伝統の主演か、助演の主演昇格か、ちょい役の助演昇格か。
今年の1人気は大丈夫だろうと思ったけど、ソウルスターリングは3着に負けてしまった。
20年ぶりの良馬場以外の馬場(稍重だと22年ぶり)で、それがソウルスターリングの走りに影響を与えたのかもしれないけれど、単1.4倍でも安心できない桜花賞のハードルの高さを改めて感じたりもした(詳細は先週のコラムにて)。
前日最終オッズでは1.1倍だった。前日に数千万単位、数百万単位の単勝投票があったがゆえの1.1倍かもしれないけれど、当日、良馬場になっていたら、安心の数値「1.2倍」をキープできていたのか? そこは興味深い。
ちなみに競馬王5月号で「正しい異常投票と間違った異常投票」を執筆したオッズマスターの大谷清文さんによると、ソウルスターリングの前日の大量投票は間違った異常投票に属するそうだ。むしろ複勝の1.1-1.1倍の方が安心の数値で、1000万単位で馬券を買えるのなら、単1.4倍ではなく、複1.1倍に投票するのが正しかったようだ。ふむふむ。1000万あるときは…って、ないよ! あっても自分には無理!買う度胸なんてない! でも3連系の軸の参考にはなるな……。興味のある方は競馬王5月号をお読みください。簡単な見極め方が載ってます。
理由はどうであれ、桜花賞は世代最強とも唄われたソウルスターリングが取りこぼしてしまった。では、レベル的に疑問符を投げかけられている牡馬の皐月賞はどうなんだろう?
荒れた皐月賞といえば、7人気ヴィクトリー、15人気サンツェッペリンで決まった10年前(07年)のレースが思い出せるけど、そういう結末を期待していいのだろうか? 人気馬が後方に控えて、逃げたヴィクトリーと番手のサンツェッペリンで決まってしまった10年前のレースだ。
今年にあてはめれば、アダムバローズが逃げて、クリンチャーが番手を進み、カデナ、スワーヴリチャード、ペルシアンナイト、レイデオロらが全馬控えちゃうみたいな、そんな感じか? 先行と思われたファンディーナが中団後方くらいに待機したりしたら、みんな動けずに………。
いやいや、逃げそうな馬は、その2頭だけでなく、マイスタイルだっている。アメリカズカップ、アルアインだって、2、3番手を取りに来るかもしれない。だいいち、スローの行った行った競馬を横山の典さんが許すわけがない。
仮にレベルは低かったとしても、低い中にも強弱のヒエラルキーは存在しているから、大荒れを期待しすぎるのはそれはそれで違うのではないか?
とりあえず冷静に過去の勝ち馬の傾向や今年の前哨戦などを眺めてみると…
やっぱりカデナ……、もしくはスワーヴリチャード
が主演なんじゃないかと思う。
でもなんだろう? なんかモヤモヤしたものも感じる。
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カデナ……か、スワーヴリチャードか。
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皐月賞の1着馬は、前走、主演候補レースを1人気で1着してる馬が多い。ここでいう主演候補レースとは、弥生賞・スプリングS・共同通信杯の3レースのことで、10年で5勝している。
5勝というと、少なく感じるけれど、10年で6回該当する1人気1着馬がいて、その内5年で1着してるから、信頼性はそれなりにある。それ以外の4年は主演候補3レースで1人気馬が1着できなかった年でもある。
今年の主演候補レースで、1人気で1着した馬は弥生賞のカデナのみ。だから必然的にカデナとなるわけだ。
以下は過去5年の主演候補レースの1人気馬と皐月賞を勝った馬の成績だ。レース名の前に○がついてるのは1人気馬が勝ったレースで、×は負けたレース。○がついてると皐月賞でも勝ち負けしてるのがわかる。そして、オール×のときは共同通信杯連対馬が頑張っているのもわかる。
16年
×共同通信杯1人気9着(ハートレー)皐月賞未出走
×弥生賞1人気2着(リオンディーズ)皐月賞2人気5着
×スプリングS1人気3着(ロードクエスト)皐月賞5人気8着
皐月賞 1着ディーマジェスティ 8人気 前走共同通信杯6人気1着
15年
×共同通信杯1人気2着(ドゥラメンテ) 皐月賞3人気1着
×弥生賞1人気7着(シャイニングレイ) 皐月賞未出走
×スプリングS1人気2着(リアルスティール) 皐月賞2人気2着
皐月賞 1着ドゥラメンテ 3人気 前走共同通信杯1人気2着
14年
○共同通信杯1人気1着(イスラボニータ) 皐月賞2人気1着
○弥生賞1人気1着(トゥザワールド) 皐月賞1人気2着
×スプリングS1人気2着(アジアエクスプレス)皐月賞5人気6着
皐月賞 ○1着イスラボニータ 2人気
○2着トゥザワールド 1人気
13年
×共同通信杯1人気4着(ラウンドワールド) 皐月賞未出走
×弥生賞1人気4着(エピファネイア) 皐月賞2人気2着
○スプリングS1人気1着(ロゴタイプ) 皐月賞1人気1着
皐月賞 ○1着ロゴタイプ
12年
×共同通信杯1人気2着(ディープブリランテ) 皐月賞3人気3着
×弥生賞1人気8着(アダムスピーク) 皐月賞5人気18着
×スプリングS1人気2着(ディープブリランテ) 皐月賞3人気3着
皐月賞 1着ゴールドシップ 4人気 前走共同通信杯2人気1着
○馬が最優先で、○馬がいないときは×馬含めて、ここ5年は共同通信杯で1、2着してる馬が強いことがわかる。
その向こうの5年は簡略化して掲載。
11年
×共同通信杯
○弥生賞(サダムパテック)
○スプリングS(オルフェーヴル)
皐月賞 ○1着オルフェーヴル 4人気
○2着サダムパテック 1人気
10年
×共同通信杯
○弥生賞(ヴィクトワールピサ)
×スプリングS
皐月賞 ○1着ヴィクトワールピサ 1人気
09年
○共同通信杯(ブレイクランアウト) 皐月賞未出走
○弥生賞(ロジユニヴァース)
○スプリングS(アンライバルド)
皐月賞 ○1着アンライバルド 3人気
(○ロジユニヴァースは1人気14着)
08年
×共同通信杯
×弥生賞
×スプリングS
皐月賞 1着キャプテントゥーレ 前走弥生賞5人気4着
07年
○共同通信杯(フサイチホウオー)
○弥生賞(アドマイヤオーラ)
○スプリングS(フライングアップル)
皐月賞 1着ヴィクトリー 前走若葉S1人気1着
(○フサイチホウオー 2人気3着)
(○アドマイヤオーラ 1人気4着)
(○フライングアップル8人気12着)
主演候補レースを1人気で1着した馬がいて、その中から皐月賞1着馬が出現しなかった年はこの10年で1度きり。それが07年だった。フサイチホウオーは後方から進んで、逃げた1着馬と番手の2着馬をハナ+ハナ、捕えきれずの3着だった。
1着したのは第4の主要レースの若葉Sを1人気1着していたヴィクトリーだった。
共同通信杯、弥生賞、スプリングSを1人気で1着して、皐月賞に臨むのは簡単そうで、難しく、でもそういう臨戦の馬はそれなりに信頼できることもわかる。
で、今年。
17年
×共同通信杯 1人気ムーヴザワールド3着 皐月賞未出走
○弥生賞 1人気カデナ1着
×スプリングS 1人気サトノアレス4着
&
若葉S 1人気インヴィクタ3着 皐月賞未出走
○馬はカデナのみ!
○1頭のパターンは10年のヴィクトワールピサの勝った年と、13年のロゴタイプの勝った年と同じだ。ヴィクトワールピサは主戦だった武豊騎手が騎乗できず、岩田騎手に騎手変更されたが、皐月賞を1着した。ロゴタイプはスプリングSをCデムーロ、皐月賞をMデムーロで1着した。
福永騎手はカデナで3戦連続騎乗。そういう意味では万全だ。だからカデナで間違いない!
はずなんだけど、なんでだろう? どうしてもモヤモヤが残る。
弥生賞のタイム2:03:2は良馬場では過去20年で1番遅かった。スローだから弱い、ハイペースだから強いと決めつけられないけど、ミドルペース、ハイペースのときにも同じように1着できるのかは未知で、そこがモヤモヤの原因か?
ちなみに2走前に1着した京都2歳Sもスローペースだった。3走前に2着した百日草特別もスローだった。4走前に1着した未勝利も、5走前に2着した新馬もスローだった。
上がりは5戦すべてで1位だから、強さを否定するもんではないけれど、一抹の不安は残る。道悪は未経験なのに上手いと思われたソウルスターリングの出来事もあるからか、余計にそう思う。
こういう場合は、共同通信杯を大事すればいい。
大事にすべきはもちろん共同通信杯を2人気で1着したスワーヴリチャード。
ここ5年、共同通信杯から直行した共同通信杯最先着馬・4頭はみんな1着している(共同通信杯を1着して勝てなかったメイケイペガスターとリアルスティールは一戦挟んで皐月賞に向かった)。
カデナが心配ならスワーヴリチャード。この2択でいいように思える。
ただまだなんかモヤモヤする。なぜだろう?
もしかしてもしかすると、ファンディーナの参戦が気になってしょうがないのか?
ファンディーナ フラワーC1人気1着
ペルシアンナイト アーリントンC1人気1着
レイデオロ ホープフルS1人気1着
コマノインパルス 京成杯1人気1着
いや、ファンディーナだけでなく、今年はいつもとは少し違って、皐月賞の王道の前哨戦ではなく、別の重賞を1人気1着してる馬が多いのが気になっているのかもしれない。
別路線バイプレイヤーみたいな馬が多い。
しかもバイプレイヤーなのは臨戦だけで、大物の可能性も感じさせる。そこがやっかいだ。
ファンディーナは先行して上がり1位で3連勝。フラワーCの勝ちっぷりは圧巻で、とてつもなくすごい馬かもしれない(でも、ただの錯覚かもしれない。牝馬が中山2000を勝つのは、東京2400を勝つより難しいような気がするからだ。ダービーとジャパンカップを見てるとそう感じる)。
ペルシアンナイトは池江厩舎なのに、前走きさらぎ賞じゃなくて、アーリントンC。それだけで珍しい。きさらぎ賞には厩舎期待のサトノアーサーがいたから、アーリントンCに回ったのかもしれないけれど、シンザン記念・アーリントンCともにMデムーロを配置させていたということは、単なる池江厩舎内バイプレイヤーでもないはず。Mデムーロで助演から主演に躍り出るか(でも本当に池江厩舎内バイプレイヤーかもしれないし、NHKマイルのための出走かもしれない)。
レイデオロはホープフルSを1人気で1着し3連勝を決めたのだから、それなりの逸材のはずだ。底を見せていないという点ではファンディーナといっしょだ(でも、なぜ、ぶっつけなのかはよくわからない。藤沢和厩舎だし、あくまでもダービーを勝つためのローテで、皐月賞は捨てているのかもしれない)。
コマノインパルスは田辺が乗らないので、ここではパス。
とにかく、今年は、ものすごく強いかもしれないし、そうでもないかもしれない馬が多く、それが牡馬のヒエラルキーをややこしくしてるように思える。
基本に忠実に、カデナかスワーヴリチャードに立ち返るか、未知なるバイプレイヤーズの主演昇格に期待するか、1着探しは放棄して、2着か3着してくれそうな穴を狙うか? さて、どこに身を寄せようかな?
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皐月賞注目馬
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結局、2着か3着してくれそうというより、3着か4着、願わくば3着してくれないか、そんな、助演を目指すちょい役のところに行ってしまった。
コマノインパルス 裏・田辺
プラチナヴォイス 間接・裏・田辺
(アウトライアーズ 表・田辺)
田辺がアウトライアーズを選んだのだろうから、素直にアウトライアーズに行けばいいんだろうけど、自分はまだコマノインパルスに未練がある。
田辺のアウトライアーズにスプリングSで負けたのだから、素直にアウトライアーズに行けばいいんだろうけど、自分はまだプラチナヴォイスに未練がある。
要するに、表・田辺がアウトライアーズならば、裏・田辺が自分にはコマノインパルスであり、間接・裏・田辺が自分にはプラチナヴォイスだったりする。京成杯・弥生賞、スプリングSで狙ったからという理由はあるけど、それだけが理由でもない。
この2頭は、前哨戦でソンな立ち回りをしていたようにも感じるのだ。
コマノインパルスは、スローペースに辛抱たまらんと向正面で動いた。
11-10-4-4
カデナの後ろにいたはずなのに、いつの間にかカデナの前に出てしまい、カデナに目標とされてしまった。「コマノを目標にした」と福永騎手のコメントにもあった。
こんどは向正面で動くことはないだろう。じっくりと回ってのはまり待ち。そんな競馬に徹するのではないか? 皐月賞はときどき後方にいる馬が間に合うときがある。
勝ちに行かない競馬で3着。夢の見すぎか? やっぱり素直に田辺に行くべきか?
プラチナヴォイスも前走で早く動きすぎたように感じた。
7-7-7-2
3角からマクっていき、直線に向いて、先頭に立ったけれど、3角まで同じような位置にいた、
8-8-8-6 のウインブライト
9-8-8-6 のアウトライアーズ
に差されてしまった。
結果的にこの馬もまた目標にされてしまった。
「プラチナヴォイスの手応えがよさそうなので、あの馬を目標にした」と松岡騎手もコメントしていた。
プラチナヴォイスは、スプリングSのコラムでも触れたけど、ここ数戦まともに走っていない。3走前は直線で不利があって6着、2走前は最内にいて、なお内ラチに刺さりまくって、まともに追えず4着だった。
前走は、ブリンカーを着けるということもあり、まともに走るんじゃないかと思い期待したけど、それでも直線では外から内に切れ込んでいった。6人気で3着なら悪くないけれど、まだまっとうに走れていなかった。
今回は、前で頑張れそうなクリンチャーやアダムバローズやアメリカズカップらがいるから早めに先頭に立つこともないだろうし、ファンディーナもちゃんと先行してくれたら、目標にされることもないはず。
中団より前で、まっすぐ走らせることだけに集中して、気がつけば3着。
ムシがよすぎるか? やっぱり素直に田辺に行くべきか?
表か裏か、間接の裏か。
というわけで、1着選びを放棄して、週末まで2着か3着か4着しそうな馬選びに勤しむことにする。
それにしても2頭ともに予想だけど人気がない。
予想オッズは書かない。見たけど、書かない。
やっぱ田辺かな?