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デアリングタクト、武器のスピードの持続力が消耗戦にドンピシャ

  • 2020年04月13日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・4/12 桜花賞(GI・阪神・芝1600m)
 中団を追走したデアリングタクトが大外から伸び、早め先頭に立ったレシステンシアを差し切りました。無敗の桜花賞馬は04年のダンスインザムード以来です。

 雨が降って馬場コンディションは重。逃げたスマイルカナ、2番手レシステンシアが1000m58秒0と飛ばしたため、ラスト3ハロンは11秒7-12秒6-13秒8と時計を要しました。デアリングタクトはキャリア3戦目ながらキックバックにひるむことなく、また道悪にのめることもなく、逃げ込みを図る2歳女王をとらえました。役者が一枚上、というレースぶりだったと思います。

「エピファネイア×キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の組み合わせは、エピファネイア産駒のもう1頭の大物スカイグルーヴと同じ。父エピファネイアは現3歳世代が初年度産駒で、同期のキズナに比べると成績的にやや見劣っていたのですが、いきなり無敗のクラシックホースを出しました。

 デアリングタクトは切れる脚も使えますが、エピファネイア産駒は総じてスピードの持続力を武器としているので、今回のような消耗戦は合っていたのでしょう。距離延長も問題ない血統構成なので、次走のオークスでも期待できるはずです。

・4/11 ニュージーランドT(GII・中山・芝1600m)
 後方から外を回って進出したルフトシュトロームが追い比べを制して先頭でフィニッシュラインを駆け抜けました。4コーナーで内の馬に張られ、3着ウイングレイテストと一緒にバランスを崩しましたが、すぐさま体勢を立て直してトップスピードを維持したのは、ボディバランスの良さや体幹の強さのなせる業でしょう。

 キンシャサノキセキ産駒としてはモノが違う可能性が高いと思います。母方にデインヒルを持つのは父の成功パターンで、ディープインパクトやレイデオロで有名なウインドインハーヘア牝系に属しているので将来的に種牡馬としても可能性を感じます。次走のNHKマイルCは、同厩のサリオスとの対決。いい勝負になるはずです。

今週の血統注目馬は?


・4/19 御堂筋S(3勝クラス・阪神・芝2400m)
 阪神芝2400mで優秀な成績を挙げている種牡馬はノヴェリスト。まだサンプルは少ないとはいえ、過去5回走って[4-0-0-1]、勝率80.0%は驚異的です。このレースに登録のある同産駒はバラックパリンカ。母アプリコットフィズはクイーンCとクイーンSを制した活躍馬です。前走は阪神芝2200mで3着ですが、200mの距離延長はプラス。このコースは過去2戦2勝と負け知らずです。

今週の血統Tips


 皐月賞の勝ちタイムが初めて2分の壁を破ったのは、いまから26年前の1994年のことです。のちの三冠馬ナリタブライアンが好位から抜け出して1分59秒0を計時しました。次走のダービーもまず負けないだろう、と確信を抱かせる楽勝でした。

 その父ブライアンズタイムは、これを皮切りに皐月賞馬を計4頭(他はサニーブライアン、ノーリーズン、ヴィクトリー)出しています。2着2回、3着3回という数字も立派で、皐月賞では信頼できる血でした。ブライアンズタイムはロベルト系。瞬発力よりもスピードの持続力に強みがあるので、小回りコースの皐月賞を得意としました。

 母の父としては2016年の勝ち馬ディーマジェスティを出しています。今年の出走メンバーのなかにブライアンズタイムを持つ馬はいません。5代以内にロベルトを持つ馬は、ウインカーネリアン、クリスタルブラック、コルテジア、サトノフウジンの4頭。皐月賞はロベルトを持つ馬がしばしば穴を開けるので一発の魅力があります。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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