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【安田記念】再度の対決で見事な勝利

  • 2022年06月06日(月) 18時00分

陣営の果敢な姿勢と鞍上の絶妙な騎乗


重賞レース回顧

4歳牝馬ソングラインが差し切りV(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 4歳牝馬ソングライン(父キズナ)が鮮やかな中位差し切りを決め、待望のGI馬となった。昨年のNHKマイルCでは抜け出して完全に勝ったと思えたゴールの瞬間、シュネルマイスター(父Kingmanキングマン)にハナだけ差され無念の2着だったが、再度の対決となった今回はクビ差逆転。見事な勝利だった。

 前走のヴィクトリアマイルでも馬群に包まれ残念な結果に終わっていただけに、コンビの池添謙一騎手にとっても、「勝つことができました」と振り返ることができる快心の勝利だった。

 速い流れにはならないだろうと予測されていたが、押して内から主導権を奪ったホウオウアマゾン(父キングカメハメハ)の作ったレース全体の流れは、前後半バランス「46秒7–45秒6」=1分32秒3。前半1000m通過「58秒7」レース上がり33秒6-11秒4。

 明らかなスローであり、時間の経過とともにいつのまにか1番人気になっていた追い込み一手のイルーシヴパンサー(父ハーツクライ)には辛い展開となった。

 途中で動いても切れ味がなし崩しになる危険大。最後は苦しい位置から懸命に伸びたが、8着(勝ち馬と0秒2差)が精いっぱいだった。今回は、GIのカベというより展開不向きが敗因だろう。

 勝ったソングラインの勝因は、中2週の調整の難しい日程にもかかわらず攻めの姿勢でビシッと仕上げた陣営の果敢な姿勢と、このスローを絶妙に生かした鞍上の絶妙な騎乗。

 3コーナー過ぎから「12秒0-12秒0→」。決して前半が速いわけではないのに、安田記念にしては非常に珍しくラップが落ちていた。ここでソングライン(池添騎手)は外からスーッと動いている。4コーナーは包まれる心配のない一番外に回った。

 2着シュネルマイスターも勝ち馬と同じようにいつもより早めに動いたが、馬自身の反応の遅さも重なってうまく馬群をさばくことができなかった。1-2着を分けあった組み合わせはNHKマイルCと同じだが、コース取りの妙がゴールに反映した。中間の動きもう一歩とされたが、さすがシュネルマイスター。当日の気配は決して悪くなかった。

 3着サリオス(父ハーツクライ)は、これでD.レーン騎手と【1-2-2-0】。あまり速くない流れがぴったりだったこともあるが、勝ったか、と思わせるシーンもあったから今回の好走は見事だった。前走比はマイナス22キロでも、今回の528キロは2着した日本ダービー時と同じ馬体重。このくらいのほうがベストに近いのだろう。珍しく大きなサリオスの馬体がシャープに映った。

 大外から最後に突っ込んで4着が、3歳セリフォス(父ダイワメジャー)。直線はソングラインより外になったが、もまれたくない3歳馬。上がり32秒8だけにもったいなかった印象は残るが、今後の大きな展望が広がったから納得の結果だろう。この時期、負担重量が4キロも軽い3歳馬で、すでに得意の形を身につけている馬は侮れない。

 ファインルージュ(父キズナ)は、この流れに乗って先行策。外枠だったらもっと接戦だったと思えるが、あの位置からは外には出せないので仕方がないだろう。明らかに外枠の馬が有利だった。

 ダノンザキッド(父ジャスタウェイ)は、本馬場に先出しの昂った気配がいつも以上の気負いにつながったか。途中から意識的に2番手に先行したというより、行きたがってしまった印象がある。行きたがらずに自身の前半1000m通過58秒8(推定)ならもっと粘れたと思えるが、休み明けでちょっとムキになってしまった。

 人気上位で13着にとどまったソウルラッシュ(父ルーラーシップ)は、今回の1分32秒9も、上がり33秒3も自身の最高時計を更新している。直線、前が詰まる大きな不利もあったが、1600mでは時計が速すぎたかもしれない。成長中の4歳馬、1800m、2000m級も十分に守備範囲だろう。

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登録済

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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