【中山記念予想】優れた中距離スピード能力を伝えるトウショウボーイの血
坂がある分、2000m級をこなす総合力も必要
先手を主張するはずのパンサラッサは、2走前の福島記念2000mを前半1000m通過57秒3で飛ばし、1800m通過地点は1分46秒1。4馬身差の独走だった。このとき2番手追走から15着に沈んだコントラチェックも、中山の京成杯AH1600mを前半1000m通過56秒8で飛ばし、マイルを1分32秒0で粘っている。
開催が替わってAコース使用。良馬場予想。昨年は1分44秒9のコースレコードタイで決着したが、今年も高速決着必至か。イギリスの距離体系(当時は16F、12F、8F、6Fが基本)を範に出発したのがJRAの競走体系なので、中山記念の芝1800m(9Fに相当)、同日阪急杯の芝1400m(約7F)にGIはなく、ずっと微妙なスペシャリストの距離とされてきた。
しかし、現代は種牡馬も輸入牝馬もアメリカ競馬(重要レースは、10F、9F、8F、6Fに集中)と密接に関係している。中でも1800mは少しも特殊な距離ではなく、コース形態も関係して基本距離にも近い。現に日本に絶大な影響力を及ぼしたサンデーサイレンスは、記録した全9勝の平均距離が約9Fだった。
そこで現在は、血統背景を問わずきわめて多くの馬が快走できるのが1800mだが、最後に坂がある形態の中山記念への適性は重要。2000m級をこなす総合力も求められる。
例えは古いが、トウショウボーイの母ソシアルバターフライ(1957年米産)は、日本に輸入されるとたちまち1972年中山記念のトウショウピットを送った。ソシアルバターフライを祖母に持つ牝馬エイティトウショウと、その全弟トウショウペガサスは、1982-1986年の中山記念を2頭で【3-2-0-0】。5年も連続して連対した。
もうこの牝馬の直系子孫は少ないが、トウショウボーイの血を伝える馬は多い。2001年2着のジョウテンブレーヴ、2000年3着のビッグサンデーの牝系にトウショウボーイは登場し、1993年に2着したシスタートウショウは父がトウショウボーイだった。
近年では、2019年の中山記念を「クビ、アタマ差」3着ステルヴィオ(父ロードカナロア)の3代母の父がトウショウボーイ。今年の伏兵アドマイヤハダル(父ロードカナロア)の3代母で、名牝スイープトウショウの祖母になるサマンサトウショウの父も、優れた中距離スピード能力を伝えるトウショウボーイになる。
もちろん、結びつけるのは無理筋だが、アドマイヤハダルは3歳春より力強く、かつ鋭くなっている、皐月賞4着の内容から、厳しい流れの1800mは歓迎のはずだ。
「阪急杯」の主軸は、芝1400m【5-1-1-0】のダイアトニック(父ロードカナロア)。相手の筆頭に、迫力満点の動きに成長した4歳モントライゼを買いたい。