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【天皇賞・春予想】昨年のような厳しいペースにはならない可能性

  • 2022年04月30日(土) 18時00分

逆転があれば、主導権を握り緩急の流れを作れる馬


 27年ぶりに阪神で行われた昨年は予測以上に厳しいペースとなり、レースの前後半1600mは「1分35秒6-1分39秒1」のバランスで3分14秒7。全体のタイムは京都の3200mと同様でも、前半の方が「3秒5」も速い流れだったため、レース上がりは「49秒3-37秒4-13秒0」にまで落ち込んだ。京都とは様相が違った。

 当時4歳のディープボンド(父キズナ)は、2周目の内回りの3コーナー過ぎから追い通しになって、上がり37秒1。ワールドプレミアに差し切られたが、先に動いたカレンブーケドールを2馬身差して、タフなスタミナ優先の勝負を2着した。

 今年は一段と力をつけて鋭さもアップ。前回の阪神大賞典は3分05秒0。自己最高の上がり34秒6でアイアンバローズ(父オルフェーヴル)以下に着差以上の完勝だった。鋭さも増しているので、まず崩れないだろう。

 ただ、馬場状態は微妙だが、今年は昨年のような前傾バランスにはならない可能性がある。強気に行って粘り込む馬は少ない。ディープボンド逆転があれば、差す馬ではなく自分で主導権を握り、緩急の流れを作れる逃げ=先行型に違いない。

 4歳タイトルホルダー(父ドゥラメンテ)の全4勝は逃げ切り。これは死角であると同時に、自分でレースを作れる強みでもある。体調一歩の前回は辛勝だったが、菊花賞3000m(阪神)を3分04秒6で圧勝のバランスは推定「1分32秒5-1分32秒1」。絶妙の3000mだった。
  
 中間でペースを落とし、再加速した後半の1200mを1分11秒8(上がり35秒1-12秒2)でオーソクレース以下に5馬身差の独走を決めている。

 5歳になったディープボンドが今春3分05秒0で制した阪神大賞典3000mの前後半は推定「1分34秒4-1分30秒6」。レース全体のバランスはかなり異なるが、実は後半の1200m1分11秒6(レース上がり35秒5)に大きな差はない。ディープボンド自身は上がり34秒6-推定12秒2だが、これは前半が楽な追走だったため。タイトルホルダーの菊花賞は約2秒も速い前半を乗り切ったあと、上がり35秒1-12秒2だった。

 経験と総合力で、直前まで主軸と考えていた5歳ディープボンドには一日の長を認めたいが、4歳タイトルホルダーは菊花賞を自身で主導権を握って押し切った3歳秋の時点で、阪神3000mをディープボンドと互角か、それ以上の内容で勝っている。ディープボンドはこの枠順だけに、前半あまり行かない可能性が生じた。

 休み明けの日経賞は体調一歩だったが、今回のデキは明らかに異なる。昨秋の菊花賞と同等か、それ以上の中身をみせるなら逆転が可能だ。渋馬場はほとんど苦にしない。横山和生騎手のペース判断は、弟の武史騎手(菊花賞圧勝)と互角以上に鋭い。

 当然、崩れないだろうディープボンドが最大の強敵だが、時計を要する馬場になって怖いのはマカオンドール(父ゴールドシップ)。この馬を三番手にピックアップしたい。次いでテーオーロイヤル。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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