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牡馬クラシックの有力候補を3頭擁している今年のハーツクライ産駒

  • 2022年02月14日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・2/13 共同通信杯(GIII・東京・芝1800m)
 中団追走のダノンベルーガが直線で外から伸び、ジオグリフに1馬身半差をつけて快勝しました。これでデビュー2連勝。今年の3歳牡馬戦線は、GIを勝ったキラーアビリティとドウデュース、それに東京スポーツ杯2歳S(GIII)を勝ったイクイノックスあたりが中心勢力ですが、キャリア不足をものともせず出世レースを制したダノンベルーガも、それらに加わった感があります。

 父ハーツクライはサンデーサイレンスの代表的な後継種牡馬の一頭で、リスグラシュー、ジャスタウェイ、スワーヴリチャードなどを出しています。すでに種牡馬を引退しており、現1歳がラストクロップとなります。

 これまで11世代がクラシックレースに挑みましたが、勝ったのはワンアンドオンリー(日本ダービー)とヌーヴォレコルト(オークス)の2頭だけ。基本的に古馬になってから大成するタイプです。

 ただ、今年はダノンベルーガに加えてドウデュース、マテンロウレオと、牡馬クラシックの有力候補を3頭擁しており、期待が高まります。ダノンベルーガの母コーステッドは、現役時代にBCジュヴェナイルフィリーズターフ(米G1・芝8ハロン)で2着という戦績があります。母方にシアトルスルーを持つハーツクライ産駒は父の代表的なニックスで、スワーヴリチャード、ドウデュース、アドマイヤラクティなど多くの活躍馬が出ています。

 馬群のなかで揉まれた経験がないので、多頭数のクラシックレースではそのあたりがネックとなりますが、逆にいえばそれぐらいしかケチのつけどころが見当たりません。このまま無事に行ってほしいものです。

・2/12 クイーンC(GIII・東京・芝1600m)
 後方追走のプレサージュリフトが直線で外から伸び、内で粘るスターズオンアースをクビ差とらえました。これでデビュー2連勝。いずれもスタートで出遅れながらラストの豪脚でねじ伏せるというレースぶりです。アイビスサマーダッシュ(GIII)を制したオールアットワンスの半妹ですが、父がマクフィからハービンジャーに替わったので、タイプはまったく違います。母シュプリームギフトはデアレガーロ(京都牝馬S)の半姉で、函館スプリントS(GIII)で2着となったスピードタイプでした。

「ハービンジャー×ディープインパクト」の組み合わせは成功しており、現3歳世代からリブースト(紫菊賞を含め2戦2勝)、アライバル(新潟2歳S-2着)が出ています。また、母方にサンデーサイレンスとアレッジドを併せ持つハービンジャー産駒は、連対率22.2%、1走あたりの賞金額205万円という成績で、ハービンジャー産駒全体の14.7%、161万円をそれぞれ大きく上回っています。ニックスといえるでしょう。

 現3歳のハービンジャー産駒は、種付けの前年秋にディアドラ(秋華賞)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ペルシアンナイト(マイルCS)が立て続けにGIを勝ったため、繁殖牝馬の頭数と質が前年に比べて大幅に上昇しました。その結果、世代別の種牡馬ランキングは、前年の18位から7位にジャンプアップし、本馬のほかにも牝馬クラシックの有力候補であるナミュールや、若駒Sを勝ったリューベックなど、将来性を感じさせる産駒が目白押しです。

 本馬は体質面に弱さを抱えており、本格化するのはまだ先だと思われますが、未完成な状態でこれだけのパフォーマンスを披露するわけですから、大器であるのは間違いありません。

今週の血統注目馬は?


・2/19 ダイヤモンドS(GIII・東京・芝3400m)
 東京芝3400mに強い種牡馬はハーツクライ。過去10年間に16頭が出走し、4勝、2着2回、3着2回という成績。勝率25.0%、連対率37.5%、複勝率50.0%は他の種牡馬の追随を許しません。今年はアドマイヤアルバとゴーストの2頭が出走します。注目は後者。前走のステイヤーズS(GII)で5着と健闘し、この距離における素質の確かさを印象付けました。調子が上向いていれば面白いでしょう。

今週の血統Tips


 ダート1600m戦は、JRA全10競馬場のなかで東京競馬場でしか行われません。にもかかわらず、JRAのダート重賞のなかで最多となる年間3レースが組まれています。東京ダート1600mの重賞に強い種牡馬はゴールドアリュール。通算9勝を挙げています。2位フジキセキ、トワイニングがそれぞれ3勝ですから、並外れた数字であるといえるでしょう。

 フェブラリーS(GI)だけでも4勝しています。ゴールドアリュールはサンデーサイレンスを父に持つダート種牡馬で、父のセールスポイントである末脚の確かさを産駒に伝えているため、直線の長い東京コースを得意としています。そして、大レース向きの底力に恵まれていることも、ビッグレースにおける強さの下地となっています。

 今年のフェブラリーSにはサンライズノヴァが登録していますが、8歳馬だけに多くは望めないでしょう。近年は外国産馬の強さが目立ち、目下2連勝中。今年、外国産馬はカフェファラオしか登録していませんが、昨年の覇者だけに侮れません。父アメリカンファラオは米三冠馬で、東京ダート1600mでは連対率35.3%と抜群の成績。調子が戻っているようならチャンスは大いにあります。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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