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重要な試金石となる一戦

  • 2005年12月06日(火) 00時00分
 今年の朝日杯は、それぞれキャラクターの違った有力馬が揃い、なかなか面白いレースになりそうだ。

 前走を驚異的なレコードで逃げ切ったフサイチリシャールと、新潟2歳Sを絶望的な位置から追い込んだショウナンタキオン。一方でジャリスコライトは突出したアピールもないが競馬にソツがないという、優等生タイプである。さらには、単なる珍名馬の枠を超えたデンシャミチもいる。こういうレースでどの馬を応援するかというのは、その人の性格を映す鏡にもなるのではないだろうか。

 さて、本来ならば全頭に触れたいところだが、紙幅の制約から、レコードという分かりやすい要素を抱えたフサイチリシャールを取り上げてみたい。あのタイムが、果たして本番に向けても好材料なのかというのは皆が悩むところだろう。

 「1800m好タイム馬のその後」を占うために、非常に乱暴なやり方だが今回はこれまで2歳時に芝1800mを1分47秒9以下で走った馬を集めてみた。フサイチリシャールも含めて該当馬は16頭いる。

 フサイチリシャール以外の15頭が次のレースでどうだったかというと、トータルの着度数は[5-3-0-7]。複回収率は78%と平均的だが、単回収率はコスモバルクのラジオたんぱ杯2歳S=900円が効いて146%になっている。

 問題は、その次走の距離だ。1800mと2000mに出走した馬は[3-3-0-0]とパーフェクト連対なのだが、1600mに出た馬は[2-0-0-7]と旗色が悪い。今年はエイシンチャンドラが新潟2歳Sでこの罠にはまった。

 しかし、だからといってフサイチリシャールの未来が真っ黒になったわけではない。2勝した馬は、ナリタブライアンとアドマイヤドンなのである。ともに、朝日杯以外のGIもたくさん勝った馬たちだ。

 フサイチリシャールがもし朝日杯を勝てば、その後の競走人生はさらに素晴らしいものになる可能性があるのだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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