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【函館記念】露草のように粘り強く、遅咲きの花を咲かせる

  • 2020年07月18日(土) 12時00分

2年以上のブランクから復帰、前走も能力見せている


 函館名物のハンデ重賞、函館記念。波乱が多い分、期待するものは大きい。特に道悪になったときは、大胆にチャレンジできるレースだと信じてきた。20年前、ひとつのひらめきから大成功に導かれたことがあった。

 馬場が悪いことと軽ハンデ馬ということを結びつけ、他の事は意に介さず、父フレンチグローリーで52キロの14番人気、クラフトマンシップからそれらしき馬たちに手を広げてチャレンジしたのだった。そして、期待通りクラフトマンシップは道悪巧者ぶりを発揮して勝ち、2着にやはり52キロで7番人気オースミタイカンが入って大波乱を生んでいた。それ以後、これほど荒れた年は滅多にないが、GIIIのハンデ重賞だからこそ、通常の考え方でない何かをいつも考えることにしてきた。

 そのひとつに、重賞初制覇に焦点を合わせるというのがある。事実、この6年はずっとこのケースだった。それは、雨あがりの朝などにけなげに咲く露草(つゆくさ)の花を見つけるようなもの。一見、ひよわそうに見える青い花だが、実は大変ねばり強いところがある。猛暑のときはいかにもげんなりした様子でも、いったん水を含むとその青さがさえざえと見えるのだ。

 そこで狙いたいのが、2年以上のブランクから復帰しているベストアプローチだ。ベテラン勢の存在が目立つ重賞だが、3歳時青葉賞2着でダービー9着、菊花賞にも駒を進めていて、これまで12戦3勝2着2回、この5連対が2000米から2400米という中距離馬。久々の巴賞は前に行った3頭が残る戦いの中、最速の上がりで能力のあるところを見せていた。6歳馬が遅咲きの花を咲かせることに期待したい。今度は、流れが速くなるとみた。

 もう一頭が、やはり6歳馬のプレシャスブルー。昨年札幌で勝っていて洋芝の実績はある。これも奥手のタイプで、この春から上位クラスを戦っている。前走、新潟大賞典3着のときの末脚は目立っていた。

 今年は、巴賞を逃げ切ったトーラスジェミニがいるので、これを目標にペースは速くなるとみている。それでも馬場を考えると、走破タイムは少しかかり2分前後、そこに伏兵の付け入るスキがあるだろう。その点、ニシノデイジーにも展開は向きそうだ。久々に手綱を取る勝浦騎手なら、しっかり自分のペースを守るだろうから、洋芝実績そのままの好走は期待できる。

 ダービー馬の全弟レイエンダという、洋芝2戦2勝の巧者がまともなら力が上という評価の中、果して伏兵陣の出番があるかどうか。手ごわい重賞であることは間違いない。サマー2000シリーズ、次のステップにどう結びつくか。ねばり強く、さえざえと見える馬をさがしたい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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