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【高柳瑞樹調教師】スターズオンアースは「おとなしいが、ハートは強い」牝馬3冠へ向けた期待と骨折後の経過は?

  • 2022年10月10日(月) 18時02分
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▲高柳瑞樹調教師に3冠へ意気込みを伺う(c)netkeiba.com


今年の桜花賞・オークスを制し、史上7頭目の牝馬3冠にリーチがかかるスターズオンアース。管理するのは開業13年目で今年の7月には通算200勝を達成した高柳瑞樹調教師。同馬と初めて出会ったのは1歳の春、実際に入厩した際には、素質の素晴らしさを感じたと話します。

そんな師に初GIタイトルをもたらし、牝馬2冠を達成したスターズオンアースはオークス勝利から1週間後、右前脚の骨折が発覚。さらに1週間後には左前脚の骨折が発覚します。牝馬3冠がかかる秋華賞を前にし、注目される現在の状態や骨折後の経過を伺いました。

(取材・文=デイリースポーツ・小林正明)

普段はおとなしく、やんちゃなところを見せない


──春のクラシックを振り返ってください。桜花賞は接戦を制してGI初制覇を達成しました。

高柳 これまでのレースではスタートが良くてすんなり流れに乗れていた馬です。桜花賞はゲートの中で落ち着いていましたし、問題はないように見えましたが、その割には進んでいかなかったですね。ポジションが後ろになってしまったので、どうしたのかなという感じはありました。

──位置取りはこれまでよりも後ろになったものの、最後は馬群の狭いところを突いて末脚を伸ばしました。改めてこの馬の強さを認識しましたか。

高柳 そうですね。ハートが強いのでしょう。狭いところを接触しながらも抜けてくれました。普通はあそこからは届かないですし、すごいなと思いました。

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▲スターズオンアースはハートが強い(c)netkeiba.com


──オークスは18番枠で大外からの発走となりながらも、直線で力強く抜け出して2冠を達成しました。

高柳 大外枠で一般的に不利だと言われているところでしたが、1コーナーの入りでいいポジションをとれたことが大きかったです。1800メートルの新馬戦でデビューしたくらいの馬です。桜花賞を考えて1600メートルを中心に使いましたが、今、振り返るとこの馬のリズムで走らせるには1600メートルは少し忙しかったのかなとは思います。オークスではしっかり折り合い、しまいの末脚を伸ばしていい競馬をしてくれました。あくまでも春の段階の話ですけど、距離が延びたことも良かったのだと思っています。

──春の成績をどうみてますか。


高柳 GIを2つ勝ってくれました。その前の重賞も勝てれば120点でしたが、そこは負けているので100点ですかね。

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▲春は120点とはいかずも、100点の成績(撮影:下野雄規)


──師が初めてスターズオンアースと対面したのはいつですか。

高柳 1歳の春ですね。体が大きくて立派な馬だと思いました。

──美浦に入厩して実際に携わっての印象はどうでしたか。

高柳 ポテンシャルの高さを感じました。初めての追い切りは伴騎手に乗ってもらいましたが、能力が高いだけに動きすぎるところがあるだろうと思ったので、そこは注意してほしいと言ったくらいです。素質はすばらしいと思いました。

──普段はどんなタイプですか。

高柳 おとなしいです。やんちゃなところを見せるようなこともないです。

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▲普段はおとなしいタイプ(撮影:下野雄規)


──ここからは秋華賞に向けての話を聞きたいと思います。オークスのレース後に両前脚の剥離骨折が判明し、手術をしました。症状としてはどの程度のものでしたか。

高柳 症状としては軽いもので、手術をしないという選択肢もあったくらいです。レース後、右前脚に少し腫れが見られたので、レントゲンを撮ろうという話になりました。念のために左前脚も撮ったところ骨折が判明しました。ただ、両前脚とも程度としては軽かったので、手術で骨片をきれいに取り除くことができました。今は脚の状態は問題ないですし、秋華賞に向けては計画通りに立ち上げることができました。

──1週前追い切りは美浦Wコースでルメール騎手が騎乗して6F85秒2-67秒8-52秒2-37秒8-12秒2を記録しました。動きを見てどうですか。

高柳 ルメール騎手に感触を確かめてもらいましたが、馬なりで反応はあったし、動きも良かったですよと、ジョッキーは言ってくれました。時計もイメージ通りのものでした。

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▲1週前追い切りに騎乗したルメール騎手も好感触(撮影:下野雄規)


──阪神芝2000メートルは内回りで特殊なコースとなります。舞台設定をどうみていますか。

高柳 距離は大丈夫です。ただ、阪神の2000メートルは内回りコースなので、レースでの立ち回りが重要になると思っています。

──3冠のかかるレースとなります。今の心境はどうですか。

高柳 馬は本当にすばらしいです。競走馬にとって牝馬3冠レースに出走する機会は1度しかありませんし、全てを勝つのは難しいことですが、こちらとしてはできることは全てやって、もうひとつ勲章をとらせてあげられるようにしなければいけないと思っています。

(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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