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史上初めて海外ダートGIを制す歴史的快挙

  • 2021年11月08日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・11/6(現地時間) BCディスタフ(G1・米デルマー・ダート9ハロン)
 最終コーナーで先頭に立ったマルシュロレーヌが、内から差を詰めたダンバーロードをハナ差抑えて優勝しました。日本産馬がアメリカのダートG1を制したのは2018年のヨシダ(父ハーツクライ)以来3年ぶりのことですが、日本産馬かつ日本調教馬のダートGI制覇は史上初めてです。ただのG1ではなく、1984年のブリーダーズC創設以来、一貫してアメリカの牝馬中距離路線の最高峰に位置するビッグレースですから、その価値は絶大です。超ハイペースで前崩れとなり、後方待機のこの馬に展開が向いたとはいえ、それだけで勝てるほど甘いレースではありません。

 レース創設以来、アルゼンチン産馬が3頭勝っていますが(バヤコア、パセアナ、ブループライズ)、すべてアメリカ移籍後の勝利でした。カナダ産馬&カナダ調教馬のダンススマートリーが勝ったことがあるとはいえ、同じ北米地区の馬です。芝競馬がメインのわが国で誕生し、日本よりもはるかにレベルの高いアメリカのダートG1を目指して太平洋を渡り、本場の強豪たちをなぎ倒して優勝したのは、歴史的快挙としか表現しようがありません。

 父オルフェーヴルは現役時代に三冠を制覇したほか、フランスでフォワ賞(G2・芝2400m)を連覇しています。2代父ステイゴールドは香港ヴァーズ(G1・芝2400m)とドバイシーマクラシック(G2・芝2400m)を勝ちました。海外遠征で力を出せる系統です。

 母ヴィートマルシェはこれまでJRAでデビューした7頭の産駒がすべて2勝以上を挙げているという名繁殖牝馬。2代母キョウエイマーチは桜花賞馬。後者はダンシングブレーヴ産駒ながら、母の父ブレイヴェストローマンの影響により非凡なダート適性を備えていました。

 母の父フレンチデピュティを含めて母方の血はパワーにあふれ、父オルフェーヴルも連対率ベースで見ると芝よりもダートのほうが上。ダート適性の高さを感じさせる血統です。ただ、時計の速いアメリカのダートにフィットするかどうかは実際に走ってみなければ分かりません。

 マルシュロレーヌは芝で走っていた時代に芝2000m1分57秒9という持ち時計があります。パワーだけでなくスピードにも秀でたものがあり、矢作調教師がアメリカのダートに向くと判断したのはそこだったのでしょう。慧眼だったと思います。

・11/6(現地時間) BCフィリー&メアターフ(G1・米デルマー・芝2200m)
 好位4〜5番手を進んだラヴズオンリーユーが直線で壁をこじ開けて抜け出しました。2005年にシーザリオがアメリカンオークス(米G1・芝10ハロン)を勝つなど、アメリカの芝中距離G1ではこれまで日本馬がしばしば善戦していました。したがって、現地の単勝オッズでは2番人気に推され、力量的に勝ち負けに持ち込むのは当然という下馬評でした。

 ただ、アメリカだけでなくヨーロッパの強豪も加わるだけに簡単に勝てるレースではなく、しっかりと準備をし、攻略を果たした陣営の手腕は、すべてにおいてプロ中のプロだったと思います。もちろん、馬の実力も世界屈指でしょう。

「ディープインパクト×ストームキャット」という組み合わせで、ドバイターフ(首G1)を含めて重賞を3勝したリアルスティールの全妹です。「父ディープインパクト、母の父ストームキャット」は、すでに国内外で9頭のGI勝ち馬が出ており、スタディオブマン(仏ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞、香港カップ)、リアルスティール(ドバイターフ)、キズナ(ニエル賞)など海外での活躍馬も目立っています。洋芝適性が高い配合なのでしょう。

 その一頭である本馬も、今年4月、香港でクイーンエリザベス2世C(G1・芝2000m)を制覇しました。3代母が世界的名牝ミエスク、2代母はキングマンボの全妹、そして自身はリアルスティールの全妹。そしてBCフィリー&メアターフ制覇ですから、繁殖牝馬としての価値はいまや天井知らずです。

今週の血統注目馬は?


・11/13 奥羽S(3勝クラス・福島・ダ1700m)
 福島ダ1700mと相性のいい種牡馬はヘニーヒューズ。これまで連対率25.6%と優れた成績を挙げています。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した計110頭の種牡馬のなかで第5位。当レースに産駒が出走する種牡馬のなかではナンバーワンです。当レースには同産駒ディモールトが登録しています。ここ3走、11、11、8着と振るいませんが、ここ2走は距離が短く、3走前は同じ1700mでしたが、外枠だったため終始外を走らされました。人気が落ちる今回は狙い目でしょう。

今週の血統Tips


 今週のエリザベス女王杯は、昨年と同じく阪神芝2200mで行われます。京都競馬場の改修工事は2023年3月まで行われるので、来年も阪神コースで行われる予定です。京都芝2200mは外回りコースでしたが、阪神芝2200mは内回りコース。京都と阪神のエリザベス女王杯をラッキーライラックが双方勝ったとはいえ、これは能力が高かったからこそできた芸当であって、内回りと外回りでは基本的に求められる能力が違います。内回りコースはステイゴールド系やスクリーンヒーロー産駒が得意としています。

 今回の出走馬のなかではウインキートス(父はゴールドシップ、その父ステイゴールド)、ウインマリリン(父スクリーンヒーロー)がこれに該当します。ラヴズオンリーユーと4分の3同血の関係にあるテルツェット(父が同じで母同士が親子)は、母の父にデインヒル系が入るので、ディープインパクト産駒のなかでは小回り適性が高いタイプです。混戦ムードなので馬券的に楽しめるレースでしょう。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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