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【高松宮記念】総合スピードが重要なGI短距離戦

  • 2020年03月28日(土) 18時00分

別路線での経験が活きる可能性がある


 土曜中京2Rの3歳未勝利戦の芝1600mは1分34秒2の好時計だったが、日曜にかけて降雨が予測される。馬場状態が難しい。1週空いた芝Bコースは、今年、先々週の金鯱賞の週に使用されただけなのでインも良好だった。日曜の午後は稍重程度に回復すると予測すると、1分07秒台後半の勝負か。ただ、快速決着でないと、「そのくらいの時計なら乗り切れる馬」はきわめて多い。

 人気のグランアレグリアを筆頭に、距離1200mが初めての馬が7頭もいる。さらに、前走と異なる騎手の乗る馬がGIなのに半数の9頭もいる。波乱もありえる。

 過去10年の連対馬20頭には、前回が1400mの阪急杯だった馬が7頭も含まれる。12月の阪神Cにも当てはまるが、中身の濃い1400mに1分19秒台中盤の好記録を持つ馬は心配ない。というのは、グランアレグリアが先頭に立った阪神Cの1200m通過地点は1分07秒9。それでまだ楽だった。伏兵ダイアトニックが1分19秒6で勝った5走前の安土城Sも、先頭に並んだ1200m地点は1分08秒1-2であり、すでに通用のスピードを示している。さらに、2頭とも上昇が見込める。

 勝ち時計が1分07秒台前半だったりすると、人気のグランアレグリアの死角は乗り替わりくらいで、好時計を持つタワーオブロンドン(こちらも乗り替わり)、ダノンスマッシュと互角か、それ以上の評価も可能になる。

 そのダノンスマッシュを筆頭に、2013年の高松宮記念を制して以降、大変な名馬となったロードカナロアの産駒が計4頭も出走してきた点もポイント。ロードカナロア産駒は、2400mもOKのアーモンドアイ、サートゥルナーリアは別格として、1200-1600mで総合スピード能力を生かして快走する馬が多い。そこで1分07秒台後半にもつれ込む可能性も高いのではないかと接戦を期待して、伏兵ダイアトニック(父ロードカナロア)に注目したい。

 前回、阪急杯はゴール寸前に差されたうえ、斜行降着の3着だが、ここを目標に好スタートから先行して、1200m通過地点で先頭に立ってみせた。1分07秒台後半なら道中なだめて好位追走の行きっぷりから判断して十分通用する。前回と同じ内の3番枠を引いたのも幸運。稍重のスワンSを制した内容から(スミヨンの素晴らしい騎乗ではあったが)、ダイアトニックは渋った馬場をおそらく苦にしない。

 GIの短距離戦は「1ハロンくらい長い距離をこなした総合スピードが重要」という金言もある。最後に苦しくなった時にモノをいうのは総合力であり、まして渋馬場が予測される場合は、1200mのスペシャリストより有利になることがある。ともに1200mが初めてでも、伏兵ダイアトニックと、秘める能力上位のグランアレグリアを中心にしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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