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ジャスティンの奮闘とZendenの強さ ドバイゴールデンシャヒーン回顧

  • 2021年04月01日(木) 18時01分
挑戦者

▲ジャスティンと挑んだドバイゴールデンシャヒーンを回顧 (撮影:岡田修平)


3/27(土)に行われたドバイゴールデンシャヒーンに挑んだ、坂井瑠星騎手とジャスティン(牡5、栗東・矢作芳人厩舎)。サウジアラビアからの転戦で、経験を高めた中での満を持しての挑戦でした。今回は、約2か月間に渡ってお届けしたサウジアラビア&ドバイ遠征コラムの最終回として、詳細なレース回顧をお届けします。

※このコラムは無料でお楽しみいただけます。

※坂井騎手はすでに帰国され、現在は隔離期間中となっています。皐月賞週の4/17(土)から日本での騎乗が再開される見通しですので、坂井騎手への益々のご声援をよろしくお願いいたします。

Zendenの強さを胸に刻みつつ、心よりご冥福をお祈りします


 netkeibaをご覧のみなさん、こんにちは。坂井瑠星です。

 今回は、ジャスティンと挑んだドバイゴールデンシャヒーンについて振り返りたいと思います。

 レース前日は軽めのメニューでしたが、いい感じにスイッチが入っており、万全の状態でした。調教後には、矢作先生とゴールデンシャヒーンに出走する他馬の分析や作戦会議を行い、理想は内の行きたい馬を行かせて2番手で運ぶ形、誰も行かなければハナに行ってもいい、とにかく上手くゲートを出てスムーズな競馬をしたい──という結論になりました。

 レース前日の夜は、緊張半分、楽しみ半分でなかなか寝付けませんでしたが、サウジとドバイの思い出や、この1カ月半でやってきたことを振り返っているうちに眠ることができました。

 迎えた当日。寒かったサウジのときとは違い、気温は35度くらいで、いつものドバイでした。戸崎さんと一緒に早めに競馬場に入り、第1レースから見学。日本でもお馴染みのムーア騎手やビュイック騎手は、この日も当たり前のように勝っていて、相変わらずの存在感でした。

 レースは順調に進んでいき、いよいよジャスティンが出走するドバイゴールデンシャヒーンです。前走のサウジではパドックからかなりイレ込んでいたので、今回はパドックで周回せずに、馬場に先出しをして返し馬に。

 それでもテンションは上がり、何度もジャンプをしてロデオのようになりながらゲートまで向かいました。ゲート裏でも発汗はありましたが、前走時よりはマシで、許容範囲内だったと思います。課題のゲートは、中間の練習の成果もあり、何とか五分のスタートを切ることができました。

 ポジションさえ取ってスムーズなレースができればいい勝負になると思っていたので、しっかり主張して2番手を取りました。ここまではイメージ通りで、理想の形だったのですが──。

 最後の直線まで少しでも余力を残しておきたいと思い、そこからは折り合いに専念。

 ところが、いつもは掛かって抑えきれないくらいのジャスティンが全力疾走をしても、ハナに行ったZendenのペースには付いていくのが精一杯でした。

 結局、そのままZendenが逃げ切り、ジャスティンは11着という結果に。

挑戦者

▲▼Zendenが逃げ切り、ジャスティンは11着 (撮影:岡田修平)


挑戦者

 ジャスティンが一番強いと信じていたのでショックではありましたが、勝つために自分が考えていたレースはできたので後悔はありません。

 世界トップレベルのスプリンターたちのスピードを体感できたのは素晴らしい経験でしたし、新しい課題も見つかりました。いつかリベンジできるよう、ジャスティンとともに成長していきたいです。

 そしてもうひとつ。

 ニュースなどでご覧になられた方も多いと思いますが、勝ち馬のZendenがゴール直後に故障を発生し、安楽死になってしまいました。

 無事にレースを終えて帰ってくることが、どれだけ大変でありがたいことなのかを痛感し、競走馬が命を懸けて走ってくれていることを改めて思い知った出来事でした。馬に感謝すること、人に感謝することを忘れずに、これからも過ごしていきたいです。

 何度やり直しても、あのレースのZendenに勝てる馬はいないと思えるほどに、圧倒的なスピードと強さでした。

 その強さを胸に刻みつつ、心よりご冥福をお祈りします。

挑戦者

▲「圧倒的なスピードと強さを見せたZenden、心よりご冥福をお祈りします」 (C)netkeiba.com


【インスタライブ開催のお知らせ】

 netkeiba公式インスタグラムにて、『坂井瑠星騎手と一緒に大阪杯を観戦しよう!』ライブ配信が緊急決定!

 netkeibaと坂井瑠星騎手公式アカウントとのコラボ配信で、今週末に行われる大阪杯(GI)を一緒に観戦いただけます。

 2月中旬より、海外遠征をしていた坂井騎手。先日ドバイでの騎乗を終えて無事日本に帰国し、自主隔離期間中のため実現した企画です。

 さらに現在、netkeiba公式Instagramのストーリーズで「坂井騎手に聞きたいこと」を募集中。海外遠征中の裏話や、大レースに臨む際の騎手心理など、応募いただいた質問からピックアップして、当日坂井騎手にお答えいただきます。直接回答いただけるチャンスですので、ぜひご応募ください!

 ライブ配信は、Instagramのアカウントをお持ちの方なら、どなたでも無料で視聴可能。現役JRAジョッキーと一緒にGIを観戦できる貴重な機会、みなさまぜひご覧ください!

■インスタライブ『坂井瑠星騎手と一緒に大阪杯を観戦しよう!』
出演:坂井瑠星騎手(JRA)、キャプテン渡辺
日時:4月4日(日) 15時頃スタート
※当日のレース映像、音声の配信はございません。

※外部サイトにリンクします

1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属の調教師、叔父も元騎手の坂井薫人という競馬一家。同期には荻野極、木幡巧也、藤田菜七子ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎でデビュー。2019年、ノーワンでフィリーズレビューを勝利し重賞初制覇。2020年には、ダノンファラオでジャパンダートダービーに勝利し交流GI初制覇を飾った。日本だけの騎乗でなくオーストラリア、ドバイなど多くの海外遠征にも挑戦している。

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