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凱旋門賞に引っ張られるとソウルスターリングしか見えなくなるので。

  • 2017年10月05日(木) 12時00分


凱旋門賞の翌週は、凱旋門賞に引っ張られがちだ。
去年は、オブライエン厩舎の1・2・3着を目の当たりにして、チーム戦術とやらに引っ張られ、毎日王冠で複数頭出しするマイネル系のチーム戦術に少々期待してしまったりした。

今年は当然のようにエネイブルに引っ張られそう。

こっちにだって大物の3歳牝馬がいるぜ!
そんな引っ張り。いや突っ張り。

でもそれは自分だけではないはず。

毎日王冠予想オッズ
1人気 ソウルスターリング 2.2

凱旋門賞に関係なくソウルスターリングは1人気かもしれないけれど、0.2ポイントくらいはエネイブルからの引っ張りが反映されてるんじゃないか? 

本当は予想2.4倍だけど、自分と同じように引っ張られた人が0.2ポイント分くらいいて、2.2倍が形勢されているのでは? そんな妄察。

だから、毎日王冠はニッポンの3歳牝馬のエネイブルっぷりを堪能させていただくってことでいいんじゃないか? 

なんて思うけど、その一方で、自分は同じ日に開催されたキングオブコントも見てしまった。カマイタチがダークホースの強襲をパワーとテクニックできっちり交わした、あの賞レースだ。

あれを見てしまうと、ついつい毎日王冠にも「にゃんこスター」みたいなダークホースが現れないかと期待、いや引っ張られてしまう。

でも、1本目を前哨戦、2本目を本番と捉えるならば、そういう期待を持っていいようにも思えてくる。前哨戦が毎日王冠で、本番が天皇賞・秋、そんな捉え方。

実際、前哨戦(1本目)はにゃんこスターがぜんぶ持っていった。スピード(勢い)だけで、パワーとテクニックを封じ込んだように見えた。さすがに本番(2本目)では息切れしたけど、ああいうコンビが出現すると場がニギニギしくなって面白い。

つまり、凱旋門賞では最強3歳牝馬のエネイブルに引っ張られ、キングオブコントでは伏兵にゃんこスターに引っ張られてしまい、それを引きずっているというわけだ。でも凱旋門賞に引っ張られるとソウルスターリングしか見えなくなってしまうから、もう1つ引っ張りがあるのは、自分には都合がいい。

で、こう思う。

エネイブルの引っ張りは前記したようにソウルスターリングで間違いない。
では、にゃんこスターの引っ張りに該当する馬はなんだろう?(もしくは、そういう馬はいるのだろうか?)

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にしても、凱旋門賞は衝撃的だった。
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エネイブルの1着は凄かったけれど、サトノ2頭が15着、16着に敗れるシーンも衝撃的だった。

重い馬場が敗因と言われている。本当にそうなら、オブライエン厩舎みたいに7頭くらい連れてって、当日の馬場に合いそうな馬をピックアップして、出走させるしかないのかもしれない。

イギリスやフランスに近く、馬場も熟知しているオブライエン厩舎が7頭ならば、その倍の14頭くらい連れてけばいいんじゃないか。馬場があえば2着まではできることを、過去の日本馬達が教えてくれている。

天を仰ぎ、地を這い、当日の馬場に合いそうな馬をピックアップする。

「クンクンクン…。bon souple(稍重)。今年は4頭出しだ!」

世界的ホースマンみたいでカッコイイ!

でもそれはおそらく現実的ではない。アイルランドだからフランスまで馬をたくさん輸送できるけど、東京からフランスまでの輸送費を考えるとやりたくてもできない。

結局、どんな馬場でも勝ち負けできるスーパーホースを育てるか、あちらの馬場に合う馬を日本で発見するしかないのだろう。

ちなみに現地の馬場を歩いた人曰く、
「ただ芝が深いだけでなく、穴ぼこもいっぱい空いていた」
そうだ。

芝が深いだけでなく、手入れも行き届いていない馬場。
「そういう馬場で走り慣れていない馬が走ったら、精神のスタミナも切れてしまうかもしれない」
そうだ。

「良馬場ならともかく、重馬場でならなおさらだろう」

なるほど。
つまり、日本であちらの馬場に合う馬を探そうと思ったら、超優秀な馬場造園課のみなさんに、我慢に我慢を重ねてもらい、辛抱に辛抱を重ねてもらい、管理の行き届いていない馬場を作っていただくのがいいってこと?

「まあ……それも一つの手かもしれないけど……………」

どこかの障害コースの障害を1つ取っ払って、剥き出しの馬場を作るのはいかがでしょうか。起伏の激しいコースにもなって、イギリス競馬でも通用する馬が発見できるかもしれません。そこでレースをして、強い馬を探し出すというのは?

「悪いとは思わないけど、きっと鼻で笑われて、スルーだよ」

たは! 恐縮です。

今年の凱旋門賞は、先週記した通り、エネイブルにフランスの馬が絡んでくれて上手くいった。このコラムのタイトル的にもデットーリに勝って欲しかったので、それもよかった。ただ、日本のホースマンたちの挑戦があるから凱旋門賞をリアルに楽しめるわけで、そこには敬意を払いたい。どんな結末でも心折れることなく挑戦して欲しいものだ。

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毎日王冠の1人気
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ソウルスターリングが勝てば、3歳牝馬としては初の勝利となる(東京1800になった84年以後)。この馬がニッポンのエネイブルならこのくらいの「初」は突破していい。

とはいえ間違いなく1人気。エネイブルとは違って、今回が古馬初対決でもある。1人気の成績はチェックしておきたい。

この10年で1人気は4-2-1-3。勝率.400。
まあまあだけど、2人気1-1-0-8、3人気0-1-0-9に比べたら優秀だ。

3歳の1人気はこの10年で1-0-0-1。勝率.500。
この30年で2-0-0-3。勝率.400。

頭数は少ないけれど、3歳でも全体でもだいたいいっしょだ。

過去30年 3歳1人気の成績2-0-0-3
オグリキャップ1着   高松宮杯1着 NZT1着
ジェニュイン6着    京王杯AH2着 ダービー2着 皐月賞1着
タイキフォーチュン8着 NHKマイル1着 毎日杯1着
ペルーサ5着      ダービー6着 青葉賞1着
カレンブラックヒル1着 NHKマイル1着 NZT1着

ただまだ3歳牝馬の1人気はない。
牝馬の1人気はこの10年で3頭いて、1-2-0-0。
この30年で5頭いて、2-2-0-1。牝馬の1人気の方が連対レベルでは優秀とも言える。

過去30年 牝馬の1人気成績2-2-0-1
4歳牝馬1人気1着 シンコウラブリイ
4歳牝馬1人気7着 ファインモーション
4歳牝馬1人気2着 ウオッカ
5歳牝馬1人気2着 ウオッカ
4歳牝馬1人気1着 ルージュバック

牝馬で着外に敗れたファインモーションは東京が初出走だった。その後、安田記念に出走して13着に負けているから、東京もしくは左回りが苦手だったのかもしれない。

それ以外の3頭(のべ4頭)は、東京の重賞実績のあった馬たちで、東京実績のある牝馬の1人気は連対で信頼できるとも言える。

ソウルスターリングは3歳だけれど、オークス1着で、東京2-0-0-0で、東京実績は十分。「3歳」ではなく、「牝馬」を重視するならば、連軸としての信頼は高そうだ。

問題は古馬牡馬とのレベル差。アエロリットはクイーンSで古馬牝馬に勝った。アエロリットより春の実績で上だったソウルスターリングなら、古馬と3キロ〜5キロ差あれば太刀打ちできそうではある。

とはいえ、未知は未知だ。古馬牡馬を骨抜きにするかもしれないし、古馬牡馬に萎縮するかもしれない。1人気ならば、そこを嫌うという考え方もある。1着ではなく、2着までありとするか。3着までありとするか。4着までありとするか。

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毎日王冠・注目馬
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ダイワキャグニー
リアルスティール

ソウルスターリング(3着までありを選択)

3歳馬は来るときはいっしょに来る?

この10年で3歳が複数頭出走した年は3回。
10年 1着・2着・5着
12年 1着・2着
14年 7着・11着

今年は3頭の登録。
ソウルスターリング・ダイワキャグニー・ウインブライト。

ソウルスターリングに同世代の馬を引っ張ってもらえないか?

ダイワキャグニーとウインブライトならダイワキャグニーに魅かれる。
この馬は東京が得意そうだし、1800も得意そうだからだ。

勝つときは鮮やかで、負けるときはだらしないように見えるのも魅力だ。こういう馬は気分が乗れば人気薄でも走ってくれそうだ。

右回りは苦手との報道もあるけれど、馬群が凝縮して、道中外から被せられるのが嫌いなように見える。だから左回りでも道中の快適さが重要に思える。

以下は全5戦の着順と5F(1000Mのタイム)。
馬群が凝縮したのは弥生賞とダービーで、ともにズルズルと後退し負けた。
どちらも5Fまでに2回13秒台に弛んでいた。

一概には言えないが、弛むということは馬群が凝縮しやすくなるということだ(新馬では2回13秒台があったけれど、このレースは2頭が引き離して逃げ、それを1頭が追い、ダイワキャグニーは4番手ながらも、単騎で追走し、馬群も凝縮していなかった)。

新馬1着 5F61.6
13.0 - 11.3 - 12.0 - 12.3 - 13.0

セントポーリア賞1着 5F61.2
12.7 - 11.4 - 11.8 - 12.6 - 12.7

弥生賞9着 5F63.2
12.4 - 11.4 - 12.8 - 13.2 - 13.4

プリンシパル1着 5F59.0
12.8 - 11.2 - 11.4 - 11.8 - 11.8

ダービー14着 5F63.2
13.0 - 11.2 - 12.9 - 12.8 - 13.3

あくまでも目安にすぎない。でも、拠り所にはなる。毎日王冠は古馬のG2戦で、ある程度のペースが見込める。頭数も少なく、4角を回るまで、外からの圧を受けずに走れる可能性はある。

実際、道中13秒台に落ちることはめったにない。あってもテンの1Fだけで、5Fまでに2回13秒台になったことは過去10年では一度もない。少なくともダービーよりは快適にドライブできるのではないか。

4角まで快適に走れても、最後の直線で力を発揮できないとダメだ。そこから先はこの馬のポテンシャル次第だ。でも人気もなさそうだし(予想7人気)、ポテンシャルを持ってる方に賭けてみたくなる。

というわけで、ダイワキャグニーに伏兵の期待をしてみることにした。ソウルスターリングといっしょに来てもらおう。

今のリアルスティールは外国人ドライバーが合うように思える。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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