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内枠の先行勢は黙って買いがセオリー!/天皇賞・春

  • 2018年04月25日(水) 18時00分

■天皇賞・春(G1・京都芝3200m外)フルゲート18頭/登録17頭

【特注データ】〜レースデータより〜




 詳しくは以降の項目でも解説するが、コースだけでなくレースも「前が残る」というのが、データから見たこの条件の大きな特徴だ。外回りなのでもっと差せそうなものだが、長距離戦でスタミナの消耗が激しいためか、差せそうで差せない。前に行ける脚があるというのが、非常に大きな武器となるレース条件といえるだろう。

 今回用意したのは、天皇賞・春における「前走4コーナー通過順位別」での成績である。前走でも先行していた馬の成績が圧倒的によく、前走で4コーナーを5番手以内で通過していた馬がトータル[8-6-6-71]と、馬券に絡んだ馬の3分の2を占めている。ちなみに昨年も、キタサンブラック、シュヴァルグラン、サトノダイヤモンドと、この条件を満たす馬が上位を独占。さらにいえば、一昨年もワン・ツー・スリーだ。

 そんな好成績である「前走で前にいっていた馬」を絞り込むには、天皇賞・春での枠番を用いるのがベスト。今回もスムーズに先行できる内枠のほうがいいのは、データから一目瞭然だ。内枠である馬番1〜6番を引き当てた馬は、信頼度だけでなく回収率ベースの数値もバツグン。どんな人気薄であっても、ここはキッチリ拾ったほうがいい。

 具体的に名前を挙げると、カレンミロティック、ガンコ、クリンチャー、サトノクロニクル、シホウ、トミケンスラーヴァ、ミッキーロケット、ヤマカツライデン、レインボーラインが条件クリアの候補。このうち、見事に馬番1〜6番を引き当てた馬を、特注データ推奨馬としたい。

【コース総論】京都芝3200m外 Cコース使用

※今回は「京都芝2200m〜3200mの外回りコース」を集計対象としています

・コースの要所!

★勝ち馬の7割以上が3番人気以内。人気薄の1着固定は推奨しかねるコース。
★平均人気の差を考慮しても完全に内枠有利。「真ん中より内」が狙い目。
★差せなくはないが基本的に先行勢優勢。逃げ馬が残る確率も非常に高い。






 なにぶん施行レース数が少ないコースなので、今回は京都芝の「2200m以上の外回り」を対象に分析を行った。1000mもの距離差があるので、正確性に欠けるのは否めないが、現在はこのレースでしか使われないコースなのだから致し方なし。そのあたりは、どうかご容赦願いたい。

 京都芝3200m外は、バックストレッチのやや2コーナー寄りからスタート。最初のコーナー進入までに距離的余裕があるので、序盤がゴチャつくことはめったにない。序盤〜中盤はゆったり流れて、2周目の3コーナーあたりからレースが動き出す──といった流れになることが多いコースである。

 まずは人気別だが、目立っているのが人気サイドの高い勝率。3番人気以内馬が39勝と、全体に占める割合は70.9%にものぼる。けっこう人気薄が強いイメージだったのだが、実際はかなり人気サイド優勢。高配当を狙うならば、1着候補は素直に人気馬から選び、2〜3着に人気薄を絡める買い方をオススメする。

 次に枠番だが、こちらはイメージ以上に内枠有利。面白いのが「内枠有利&外枠不利」ではなく、内枠だけが有利という点だ。とくに差が大きいのが勝率や連対率で、平均人気の高さを考慮しても、これは素晴らしい内容。枠番値もプラス0.6と超優秀で、内枠を引き当てた馬はそれだけで大チャンスといえる。

 最後に脚質だが、こちらも「イメージ以上」に先行勢が優勢。逃げた馬も、複勝率26.5%といい粘りを見せている。回収率ベースの数値も完全に「前>>中>>後」であり、人気馬も穴馬も先行勢を狙ってナンボ。それなりに差せるコース条件ではあるが、後方待機組の成績が壊滅状態であることからも、差し〜追い込み勢の過信は禁物だ。

【レース総論】天皇賞・春(G1) 過去10年

・レースの要所!

★2〜4番人気は強いが1番人気は[1-0-1-8]と大不振。人気薄の激走率も高め。
★内枠の強さはコースデータ以上。無条件にすべて買うのを推奨したいほど。
★逃げた馬の複勝率なんと60.0%。直線に入ってからの差しは間に合わない。
★7歳以上馬は大幅割引。なぜか「生え抜きの関東所属騎手」が非常に強い。









 レースの平均配当は、単勝2637円、馬連1万1543円、3連複5万1662円という猛烈な高さ。14番人気のビートブラックが逃げ切った2012年、13番人気のカレンミロティックがキタサンブラックに肉迫した2016年など、人気薄の激走例は枚挙に暇がないほどだ。昨年は珍しく順当に決まったが、基本的には間違いなく「荒れる」部類のレースである。

 人気別で目立つのは、やはり1番人気馬の弱さ。昨年はキタサンブラックが人気に応えたが、過去10年[1-0-1-8]という信頼度の低さで、4着以下に敗れるケースが非常に多い。対照的に好成績なのが2〜4番人気で、トータルで考えると上位人気の信頼度はけっして低くはない。1番人気の壊滅的な成績を考えると、上々の結果だろう。

 とんでもなく極端な結果が出ているのが、枠番データ。内枠有利なコース条件であるのは前述したとおりだが、レースデータでは「平均人気がもっとも低いのに、平均着順はぶっちぎりで高い」という、凶悪なまでの強さを見せている。対照的に、枠番値マイナス2.3という惨憺たる結果に終わっているのが外枠で、大幅な割引が必要といえる。

 同様に、脚質面も極端な結果となった。4コーナー6番手以下の位置から1着まで突き抜けたのは、過去10年で2011年のヒルノダムールだけ。そのヒルノダムールにしても、4コーナー追加順位は6番手だ。つまり、中団〜後方のポジションからでは、3コーナーからマクリを打てるような馬でないと勝ち負けに持ち込めないとうこと。逃げた馬がここまで残っているというのも、このレースの特殊性をよく物語っている。

 年齢別では6歳以下か、それとも7歳以上かが分水嶺。4歳馬よりも5〜6歳馬のほうが好内容であるように、若い馬のほうが強いというレースではないが、7歳以上になると信頼度がガクッと落ち込んでいる。8歳で2着に食い込んだカレンミロティックのような例もあるにはあるが、トータルで考えるとかなり手を出しづらい面がある。

 前走レース別では、昨年からG1に昇格した大阪杯組が好成績。馬券に絡んだ回数は日経賞組や阪神大賞典組も互角だが、前走大阪杯組は連対率33.3%、複勝率44.4%と信頼度が図抜けて高く、回収率ベースの数値もきわめて優秀と、内容がまるで違う。昨年の覇者キタサンブラックのように、今後もこのパターンで好走する馬が続出しそうだ。

 最後に「小ネタ」だが、外国人ジョッキーや元地方ジョッキーの活躍があまり目立たず、JRA生え抜きのジョッキーが好成績を残しているのも、このレースの大きな特徴。過去10年に7番人気以下で激走した馬は、すべてJRAプロパー騎手が手綱を握っていた。これだけで「買い」とはならないが、関東所属騎手が騎乗予定であるクリンチャー、チェスナットコート、ピンポンの3頭は要チェックか。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 引き続きCコース。先週はかなり差しが決まっていたが今週はどうか。

・天候予測
 週末まで好天が続く見通し。パンパンの良馬場前提で問題なし。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハービンジャー産駒○、タイキシャトル産駒△、アドマイヤドン産駒△

 先週から開幕した3回京都。土日ともに良馬場で、見た目にも良好な馬場コンディションだった。しかし、エアレーションの影響が大だったのか、土曜日は差しがズバズバ決まる結果に。日曜日になって少し落ち着いた感はあるが、それでも基本的には差し優勢だろう。良馬場の京都芝らしく、かなり速い時計が出ていた点も意識しておきたい。

 血統面は、ディープインパクト産駒など4種牡馬の産駒をプラスに評価。ディープインパクト産駒とハービンジャー産駒の成績は、文句なしに優秀だ。出走数が少ないタイキシャトル産駒とアドマイヤドン産駒だが、特定の馬が繰り返し好走しているわけではないことから、コース適性はかなり高いと判断。これならば十分、プラス評価に値する。

★出走馬・総論×各論

 先週に引き続き──いや、先週以上に「枠番」が重要なファクターとなりそうな、天皇賞・春。しかも、今年は昨年とは違って、確たる中心が存在しない混戦模様である。昨年2着のシュヴァルグランが1番人気になりそうだが、前走の大阪杯が13着大敗とあっては、そこまで支持は集まらないはず。レインボーラインやガンコ、クリンチャーなどが差がなく続く、「上位拮抗」のオッズとなることだろう。

 枠番を抜きに語れないレースであるのは前述したとおりで、現時点では好走候補をある程度まで絞り込むのが限界。よって、今週も先週と同様に、人気サイドと人気薄から何頭かをピックアップする方式で各論を語らせていただきたい。

【人気サイドの評価順】

クリンチャー    三浦騎手騎乗で評価が上昇。プラス評価の多さも文句なし。
ガンコ       大きな割引材料なく順当に「買い」ジャッジ。勢いも魅力。
レインボーライン  自分から早めに動いてマクれるのは強み。外枠がプラスに。
サトノクロニクル  大きな強調材料も割引材料もないので強くは推しにくいか。
シュヴァルグラン  京都替わりと距離延長はプラスも強調材料には欠ける印象。

【人気薄での激走候補】

ヤマカツライデン  逃げる馬は「買い」がセオリーのレース。忘れた頃の一発。
ミッキーロケット  一気に人気を落としそうだが買い材料アリ。狙い目のはず。
カレンミロティック 二度あることは三度ある。「もう一発」の可能性もあるか。

 ……というわけで、人気サイドではクリンチャーガンコ、人気薄ではヤマカツライデンミッキーロケットが、現時点で高く評価している馬である。あとは枠番次第だが、レインボーライン以外の高評価馬には、ぜひ内枠を引き当ててもらいたいものだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧





東京11レース フローラS(G2)
1着 04サトノワルキューレ
2着 15パイオニアバイオ
3着 16ノームコア

だから3連単はやめろと(#^ω^)ビキビキ

悔しいのが15パイオニアバイオで、内枠だったらガツン!と買うつもりだったんですよねえ(血涙)。今年は最初のコーナー進入で内がゴチャついたみたいなので、その場合は来てなかった可能性も大いにありますが! う〜む、ピントは合ってんだけどなあ……。

※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2008年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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