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【ヴィクトリアマイル予想】レイパパレは本当に道悪巧者なのだろうか

  • 2022年05月14日(土) 18時00分

久しぶりのマイル戦も不安どころか…


 各地で雨が続いたあとだが、降雨量が多くなかった府中の芝は、今週から内ラチを3m外に出したBコース。土曜日朝の発表は「芝は稍重」だった。東京の芝は馬場の内寄りから回復していくことでも知られる。ヴィクトリアマイルの時間には、含水量は高くても良馬場だろう。土曜4R芝1800mの未勝利戦が1分46秒2(稍重)。高速だった。

 昨春、重馬場の大阪杯2000mを4番人気ながら、コントレイル、グランアレグリアを完封して圧勝したレイパパレ(父ディープインパクト)は、重馬場を苦にしない牝馬として、それまでの印象と評価は大きく変化した。重巧者と評されることも珍しくない。

 だが、本当に道悪巧者なのだろうか。デビュー3戦目の3歳の夏、新潟1800mを1分45秒3で快勝した際の自身の後半は「45秒0(推定)-33秒2-11秒3」だった。いかに高速の新潟とはいえ、3戦目の小柄な牝馬であり、ディープインパクト譲りのバネで加速した快速型だった。

 昨年の重の大阪杯。最初は大跳びのストライドなのに、走りにくい芝を察知すると、自身で途中からピッチ走法に変えている。そこに「渋馬場では身体能力が互角なら小柄な馬の方が推進力を失わず、大型馬より負担が少ない」。そんなパターンが重なった。

 人気の牝馬グランアレグリアは496キロの身体を軟弱な馬場で動かさなければならなかったのに、当時のレイパパレは軽い422キロ。明らかに負担は軽かった。

 6連勝でGIを完勝したレース巧者レイパパレは、現在は6連敗だが、これは距離と体調によるもので、体調が整い始めた前2戦の2000mのレース内容は、6連勝当時よりずっとハイレベル。2走前は中京で2000mを1分57秒6だった。

 スピード系のマイラーが本質と考えるなら、レイパパレの久しぶりのマイル戦は不安どころか大きなプラス。川田騎手の「いつもなだめるように乗っていた」のコメントも、スピード能力こそが真価を表している。良馬場の芝1600mで、再び評価一変がありえる。

 牝馬に影響力を与えることで知られるクロフネが母の父は、2019年のこのGIを1分30秒5のコースレコードで勝ったノームコアと、クロノジェネシス姉妹と同じ。

 渋馬場でも良かったが、馬場が回復してさらに有利なレイパパレに期待したい。もちろん、クロフネ直仔のソダシも芝か高速ダートの、1600mこそベストとしていい。

 先週のNHKマイルCと同じで思いがけない伏兵が絡むのがこのレースの大きな特徴。本格化なった芦毛の上昇馬メイショウミモザ(父ハーツクライ)は侮れない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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