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「馬作りは繊細な作業、日本人はほかの国より上手なんやと思う」ドバイワールドカップデーを振り返る

  • 2023年03月28日(火) 18時01分
太論

▲WBC、ドバイと日本の代表が大活躍(撮影:高橋正和)


先週は、WBCの優勝に始まり、世界フィギュアでも男女シングルとペアで日本人選手が金メダルを獲得。そして、締めくくりはドバイワールドカップでの勝利。日本列島が歓喜に沸いた一週間でした。小牧騎手も胸を熱くして見ていたようで、今回はWBCとドバイをメインテーマに、太節をお届けします!

(取材・文=不破由妃子)

ドバイの結果に改めて実感「日本人の馬作りはすごいなぁ」


──今週は、WBC絡みの質問がいくつかきています。小牧さん、ご覧になりましたか?

小牧 観たよ。最初から決勝まで、自分の部屋でひとりで観ながら号泣しとったわ。家族はそれほど野球に興味がないからね。いやぁ、泣いたわー。感動した。

──さて、質問ですが、「小牧さん、こんにちは! WBCで印象に残ったシーン、印象に残った選手を教えてください! 自分はただただ感動しながら見ていましたが、プロスポーツ選手は我々一般人とはまた違った視点で見ているのかなと思い、質問させていただきました。」

小牧 視点はたぶん、みんなと一緒やで。すごいなーと思ったのは、やっぱり大谷選手やし。プレーもそうやけど、何より人ね。大谷翔平という人物がすごいなと思った。気配りができるし、場面場面のパフォーマンスもいろいろと考えて動いて。もう現時点で、歴史上の人物に匹敵するくらいの功績を残したやろ。これからも、なかなか出てこない選手だと思う。人間的に本当にすごいよね。

──そうですね。一挙手一投足が話題になって。

小牧 印象に残ったシーンも、決勝戦の最後に大谷選手が出てきたときやけど、決勝戦は、なんせピッチャー陣をひとりひとりしっかり見てた。プレッシャーがかかるシーンでね、みんながいいピッチングをしたのが印象的やった。あとは、源田選手。守備がめっちゃ上手くて、これぞ職人やなぁと思いながら見てたわ。ああいうタイプの選手は、メジャーにはなかなかおらんよね。職人といえば、2番を打っていた近藤選手もね。決して目立つタイプではないけど、めっちゃ上手いなと思った。

──小牧さん、もともと野球はお好きなんでしたっけ?

小牧 子供の頃、好きやったよ。巨人戦しか見ていなかったけど。

──巨人ファンだったんですね。

小牧 いや、当時の鹿児島はね、巨人戦しかテレビ中継がなかってん。だから、鹿児島は巨人ファンばっかりやで。小学生のときは、地元の少年野球のチームにも入ってたよ。1、2年の頃やったけどね。まぁ低学年やし、あんまり上手じゃなかったから、ずーっと球拾いやったけど(苦笑)。

──小牧少年が頑張って球拾いしているのを想像してしまう(笑)。土曜日の深夜には、競馬界のワールドカップがありましたね。

小牧 日本馬、強いわ。馬もそうやけど、やっぱり日本人はすごいなと改めて思いましたね。

──どのあたりが?

小牧 一番は「馬を作る」ということ。日本の競馬というのは、世界的に見れば歴史は浅いでしょう。だから、遅れを取っていたけど、海外に挑戦し始めてからどんどんどんどん強くなって。ここまできたかと改めて思ったね。「馬作り」は繊細な作業やから、日本人はほかの国より上手なんやと思う。そういう技術を発展させてきて、成熟した結果が今。ドバイの結果は、そのいい証拠だったんちゃうかな。

──ドバイシーマクラシックのルメール騎手も、ドバイワールドカップの川田騎手も、極端な競馬で結果を出した。それもインパクトが増しましたよね。

小牧 ルメールは、もともと馬に合わせた騎乗をする騎手やから、今回も普通にイクイノックスのリズムで行った結果、逃げる形になったっていう感じやったね。無理に抑えることもなく、楽に行ってた。川田の馬は、最初はついて行けんかったけど、そこで無理してついて行こうとしなかったのが勝因やと思う。もう腹をくくってたよね。ウシュバテソーロもそうやし、BCディスタフを勝ったマルシュロレーヌもそうやけど、もうダートでも全然引けを取らんね。日本人の馬作りの上手さが、実を結んできたということだと思うよ。

──さて、続いては今週の競馬ついて。先週ですが、モストロネーロの初出走は見送られたんですね。

小牧 うん。追い切りがもうひとつで、笹田さんからゴーサインが出なかった。坂路でけっこう強めにやってるんやけど、どうも終いが思ったように動かなくて。

──先週の22日は、全体の時計こそ53秒6ですが、終いは13秒7。

小牧 全体の時計は悪くないんやけど、どうもね、終いのスピードの乗りが物足りない。でも、今週は使うでしょう。競馬に行けば、少しは変わってくると思うし、そこに期待しているんやけどね。期待しているといえば、今週末は騎手会の旅行やねん。楽しみや。

──コロナ禍では開催されませんでしたから、久しぶりですね。

小牧 うん。なんせ関西のジョッキーたちが勢ぞろいする旅行やからね。面白いエピソード、期待していてください(笑)。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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