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似た血統背景の2頭の決着もある/阪神ジュベナイルF

  • 2018年12月08日(土) 18時00分

このレースを理解しなければ、桜花賞の的中も遠ざかる


 最近10年の桜花賞馬のうち「6頭」がこの阪神JFに出走している(うち5頭は3着以内に好走している)。残る「4頭」は1月のシンザン記念1着馬である。

 近年、桜花賞で勝ち負けする馬のほとんどは「阪神JF、シンザン記念、チューリップ賞」をステップにする。重要な3つの競走の2競走に出走する馬も珍しくないほど、主要路線は決まっているが、その最初で最大のベースになるのがこのGI。的中するに越したことはないが、たとえ不正解でも、このレースの中身を理解しないと桜花賞は遠ざかることになりかねない。

 今年は、断然の内容で2戦2勝のグランアレグリア(父ディープインパクト)が次週の朝日杯FSに回るため(コンビのルメールの9日は香港)、チャンスのある牝馬が例年以上に多いと考えられている。好カードだろう。

 クロノジェネシス(父バゴ)に期待したい。小倉1800mの新馬を楽々と勝ったあとの前回が圧巻。東京1800m1分48秒6のタイムは必ずしも目立たないが、スローでレース上がりは「11秒3-11秒0-11秒1」=33秒4。これを好位のイン4番手(3馬身半差くらい)で4コーナーを回ったこの馬の上がりは「推定11秒2-10秒5-10秒8」=32秒5だった。スローの直線勝負とはいえ、まだ2戦目の遠征競馬で、長い坂のある初コースの東京とすれば破格だろう。今回は地元の阪神。また、このレースはそうハイペースにはならない。

 種牡馬バゴ(父ナシュワン)は、輸入された初年度産駒のビッグウィークが菊花賞を勝ったため、さすが凱旋門賞馬となったが、自身の凱旋門賞も、ビッグウィークの菊花賞も、生涯最高の大駆け(長距離では)だったようなところがあり、バゴは2000m以下で6連勝している。また、代表産駒の多くは桜花賞2着のオウケンサクラ、快速クリスマスなど、長距離タイプではない。

 クロノジェネシスには、きわめて似た血統背景をもつ馬がいる。それは今回対戦する有力候補ビーチサンバ(父クロフネ)である。関係する牝系図は、

▽ラスティックベル(90)輸入馬
  フサイチエアデール(サンデーサイレンス)
   ビーチサンバ(クロフネ)
  インディスユニゾン(サンデーサイレンス)
   クロノロジスト(クロフネ)
    クロノジェネシス(バゴ)

 となり、フサイチエアデールと、インディスユニゾンは、ともに輸入牝馬ラスティックベル産駒の全姉妹。2頭のそれぞれの産駒ビーチサンバと、クロノジェネシスの母クロノロジストは、イトコ同士なのに、その父は同じクロフネ。するとこの2頭はイトコなのに、血統構成図はまたもや母同士と同様そっくり同じ。これ以上の詳しい説明は不要。クロノジェネシスと、ビーチサンバは、限りなく似た血統背景をもって生まれた同じファミリーのライバルである。

 ともに快走すると歴史的な快挙になる可能性もあるので、クロノジェネシスの相手本線の1頭は、前回早めに動いて一旦先頭のビーチサンバ。いまは素質馬ピックアップがテーマなので、当然、ダノンファンタジー、シェーングランツ、タニノミッション。大穴は小柄でも動きの大きいプールヴィル。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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