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【フィリーズR】本番と結びつきにくい桜花賞トライアル

  • 2022年03月12日(土) 12時00分

若い牝馬たちがどう進化していくかを見届けるのも競馬の面白さ


 桜花賞トライアルと言っても、本番と結びつきにくいフィリーズレビューだが、実際にどうなっているのか、遡って調べてみた。

 この10年、ここから本番に出た馬は52頭、毎年5頭前後が桜花賞に出走していて、勝ったのが2017年のレーヌミノル1頭で、3着に2頭がからんだだけ。そのレーヌミノルは、フィリーズレビュー2着で本番を迎えていた。

 また、3着に来た2頭は、このトライアルの1、2着馬で、この10年で馬券圏内に来た3頭ともマイル適性の高い馬という共通点があった。と言うのも、この3頭とも、暮れの阪神JFで上位に入線という共通した成績を残しており、フィリーズレビューで1、2着に入って力を証明し、これが桜花賞につながったということになる。

 阪神内回り1400米から、外回り1600米の本番だからレース全体の質が異なっている。外回りのマイル戦はそんなにペースが上がらず、ラスト3ハロンの瞬発力がものを言うのに対し、内回り1400米はその逆で、平均よりやや速いペースになるので最後のもうひと踏ん張りが利くパワーが求められている。この前傾ラップのため逃げ馬が残ることは少なく、上がり最速馬の成績がいいという傾向になっている。

 このトライアルと本番ではこれほど求められるものが違っていることは、この両方を勝った馬が、2005年のラインクラフトまで遡らなければいないことで証明できる。

 内回り1400米にどう対応できるか、出走馬は全てこの課題にチャレンジするのだが、こちらの方により適性があるもの、折り合いに不安があるのでペースの上がるこっちに出てきたもの、少なくともこの2通りはあると言えよう。

 この先を考えたとき、チューリップ賞組か、フィリーズレビュー組かである程度の見通しは立つ。以前、牡馬を押えてスプリンターズSを勝ったアストンマーチャンが、フィリーズレビューを勝った馬だったことは、記憶に新しいのではないか。若い牝馬たちが、これからどう進化していくか。その行く末を見届けるのも競馬の面白さと言える。

 フィリーズレビューは、とりあえず桜花賞出走の切符を手にするのが主眼とするものが多く、そこに焦点を当てたい。

 そこでまずは、ナムラクレアを。阪神JFの5着馬。小倉2歳S1200米1着、ファンタジーS1400米2着と着実に前進してきた。唯一の重賞勝ち馬で、父が名マイラーのミッキーアイルと、条件が揃っている。

 あとは走ってみなければ分からない面々で、4戦目を1800米で勝ってきたマイシンフォニーはスタートは速いので1400米でも対応できるだろう。それから、父がキズナだけになんとか桜花賞に出てほしいアネゴハダを。前走と全く同じ条件なので心強い。そして、サブライムアンセムのキャリアの多さが魅力だ。

「とりあえず 切符手にして 桜花賞」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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