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モーリス産駒は成長力あり 昨年からの地力強化を見せたジャックドール

  • 2023年04月03日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・4/2 大阪杯(GI・阪神・芝2000m)

 マイペースの逃げに持ち込んだジャックドールがスターズオンアースの猛追をハナ差しりぞけました。父モーリスにとってピクシーナイト(スプリンターズS)、ジェラルディーナ(エリザべス女王杯)に次ぐ3頭目のGI制覇で、オーストラリアのヒトツ(ヴィクトリアダービー、オーストラリアンダービー、オーストラリアンギニー)、マズ(ドゥームベン10000)を含めると5頭目です。モーリス産駒は成長力があり、3歳夏を越してから馬体に実が入る傾向があります。

 ジャックドールはまさにそんなタイプで、3歳秋に覚醒して連勝街道を走り始めました。4歳春に金鯱賞を、夏の北海道で札幌記念を勝ち、重賞3勝目が初のGIタイトルとなりました。距離はすべて2000mです。初期のモーリス産駒はマイル以下の重賞ばかり勝ち、短距離型と誤解されることもありましたが、昨年の3月以降、1800m以上の重賞しか勝っていません。全体の産駒成績を見ても芝1800〜2000mがベストです。昨年の大阪杯は残り200mまで先頭に立っていたものの、最後の坂で失速して5着。

 今年は武豊騎手が絶妙のペースで逃げたとはいえ、地力強化がうかがえるレース内容でした。母の父アンブライドルズソングは、コントレイルやスワーヴリチャードの母の父でもあり、ブルードメアサイアーとして定評があります。

・4/1 ダービー卿CT(GIII・中山・芝1600m)

 好位を追走したインダストリアが直線で外から突き抜けました。ケイデンスコール(マイラーズC、京都金杯、新潟2歳S)の4分の3弟で、父はロードカナロアからリオンディーズに替わりました。

 リオンディーズ産駒は中山芝1600mで連対率27.5%。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した102頭の種牡馬のなかで第2位。コース適性の高い種牡馬です。インダストリア自身、これで3戦全勝となりました。前々走のカウントダウンSは、休み明けで14kg増の馬体重ながら、前残りの展開をものともせず後方から馬群を割って抜け出すという強い競馬でした。7着と敗れた前走の東京新聞杯は、東京コースだったので致し方ありません。得意の中山に戻った今回は適性面からも大きなチャンスでしたが、それを見事にモノにしました。

今週の血統注目馬は?


・4/9 忘れな草賞(3歳オープン・阪神・芝2000m)

 阪神芝2000mと相性のいい種牡馬はドゥラメンテ。連対率32.9%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した51頭の種牡馬のなかで第1位。

 ミッキーツインクルは今年1月、中京芝2000mの新馬戦で初陣を飾り、今回はそれ以来の実戦です。非凡な末脚を持っているので、キャリア不足でも楽しみです。

今週の血統Tips


 桜花賞で1番人気が予想されるリバティアイランドは、昨年暮れの阪神ジュベナイルフィリーズの公式レーティングで「114ポンド」を獲得しました。公式レーティングは、JRAハンディキャッパーおよびNARレーティング担当者の協議により決定されます(115ポンド以上の馬については国際競馬統括機関連盟の専門部会であるワールドベストレースホースランキング委員会の協議により決定)。

 2021年以前の最高値は、2019年にレシステンシアが記録した113ポンド。つまり、リバティアイランドは“史上最強の2歳牝馬”という評価を、公式レーティングという客観的な数値から獲得しているわけです。ちなみに、阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬が桜花賞に直行したのは、過去10年間でソダシとレッドリヴェールの2頭。前者は1着、後者は2着と、いずれも連対を果たしています。

 公式レーティングは前者は112ポンド、後者は111ポンド。数値上でもリバティアイランドは好勝負必至といえるでしょう。もちろん、競馬は数値が走るのではなく生身の馬が走るので、仕上がり具合は重要なファクターです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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