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コンスタントに活躍馬を出し続ける「ロードカナロア×サクラバクシンオー」

  • 2023年03月27日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ



・3/26 高松宮記念(GI・中京・芝1200m)
 好位を追走したファストフォースがナムラクレアの追撃を1馬身しりぞけ、7歳にしてGI初制覇を達成しました。不良馬場だったので勝ちタイムは1分11秒5。2年前のCBC賞で初めて重賞を勝った際は芝1200m1分06秒0のレコード勝ちで、高速馬場に適性を見せましたが、今回は道悪。芝の重〜不良では4回走って3回連対と、かなりの道悪巧者でもあります。

 父ロードカナロアはダノンスマッシュに次いで2頭目の高松宮記念優勝馬を出しました。自身も2013年に制しているので親仔二代制覇でもあります。母の父サクラバクシンオーは、ロードカナロアが出現するまで名スプリンターの代名詞的存在でした。この2頭の組み合わせは上手く行っており、他にキルロード、ペプチドバンブー、サイクロトロン、テイエムトッキュウとコンスタントに活躍馬が出ています。ニックスといえるでしょう。

 母ラッシュライフは函館2歳SとファンタジーSで2着となったスピード馬で、すでにディープインパクトとの交配でアデイインザライフ(新潟記念)を産んでいます。ファストフォースのオーナーである安原浩司さんが、2013年のジェイエス繁殖馬セール(秋季)で購買しました(900万円)。したがって、浦河の三嶋牧場の生産馬ですが、産駒はすべて安原さんがお持ちになっています。今回は12番人気でしたが、オーナー曰く「自信があった」。太めが絞れて体調も良くなっていたのでしょう。

・3/25 毎日杯(GIII・阪神・芝1800m)
 好位を追走したシーズンリッチが直線で馬群を割って抜け出しました。昨年10月に東京の未勝利戦(芝1800m)を勝ち上がり、今回が2勝目。前走の共同通信杯は6着だったので、今回は5番人気の伏兵でした。

 父ドゥラメンテは同日中山の日経賞を圧勝したタイトルホルダーの父で、同じ3歳世代にはリバティアイランド、ドゥラエレーデ、シングザットソング、ドゥーラと、自身を含めて5頭のJRA重賞勝ち馬が出ています。母エバーシャルマンはフローラS5着馬。初仔のエバーシャドネー(父ルーラーシップ)は現在2勝クラスで、シーズンリッチが2番仔ですから、繁殖牝馬として優秀です。

 シーズンリッチは「ドゥラメンテ×ハーツクライ」の組み合わせとなりますが、父ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴと、母の父ハーツクライは、いずれも「サンデーサイレンス×トニービン」という組み合わせですから、シーズンリッチ自身はアドマイヤグルーヴ≒ハーツクライ2×2、という大胆な配合構成です。折り合いさえつけば距離延長も問題ありません。

今週の血統注目馬は?



・4/2 両国特別(2勝クラス・中山・芝1600m)
 中山芝1600mと相性のいい種牡馬はロードカナロア。連対率24.1%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した102頭の種牡馬のなかで第5位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワン。ホウオウプレミア、ロードカテドラルと2頭の産駒が登録しています。前者は昇級緒戦ですが、3歳時に毎日杯と京成杯で6着となった経験があり、後者は2勝クラスの上位勢力です。どちらも勝機があります。

今週の血統Tips



 ドバイワールドカップデーで日本馬が3勝。そのうち、賞金総額が最も高いドバイワールドカップをウシュバテソーロが、2番目に高いドバイシーマクラシックをイクイノックスが制しました。ドバイワールドカップの1着賞金は約9億円、ドバイシーマクラシックは約4億5000万円ですから、日本馬が大挙遠征するのも分かります。日本馬が海外のビッグレースを勝つと、その馬の血統は海外のホースマンにどう映るだろうか、とつい考えてしまいます。

 ウシュバテソーロは2年連続凱旋門賞で2着となったオルフェーヴルの息子で、イクイノックスの母の父キングヘイローは、80年代のアメリカを代表する名牝の一頭であるグッバイヘイローの息子です。2頭ともわが国で育まれた血統をふんだんに抱えているので、海外のホースマンも興味をそそられるのではないかと思います。1970年代にイギリスの競馬評論家トニー・モリスが「日本は種牡馬の墓場」と書きましたが、それも遠い過去の話になったと感じます。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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