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【エプソムC】秋の大舞台へ躍進する馬は現れるか

  • 2020年06月13日(土) 12時00分

前走で復調しており今年も面白い存在


 赤い実をつけ、切り花として珍重されるセンリョウは、名前がめでたいこともあり正月の縁起物とされてきた。常緑の小低木で高さはせいぜい70センチぐらい。小さな球形の実が赤くなるのは晩秋から冬にかけてだが、ちょうど今ごろは、枝頭の花穂に黄緑色の花をつけている。近づいて見なければ分からないくらい目立たない花だが、それが半年もたつと鮮やかな赤い実になるのだから、見事というほかない。

 エプソムCに出走する馬たちの多くは、これに似たところがある。先週に安田記念、2週間後には宝塚記念があるので、1800米が守備範囲のトップクラスの馬にとりターゲットになるのはそっちの方。今の段階では目立たいものたちが、谷間にあるGIIIで好走して勢いをつけ、秋以降の大舞台をとめざしている。

 事実、ここで好走し、その後GI馬になったものに、マイネルキッツ、ダノンシャーク、ジャスタウェイ、サトノアラジンなどがいるし、重賞初挑戦でここを勝ちGI馬になったものにはマーベラスサンデー、エイシンデピュティなどがいた。これらは全て、別定戦になった第13回以降のこと。ハンデ戦だった頃のエプソムカップは、伏兵の好走が多く、はっきりした傾向はつかめなかった。

 それが別定戦になった第13回にサンデーサイレンス初年度産駒のマーベラスサンデーが勝ち、さらに余勢を駆って重賞4連勝からGIの舞台で大活躍、翌年の宝塚記念を勝ったことで、レースの持つ意味がはっきりしてきた。ペースはそれほど上がらず、中団の外でゆったり構え、直線の坂の上りにかけ一瞬のうちに先行勢を抜き去ったマーベラスサンデーの勝ちタイムが1分45秒7、このレースの勝利の方程式を確立したものと思っている。

 今年は、レイエンダが連覇を狙っているが、昨年は出たなりで2番手で折り合い、上がり3F32秒7を記録していた。ペースが上がらないことが多く、道中はある程度の位置を取れることと、一瞬の切れる脚がもとめられるのがポイントに。前走で復調してきたので、レイエンダは今年も面白い。

 ここで勝って勢いをつけたい4歳馬では、アトミックフォース、ピースワンパラディを取り上げたい。前者は、このレースとの親和性が高い新潟大賞典の2着馬だし、後者は、流れに応じた競馬が出来るし大くずれがない。あと5歳馬からは、ここがベストの条件で決め手のあるアイスストーム、馬場が渋るほどいいマイネルファンロンに展開が味方しそうだ。

 鮮やかな赤い実を結実させる馬が出ることを楽しみにしたい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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