スワーヴリチャードの56キロとみやこSの奥秩父と京王杯とファンタジーの伝統
「何かが起こる」と期待した天皇賞・秋だけど、自分的には何かが起こり損ねた天皇賞・秋だった。
これは天皇賞・秋がつまらなかったという意味ではない。むしろスタートからゴールまで目の離せない展開が続き、実にエキサイティングだった。
水びたしの攻防の果ての結末は、1人気キタサンブラック、2人気サトノクラウンの叩き合い、その2頭に必死に食らいつこうとする13人気のレインボーライン。
人気馬がその実力を発揮しつつ、穴馬が1頭飛び込む。武豊とMデムーロがしのぎを削り、岩田の南蛮漬けが決まる。
個人的には1・2人気の間に13人気に割り込んでは欲しかったけれど、それはあくまでも個人的都合だ。馬場コンディションは最悪でも、レースはスリリングな天皇賞・秋だった。
という前提のもと、「起こり損ねたこと」について、来年のために記しておく。
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前日まではまだ何かが起こりそうではあったが…
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天皇賞・秋。
オッズ視点では(詳細は先週のコラムにて)、
単1.0〜4.9 3頭いたら、この中から2頭以上馬券圏内
単1.0〜4.9 2頭いたら、1頭以上馬券圏内
単1.0〜4.9 1頭だったら、何かが起こる
というものだった。
そして週中の予想オッズは下記のような感じだった。
1人気 キタサンブラック 3.0
2人気 リアルスティール 5.9
3人気 サトノクラウン 7.0
だから、今年は何かが起こる!
と個人的テンションは高めだった。
しかし、これはあくまでもお天道様を考慮してない予想オッズだったはずだ。新たな台風の影響で週末は雨かも? そんな予報は出てはいたけれど、菊花賞ほどの荒れ馬場にはならないだろう。っていうか2週連続の不良馬場はご勘弁! そんなムードもあったはず。自分も台風がそれることを願っていた。
だがしかし、週末になるにつれ、雨の予報オッズはぐんぐん票を伸ばし、金曜日の時点で土日に雨が降るのはほぼ確定的になった。土曜日の前日買い系のみなさまもほぼほぼ覚悟を決めたのだろう。それは馬券にも反映されていた。
土曜 前日最終
1人気 キタサンブラック 3.0
2人気 サトノクラウン 5.0
3人気 リアルスティール 7.6
ギリギリ何かが起こりそうなオッズ。でもそれは風前の灯火でもあった。
重馬場、力のいる馬場が上手そうなサトノクラウンが評価されて、予想の段階ではあるけれど、週中は2人気だったリアルスティールをすでに逆転していた。日曜はさらに雨が強くなるという報もあり、サトノクラウンが評価を伸ばすのは明白だった。
一夜明けて、日曜午前9時30分
1人気 キタサンブラック 3.2
2人気 サトノクラウン 4.7
案の定、雨とともにサトノクラウンが票を伸ばしていた。
「単1.0〜4.9以内に2頭の時は、どちらかが馬券圏内確定」の状況がついに生まれてしまった。
日曜の天候を鑑みると、この流れはもう止められそうにない。そんなムードだった。
今年はないな。
何かは起こらない。
自分も抗うことなく、ほぼほぼこの状況を受け入れた。
実際、この状況で進み、最終確定オッズは、
1人気 キタサンブラック 3.1
2人気 サトノクラウン 4.0
とサトノクラウンはさらにキタサンブラックに接近していた。
で、この2頭で1着、2着。着差はクビ差。
せめて、好走馬はどちらか1頭だけでお願いします!
そんな願いは風雨とともに葬り去られた。
ならば馬券圏内に1頭は人気薄が来て!
そこは実現した。
にしても、天皇賞・秋の上位人気馬の好走フォーマットはなかなか崩れない。
というわけで、来年もこのアプローチを忘れないようにしようと決意したのだった。来年こそ「何かが起こる」ような状況が生まれますように。
と同時に、もし今年の天皇賞・秋が晴れて、良馬場で行われていたら、どうであったろうとも思う。
週中のムードは前記したようにこんな感じだったからだ。
1人気 キタサンブラック 3.0
2人気 リアルスティール 5.9
3人気 サトノクラウン 7.0
良馬場だったら、実オッズでもこの形に近かったのではないか?
何かが起こるパターン。ヘヴンリーロマンスが勝った年も、トーセンジョーダンが勝った年もこのパターンだった。
つまり、良馬場だったらキタサンブラックは取りこぼしていたのではないか?
と、ついついけしからんことを夢想してしまうのだった。
天皇賞・秋は不良馬場だったから1着できたということはないか?
出遅れたけど、不良馬場で内ががら空きだったから抜けて来れたということはないか? 内にいると闘志に火がつくということはないか?
宝塚は大阪杯・天皇賞・春の疲れが原因で惨敗したと言われているけど、終始外を回ったことが敗因と分析する有識者もいる。外からでも闘志に火はつくのだろうか?
次のジャパンカップはきっとさらに人気を伸ばすはず。
だけど晴天の良馬場だったら……ヌヌ!
枠が大外だったら……ヌヌヌ!
うむ、実にけしからん!
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アルゼンチン共和国杯・注目馬
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スワーヴリチャード 56
デニムアンドルビー 54
スワーヴリチャード
4歳馬が57キロでもキツいレースなのに3歳で56キロはとてもキツいはず(「アルゼンチン共和国杯には57キロの呪いがある」が持論。散々書いたので今年は触れないが、57キロを背負って勝つのはアホみたいにキツいけど、それでも勝つ馬は逆に出世する、かもよ! そんな考え)。
この時期の古馬との馬齢差は2キロだから、実質58キロとも言える。
普通に考えたらナイガシロでいい。
しかし、ナイガシロにしにくかったりもする。そもそも3歳で55キロ以上のハンデをもらう馬の出走が少ないからだ。少ないということは、それなりの実力馬が出ていないということでもあり、まだわからないということでもある。
過去20年で55キロ以上のハンデだった3歳馬
15年レーヴミストラル 55 3人気3着
00年アドマイヤボス 55 1人気10着
98年ミラクルタイム 55 5人気10着
98年グラスワンダー 57 1人気6着
97年タイキエルドラド 55 1人気1着
55なら勝負になるけど、57ではキツい。そんな感じだ。実質59キロにも相当するわけで、それも致し方なしか?
グラスワンダーはここを6着した後、有馬記念に出走して1着した。そういう馬でも57のハンデはキツかったということか?
しかし55キロならなんとかなっている。
ではその中間の56はどうなのか?
わかりません!
なんせ1頭もいないのだから、わからなくてもしょうがない。55キロに寄るのか、57キロに寄るのか?
直感的には、とても繊細な気がしている。そのためのMデムーロではないのか?
というわけで、自分は3歳で56キロを背負うスワーヴリチャードがどんな走りを見せるのかがとても気になるので1人気でも注目することにした。
「57キロではほとんど勝ち負けできないけれど、57キロで1着する4歳馬は、その後、G1で勝ち負けしやすい」
該当馬はトーセンジョーダンやフェイムゲーム。どちらもその後G1で勝ち負けした。去年1着した4歳のシュヴァルグランは58キロで1着した。その後、G1で勝ち負けした。
スワーヴリチャードがその後G1で勝ち負けする馬ならば、ここは勝つはず。
ここを勝ったら、ジャパンカップへ行くのではないか? そのためのMデムーロとみた!(Mデムーロが継続騎乗する、しないは関係ない)
右回りより、左回りの方が得意な芝馬が目標とするG1は、年内はジャパンカップしかない。強い4歳馬が歩むコースを3歳で歩ませようというのだから、スワーヴリチャードには相当期待しているということだろう。はたして、ジャパンカップでも通用する馬なのか? そのためのMデムーロともみた!(Mデムーロが次も乗るか、乗らないかは関係ない)
デニムアンドルビー
角居牝馬のG1以外の重賞遠征は、なるたけ買うと中山牝馬Sの時に決めた。あの時はトーセンビクトリーが勝ったけど、デニムアンドルビーも出走していて6着だった。悪くない走りだった。前走のオールカマーも着順は8着だけど悪くない走りだった。
今回の鞍上は田辺。田辺で「悪くない走りがひじょ〜〜に悪くない走り」になれば馬券圏内だ。田辺とデニムのマリアージュに期待してみる。
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みやこS・注目馬
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10年 単147.9倍 14人気 アドマイヤスワット 4着
12年 単122.2倍 11人気 タガノロックオン 4着
14年 単321.8倍 16人気 イッシンドウタイ 4着
16年 単102.7倍 12人気 メイショウヒコボシ 5着
1、2人気の馬が激突しやすいレースだけど、単100倍以上の奥秩父にいる馬も惜しい着順で頑張っているレース。あと少し、何かが狂えば、馬券圏内。だけど、その「あと少し」が遠い。そんなレース。
今年は3歳期待のエピカリスと夏の上がり馬テイエムジンソクが人気を分け合い、激突しそう。エピカリスもテイエムジンソクも逃げも番手競馬もできる先行馬で、お互いに意識しやすい近い距離でレースをしそう。
つまり、この2頭に勝負を挑まなければならない賞金の上乗せが必要な他の馬たちは、意外とマークはしやすいとも言える。
1・2人気が前で激突して、その2頭をまとめて負かそうとさらなる激突が生まれれば、いつも以上に激突感溢れる競馬になるかもしれない。
それはつまり、「あと少し」が遠かった馬たちにおこぼれが回ってくる可能性もあるということだ。
後方で競馬をしてそうなタガノディグオ、タムロミラクルあたりにチャンスは回って来ないかな? 気がつけば間に合っちゃった。そんなおこぼれに出会えないかな?
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京王杯2歳S・注目馬
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カシアス
アサクサゲンキ
今週JBCの3レース含めて7つある重賞で、ルメールとMデムーロがいっしょに騎乗する唯一のレースになりそうなのが、京王杯2歳S。
ルメールとMデムーロが同じ重賞に騎乗した時の脅威については、これまた散々書いてるので、詳しい数値はここでは割愛するけど、この秋も10重賞で一緒に騎乗して、9重賞でどちらかが馬券圏内で好走している(セントライト記念、神戸新聞杯、毎日王冠、京都大賞典、府中牝馬S、富士S、秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋の9重賞。二人揃って凡走したのはローズSのみ)。
ルメール・タワーオブロンドン 予想1人気
Mデムーロ・タイセイプライド 予想3人気
う〜〜む、今週も手強そうな2騎手だ。
ただし、京王杯2歳Sは1人気が出負け・出遅れして、取りこぼす傾向のあるレース(1人気・出遅れの呪い)。ここ2年、1人気はちゃんとスタートしているけれど、3着、2着と取りこぼしている。
1人気の予想されるタワーオブロンドンは2走前に出負けしていて、ここで出負け・出遅れを炸裂させても驚けない。ならば、Mデムーロのタイセイプライドに期待したいけど、この馬も前走出負けしていて、安心できない。なんせモーリスもオルフェーヴルも出遅れて、6着、10着に負けた出負け・出遅れが伝統のレースだ。
なので、有力馬で出負け・出遅れ経験のないカシアスとアサクサゲンキの好スタートからの1着に期待して見ることにした。
カシアスは函館2歳S1着、アサクサゲンキは小倉2歳S1着。去年は函館2歳S2着のモンドキャンノが1着、小倉2歳S1着のレーヌミノルが2着した。1着付けなら、たとえルメール、Mデムーロが2着に来ても、そこそこの馬券になるのではないか?
3着、4着なら、まあまあの馬券になるのではないか?
ファンタジーSも基本は京王杯2歳Sといっしょ。去年はミスエルテがぶっこぬいて勝ったけれど、1人気が3着、4着に取りこぼしやすい。外回りを意識してか、次の阪神JFを意識してか、1人気馬は慎重になりやすいように思える。だから逃げた馬や、番手の馬が残りやすい。
逃げそうな和田のコーディエライトや番手競馬のできそうな田辺のアルモニカで凌ぎきれないかな。