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【藤沢和雄調教師へ…】北村宏司騎手「引退されても藤沢先生に見られているという意識を持って」

  • 2022年02月23日(水) 18時01分
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▲愛弟子・北村宏司騎手が語る「藤沢和雄師から教わったこと」 (C)netkeiba.com


2022年2月末をもって惜しまれつつも定年を迎える、名伯楽・藤沢和雄調教師の「引退特集」。今回からは、藤沢調教師に縁の深い競馬関係者たちが登場。藤沢調教師との様々なエピソードを明かしていただきます。

最初に登場するのは、愛弟子の北村宏司騎手。1999年に藤沢厩舎所属としてデビューし、2011年にフリーとなってからも、藤沢調教師のすぐそばでその姿勢を学び続けてきました。師匠から学んだこととは。そして、いま改めて師匠に伝えたい思いとは。

(取材・構成=筑波遼)

師匠・藤沢調教師との日々――出会いから今日までの思い出


北村 競馬学校生(厩舎実習)の頃も含め、藤沢先生から学んだことは多すぎます。この世界で身につけたこと、仕事に対する考え方の多くは先生に教わったことばかり。そうですね、かなりの割合を占めています。

 普段の生活ぶりなど人間的な部分も見抜かれているような気がしますね。所属の頃は毎日が藤沢厩舎を中心に回っていたし、そういう生活が自然と自分のリズムになっていました。責任を感じる毎日でしたし、その積み重ねで今に至るというか…。

 競馬ではダンスインザムードとスピルバーグでGIを勝たせてもらいましたが、それも積み重ねの先にあった結果。年月以上に厚みのある経験をさせていただきました。

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▲自身初のGI勝利となったダンスインザムードのヴィクトリアM (撮影:下野雄規)


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▲日々の積み重ねが実ってのGIタイトルだった (撮影:下野雄規)


“ホースマン・藤沢和雄”とは――弟子だからこそ知る魅力


北村 あれだけトップに立ち続けていても踏みとどまらず、常に新しいことを取り入れていこうとする意識の高さや柔軟さを感じます。

 馬本位の芯は崩さず、その中で常日頃からアンテナを張っていました。馬や人の観察力は勿論、発想の転換も早いですしね。油断していたら置いていかれてしまうし、ついていくのに必死でした。

 些細なことであってもハッと気付かされるようなことばかり。難しかったり、悩むこともありましたし…。それだけのレベルの仕事を求められていたのだと思います。

“ホースマン・藤沢和雄”から教わったこと――自身に根付く師匠の教え


北村 先生との会話であったり、ひとつひとつが印象に残っています。ありすぎて言葉にするのは難しいですね。

 怒られたりしながらも毎日の仕事を覚えてきたけど、その時々の状況に応じて考え方をアップデートしていかなければいけない。先生が考えていることを少ない言葉の中で汲み取り、細かく指示を出されなくても自分で動けるように心掛けました。

 一頭一頭の調教にしても常に先のことを想像しながら乗ること、それを競馬につなげられるように…。そうした毎日の積み重ねが大事だという意識を植えつけられました。

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▲「一頭一頭の調教も常に先のことを想像しながら…」と北村騎手 (撮影:筑波遼)


師匠へのメッセージと、これからの騎手人生への決意


北村 なんというか、僕自身の中では褒められたいと思う存在でした。競馬の勝ち負けだけではなく、普段の仕事や生活面も含め…。実際に褒められたことは少なかったですけどね。

 引退されても藤沢先生に見られているという意識は消えないと思います。「お前は何を見てきたんだ」と言われないよう、いつ見られても恥ずかしくないように緊張感を持って毎日の仕事に取り組んでいきたいですね。すべてにおいて感謝しかありません。

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▲藤沢調教師へ「すべてにおいて感謝しかありません」 (撮影:筑波遼)


(文中敬称略)

【掲載スケジュール】
2/21(月)18時 「藤沢和雄物語」(前編)


2/22(火)12時 「藤沢和雄物語」(後編)


2/22(火)18時 藤沢和雄調教師ご本人インタビュー


2/23(水)18時 弟子・北村宏司騎手インタビュー


2/24(木)18時 弟子・杉原誠人騎手インタビュー


2/25(金)18時 鹿戸雄一調教師インタビュー


2/27(日)18時 オリビエ・ペリエ騎手インタビュー

1951年9月22日、北海道生まれ。JRA美浦所属の調教師。1988年の厩舎開業以降、数々の活躍馬をターフへ送り出し、1995年から2009年までの間、11度のJRA賞最多勝利調教師を獲得した名伯楽。2022年2月末で惜しまれつつも定年を迎える。

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