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スーパースターの誕生で秋競馬の楽しみが増えた

  • 2020年06月22日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・6/21 ユニコーンS(GIII・東京・ダ1600m)
 レッチェバロックをマークする形で2番手を追走したカフェファラオが直線で力強く抜け出し、大外から伸びたデュードヴァンに5馬身差をつけて圧勝しました。勝ちタイム「1分34秒9」はレースレコード。2着との着差「5馬身」はレース歴代2位です。これらは馬場コンディションや相手次第で変化するものではありますが、勝ちっぷりから受ける個人的な印象はレース史上有数のものでした。

 父アメリカンファラオは現役時代に米三冠を制し、ブリーダーズCクラシックをレコード勝ちした名馬で、種牡馬としても昨年の米ファーストシーズンサイアーチャンピオンとなっています。産駒はアメリカとヨーロッパ双方の芝重賞を制し、むしろ芝向きの適性が見て取れます。

 ただ、日本ではこれまでに挙げた10勝はすべてダート。いまのところ芝適性は見えてきません。ラストの切れ味勝負になりやすい日本の芝レースと、ハイペースの消耗戦になりやすい欧米の芝レースの違いが成績の明暗を分けている、という側面があるのかもしれません。それはともかく、カフェファラオがダート界の新しいスーパースター候補であるのは疑いないところでしょう。古馬と激突する秋競馬が楽しみです。

・6/21 函館スプリントS(GIII・函館・芝1200m)
 2番手を追走したダイアトニックが逃げるダイメイフジを交わして1番人気に応えました。昨年のスワンS以来となる重賞制覇です。前走、初の1200m戦にもかかわらず高松宮記念で3着。スプリンターとしての才能を垣間見せましたが、今回のレースはそれを証明するものでした。58kgを背負ってこの勝ち方は強いの一語です。父ロードカナロアは2012年のこのレースで1番枠が災いして前が開かず2着と敗れているので、父の雪辱を果たしたことになります。

 ロードカナロア産駒は北海道の洋芝を得意とし、函館芝1200mでは連対率28.8%と優秀な成績を挙げています。今年はダノンスマッシュがサマーシリーズに参戦しなかったのですが、その穴をダイアトニックが埋めてくれそうです。

今週の血統注目馬は?


・6/27 檜山特別(2勝クラス・函館・ダ1700m)
 登録馬の父のなかで函館ダ1700mに強い種牡馬はヨハネスブルグとルーラーシップ。前者は連対率36.4%(22戦8連対)、後者は32.1%(28戦9連対)。2010年以降、当コースで産駒が20走以上した75頭の種牡馬のなかで第2位と第4位に相当します。連対率が30%を超えていれば相当優秀な成績と考えていいでしょう。ヨハネスブルグ産駒のヴィーダ、ルーラーシップ産駒のダンツキャッスルは要注意です。とくに昨年のユニコーンSで3着となった実績を持つ後者は、長期休養明け3戦目で走りごろでしょう。

今週の血統Tips


 過去20年間の宝塚記念優勝馬を父別に集計すると第1位はステイゴールド。5頭の優勝馬を出しています。09年ドリームジャーニー、10年ナカヤマフェスタ、12年オルフェーヴル、13、14年ゴールドシップ。優勝馬が出たのは09年から14年なので、わずか6年間に5頭の優勝馬を出したことになります。

 この季節の阪神開催は雨に祟られることが多く、宝塚記念は良馬場であってもじっさいは水分を含んだ馬場であることが珍しくありません。力の要る小回りコースを舞台に、瞬発力よりもスピードの持続力、スピードよりもスタミナが要求されるレースです。

 ステイゴールド産駒はこうした条件が滅法得意です。今年、ステイゴールド産駒はアフリカンゴールドとスティッフェリオが登録しています。また、オルフェーヴル産駒のラッキーライラックも登録しています。どれも要注意です。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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