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この先も期待したい成長力に秀でた血統

  • 2022年10月11日(火) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・10/9 毎日王冠(GII・東京・芝1800m)
 中団につけたサリオスが馬群を縫って伸び、ジャスティンカフェを半馬身とらえて快勝しました。一昨年の毎日王冠以来、2年ぶりの勝ち星で、当レース2回目の制覇となります。

 母サロミナはドイツオークスを勝った名牝。繁殖牝馬としても大成功し、本馬のほかにサラキア(府中牝馬S、有馬記念-2着、エリザベス女王杯-2着)、サリエラ(ローズS-2着)、エスコーラ(5戦4勝)を産んでいます。「ロミタス×デインヒル系」という配合構成なので、凱旋門賞などG1を5勝したデインドリームと配合構成がよく似ています。

 その影響か、優れた成長力と底力を伝え、姉サラキアは5歳秋に本格化しました。本馬は2歳時に朝日杯フューチュリティSを勝った実績があり、3歳時には皐月賞と日本ダービーで2着と健闘。

 父ハーツクライも成長力に秀でた血統なので、再上昇してきたこの秋は期待できそうです。

・10/8 サウジアラビアロイヤルC(GIII・東京・芝1600m)

 グラニットの大逃げを2番手で追走したドルチェモアが、直線でグングン差を詰めてゴール前でとらえました。これで2戦2勝。

 ルーラーシップ産駒は古馬になって本領を発揮するので、2歳戦を得意としているわけではなく、これまでにデビューした7世代で2歳重賞を勝ったのは、本馬を含めて2頭しかいません(もう1頭は京都2歳Sを勝ったワンダフルタウン)。母アユサンが桜花賞馬で、早めに完成するタイプであることも追い風となったのではないかと思います。

 アユサンの仔はこれまで4頭デビューし、3頭が勝ち上がっています。そのうちの1頭エンギダルマはスプリングSで4着と好走しました。

 同馬はドルチェモアの全兄です。本馬と同じ「ルーラーシップ×ディープインパクト」の組み合わせからは、前述のワンダフルタウン(青葉賞、京都2歳S)のほかにキセキ(菊花賞)、エヒト(七夕賞)などコンスタントに活躍馬が出ています。

今週の血統注目馬は?


・10/16 オクトーバーS(OP・東京・芝2000m)
 東京芝2000mと相性のいい種牡馬はモーリス。連対率43.3%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した55頭の種牡馬のなかで第1位。2位ロードカナロアが28.1%なので飛び抜けたトップです。

 登録馬トゥーフェイスは3勝クラスを勝ったばかりですが、東京芝で全4勝を挙げているコース巧者。6月以来の実戦なので状態面のチェックは重要で、問題なければ好勝負に持ち込めるでしょう。

今週の血統Tips


 10月10日夜、盛岡競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ南部杯は、カフェファラオがヘリオスにハナ差競り勝ち、3つめのGI(JpnI)タイトルを獲得しました。

 同馬はアメリカンファラオを父に持つアメリカ産馬で、母の父がモアザンレディという血統。「アメリカンファラオ×モアザンレディ」の組み合わせは成功しており、他にモディカが出ています。8月の3歳未勝利戦を大差勝ちした素質馬で、タイムも優秀なのですぐに上でも通用する器でしょう。

 そして、海の向こうでは、米G2ブリーダーズCジュヴェナイルターフスプリント(芝5ハロン)を勝ったフォーウィールドライブを出しています。

 同馬は日本に輸入され、2021年から日高町のサラブレッド・ブリーダーズ・クラブで供用されています。

 このようにカフェファラオは、実績ある配合パターンから誕生しているので、いずれ種牡馬となっても楽しみです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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