴は1000mが意外に合う可能性がある
ヤマニンプチガトーか。