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セプテンバーからオータムへ

  • 2022年10月13日(木) 18時00分

今年の各セールの売り上げ総額は史上最高額に


 当コラムの更新時期が月の半ばくらいになったので、リアルタイムでセール結果に触れることができなくなった。生産地では来週17日と18日の2日間の日程でオータムセール開催が予定されている。日高で行われる今年最後の1歳市場とあって、その動向が気になるところだが、すでに先月のセプテンバーセール終了の時点で、日高軽種馬農協主催の各セールの売り上げ総額は、オータムを待たずに、史上最高額に達している。

 昨年、5月のトレーニングセール(2歳)からセレクション、サマー、セプテンバー、オータムまでの全セールで、合計で上場頭数2629頭のうち、1983頭が落札され、年間を通じた売却率は75.43%、総額145億3859万円の売り上げを記録した。

 そして、今年、同じくトレーニングセールに始まり、セレクション、サマーの各セールが終了した時点で、1672頭上場のうち、1317頭が落札され、131億3235万円の売り上げとなっていた。

 その後、9月20日から22日までの3日間にわたり開催されたセプテンバーセールでは、531頭が上場され、413頭が落札、売却率は77.78%、合計20億9165万円を売り上げた。合わせて現時点での売り上げはサマーまでの分を加えると152億2240万円。上場頭数は計2203頭、落札頭数は1730頭、通算の売却率は78.53%である。

 オータムセールを前にして、すでに昨年の年間売り上げ総額を7億円近く上回っており、依然としてサラブレッド市況が好調に推移していることが窺える。
 
 そのセプテンバーセールは、3日間で20億9165万円を売り上げ、平均価格も同市場初の500万円台に乗せて506万4528円、中間価格も418万円と、過去4回の同セール史上、最高の数字を記録した。落札馬の最高価格は113番ウインアイスバーグ2021(牡鹿毛、父ドレフォン、母の父ステイゴールド)の2200万円。販売者・アークフロンティア(株)、生産者・宝寄山拓樹氏で、母ウインアイスバーグの全兄にウインブライトのいる母系。鹿児島・竹園正継氏が落札者。

生産地便り

▲ウインアイスバーグの2021は2200万円で落札された


生産地便り

▲ウインアイスバーグの2021


 同馬を含む全29頭が税込み1000万円以上の取引であったが、その一方で、税込み200万円以下の取引馬も43頭に及び、価格の上下差の大きなセールとなった。100万円に満たない取引馬も3頭いた。

 セレクションセールの平均価格2029万円は別格としても、サマーセールの平均価格が733万2683円だったことを考えると、セプテンバーセールの506万4528円との落差は、226万8155円となり、これは昨年のサマーセール688万円→セプテンバー488万円と比較すると、価格差が拡大したことが分かる。

 主催者の日高軽種馬農協としては、サマーセールとセプテンバーセールの上場頭数差をもう少し解消したい意向のようだが、上場する側としては、この価格差がネックとなって、できることならばサマーセールに上場させたいと多くの生産者が希望する。この温度差、価格差をどう埋めて行くかが今後の課題だ。

 なお、来週のオータムセールには名簿上で498頭の上場申し込みがあるものの、現時点ですでに38頭の欠場が発表されており、460頭弱の上場頭数になりそうである。

 オータムでは、新規上場馬と、過去に一度市場に上場されたが主取に終わった再上場馬の両方が出て来る。昨年は457頭が上場され、348頭が落札されて、計12億6896万円を売り上げた。平均価格は364万6437円、中間価格は297万円であった。

 昨年並みの数字で推移したとしても、年間を通じての日高軽種馬農協主催の市場売り上げは、165億円前後に到達しそうだ。今年は、このまま行けば、トータルでは過去最高の売り上げを大きく更新することになりそうだが、この生産地の好景気が来年も続くことになるのかどうか。社会全体の世相や中央、地方の競馬の動向にも注視していく必要がある。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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