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【中山記念予想】優れた中距離スピード能力を伝えるトウショウボーイの血

  • 2022年02月26日(土) 18時00分

坂がある分、2000m級をこなす総合力も必要


 先手を主張するはずのパンサラッサは、2走前の福島記念2000mを前半1000m通過57秒3で飛ばし、1800m通過地点は1分46秒1。4馬身差の独走だった。このとき2番手追走から15着に沈んだコントラチェックも、中山の京成杯AH1600mを前半1000m通過56秒8で飛ばし、マイルを1分32秒0で粘っている。

 開催が替わってAコース使用。良馬場予想。昨年は1分44秒9のコースレコードタイで決着したが、今年も高速決着必至か。イギリスの距離体系(当時は16F、12F、8F、6Fが基本)を範に出発したのがJRAの競走体系なので、中山記念の芝1800m(9Fに相当)、同日阪急杯の芝1400m(約7F)にGIはなく、ずっと微妙なスペシャリストの距離とされてきた。

 しかし、現代は種牡馬も輸入牝馬もアメリカ競馬(重要レースは、10F、9F、8F、6Fに集中)と密接に関係している。中でも1800mは少しも特殊な距離ではなく、コース形態も関係して基本距離にも近い。現に日本に絶大な影響力を及ぼしたサンデーサイレンスは、記録した全9勝の平均距離が約9Fだった。

 そこで現在は、血統背景を問わずきわめて多くの馬が快走できるのが1800mだが、最後に坂がある形態の中山記念への適性は重要。2000m級をこなす総合力も求められる。

 例えは古いが、トウショウボーイの母ソシアルバターフライ(1957年米産)は、日本に輸入されるとたちまち1972年中山記念のトウショウピットを送った。ソシアルバターフライを祖母に持つ牝馬エイティトウショウと、その全弟トウショウペガサスは、1982-1986年の中山記念を2頭で【3-2-0-0】。5年も連続して連対した。

 もうこの牝馬の直系子孫は少ないが、トウショウボーイの血を伝える馬は多い。2001年2着のジョウテンブレーヴ、2000年3着のビッグサンデーの牝系にトウショウボーイは登場し、1993年に2着したシスタートウショウは父がトウショウボーイだった。

 近年では、2019年の中山記念を「クビ、アタマ差」3着ステルヴィオ(父ロードカナロア)の3代母の父がトウショウボーイ。今年の伏兵アドマイヤハダル(父ロードカナロア)の3代母で、名牝スイープトウショウの祖母になるサマンサトウショウの父も、優れた中距離スピード能力を伝えるトウショウボーイになる。

 もちろん、結びつけるのは無理筋だが、アドマイヤハダルは3歳春より力強く、かつ鋭くなっている、皐月賞4着の内容から、厳しい流れの1800mは歓迎のはずだ。

「阪急杯」の主軸は、芝1400m【5-1-1-0】のダイアトニック(父ロードカナロア)。相手の筆頭に、迫力満点の動きに成長した4歳モントライゼを買いたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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