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驚異の勝ち上がり率 アベレージの高さが目を惹くモーリス産駒

  • 2022年03月14日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・3/13 金鯱賞(GII・中京・芝2000m)
 ハナを切ったジャックドールが1分57秒2のコースレコードで逃げ切り、初の重賞タイトルを獲得しました。昨年9月に1勝クラスを勝ってから5連勝です。9Rの岡崎特別(2勝クラス)で芝1400m1分20秒0が出たように、時計の出やすい馬場で行われたため、驚くほど速いタイムというわけではありませんが、逃げ馬にラスト1000mを57秒9でまとめられると後続の馬はお手上げです。

 父モーリスはピクシーナイト(スプリンターズS、シンザン記念)、シゲルピンクルビー(フィリーズレビュー)、ルークズネスト(ファルコンS)の父。このほか、シャトル種牡馬となって供用されたオーストラリアでG1を2勝したヒトツが出現しています。現在、同国における3歳世代限定の種牡馬ランキングでモーリスは第4位。50頭出走して26頭が勝ち上がり、39勝を挙げています。1頭の傑作に引っ張られた数字ではなく、全体のアベレージの高さが目を惹きます。

 モーリス産駒は成長力があり、3歳夏を越してから馬体に実が入る傾向があります。3歳春まで少々物足りない成績だった馬が、その後、地力を強化してクラスを駆け上っていくシーンを、昨年夏以降しばしば目にしましたが、ジャックドールはその代表格といえるでしょう。母の父アンブライドルズソングは、コントレイルやスワーヴリチャードの母の父でもあり、ブルードメアサイアーとして定評があります。

・3/13 フィリーズレビュー(GII・阪神・芝1400m)
 後方を追走したサブライムアンセムが直線で馬群を割って伸び、ナムラクレアをアタマ差とらえました。初勝利まで6戦を要したのですが、格上挑戦をものともせず見事連勝で重賞を制覇しました。父ロードカナロアは今年に入って重賞5勝目。全種牡馬のなかでナンバーワンの成績です。

 4、5歳世代は全体的に低調な成績でしたが、3歳世代の血統登録頭数は前年比43頭増の216頭。なおかつ、繁殖牝馬の質も上がったので、成績的に大きく上昇しています。この世代の重賞勝ち馬はキングエルメス(京王杯2歳S)に次いで2頭目で、今後さらに増えることが予想されます。

 ハッピートレイルズにさかのぼるファミリーは、シンコウラブリイ、キングストレイル、コディーノをはじめ多くの重賞勝ち馬が出ています。「ロードカナロア×シンボリクリスエス」はレッドガラン(中山金杯)と同じ。この2頭は2代母の父がサンデーサイレンスであることまで共通しているので、正確に記せば8分の7同血です。

今週の血統注目馬は?


・3/20 摂津特別(2勝クラス・阪神・芝1400m)
 阪神芝1400mに強い種牡馬はオルフェーヴル。これまでに産駒が61回走って14回連対しています。連対率23.0%。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した72頭の種牡馬のなかで第4位で、当レースに産駒が登録している種牡馬のなかでは第1位です。

 産駒のリヴェールは、昨年12月の猪名川特別(2勝クラス)で一度だけ当コースを走り、11番人気ながら2着と好走して大穴をあけました。今回も期待できます。

今週の血統Tips


 今週日曜日に行われる阪神大賞典(GII)は芝3000mの長丁場です。昨年、JRAで行われた平地競走は3300レース余りですが、芝3000m以上の長距離レースはわずか8レース。417レースに1回の割合でしか組まれていない計算です。

 特殊な条件であるため、登録馬の血統には偏りが見られます。ハーツクライ産駒とルーラーシップ産駒が3頭ずつ。オルフェーヴル産駒が2頭。オルフェーヴルと同じ「ステイゴールド×メジロマックイーン」のゴールドシップ産駒が1頭……。特定の血統が登録馬の大半を占めています。

 ハーツクライ、ルーラーシップ、オルフェーヴル&ゴールドシップは、わが国を代表する長距離血統です。このほか、今回は出走馬がありませんが、エピファネイアを含めてもいいでしょう。2020年代の芝長距離レースは、これらの産駒が中心となって展開していくことになるでしょう。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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