【チャンピオンズC】帝王の連覇へ 今年は死角がないと言い切りたい
どんなレースを見せてくれるかが最大の見所
ダート路線は、高齢馬の層が厚いことが多い。それをはっきり打ち破ったのが、昨年のテーオーケインズだった。
春は3連勝で大井の交流GI帝王賞を勝ち、その時点でその後の飛躍が期待されていたが、秋初戦のJBCクラシックではゲート内で座り込んでしまい、立ち遅れて4着に敗れていた。
同じ失敗を避けるため、ゲート練習を入念に行い、パートナーの松山騎手も、馬にプレッシャーをかけないよう細心の注意を払っていた。そしてのぞんだチャンピオンズカップを、好位からあっという間に抜け出して6馬身差で圧勝、砂の帝王独壇場、1強時代到来とたたえられていた。
5歳を迎えた今年は、サウジ遠征では力を出せなかったが、帰国後はトップレベルの走りを見せてきた。ローテーションは昨年と一緒で、2011年のトランセンドに次ぐ、チャンピオンズカップ2頭目の連覇をめざしている。
昨年勝てなかったJBCクラシックは、外々を回りながらもスムーズに走って2馬身半差をつけていた。パドックでも落ち着いていたし、本格化した4歳以降、中京は3戦全勝、GI以外の2勝も3馬身、2馬身半といずれも完勝で、今年は死角がないと言い切りたい。
松山騎手も3年連続で100勝を達成しているし、重賞も今年はここまで9勝している。これにGIを加えて最高の年にしたいところだ。帝王ケインズの実現を見守りたい。
トランセンドは小細工はいらないと逃げに徹し、連覇はいずれも1番人気での逃げ切りで、特に2年目は大外16番枠から気合いをつけて加速していて、誰の目から見ても別格の強さだった。それから11年、今度はテーオーケインズがどんなレースを見せてくれるか、最大の見所だ。
これを追う5歳馬では、今夏ダートに転じ3戦目の前走シリウスSを勝ったジュンライトボルトを。石川騎手ともども初GI勝利をめざしている。
そして4歳勢では、さらなる可能性を秘めている2頭、グロリアムンディとシャマルに注目している。グロリアムンディはダートで5戦4勝2着1回、底を見せていないし、シャマルはスプリント戦で交流重賞を3勝しているが、マイルの南部杯で好位から差すレースで3着と新たな一面を見せていて距離がのびてもやれそうだ。
そしてやはり、伸び盛りの3歳勢もチェックしておきたい。この5年で3歳馬は2頭勝っているが、共通しているのは、2頭ともJDダービーを勝っている点だ。2018年のルヴァンスレーヴはこのあと、南部杯も勝っていたし、次の年のクリソベリルは、日本テレビ盃も勝って5戦全勝でのぞんでいた。
今年はノットゥルノがJDダービーの勝ち馬だが、トビの大きい馬で、前走の船橋では大敗したが、広い中京でどう進化してみせるか、武豊騎手で期待出来る。もう一頭は、年長馬相手に2着2回と健闘しているクラウンプライドをマークしておく。今後のダート界を占うためにも。
「気負いなく ひたすら走って 頂上に」