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理想的な展開となり初のGIタイトルを獲得したジャスティンパレス

  • 2023年05月01日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・4/30 天皇賞・春(GI・京都・芝3200m)
 中団追走から残り300mで先頭に立ったジャスティンパレスが初のGIタイトルを獲得しました。競走中止したタイトルホルダーは道中すでに変調を来していたのか、2周目の向正面でペースを上げることができず、その影響でレースはスローな流れからの瞬発力勝負に。ディープインパクト産駒らしい決め手を武器とするジャスティンパレスにとって理想的な展開となりました。

 父ディープインパクトは産駒のJRA・GI勝利数がこれで71勝目。父サンデーサイレンスに並びました。海外G1をすでに30勝しているので、国内外を合計したGI勝利数はサンデーサイレンスを大きく上回っています。母パレスルーマーはスタミナ型のロイヤルアンセムを父に持ち、アメリカ繋養時代に産んだパレスマリスは、米三冠のなかで最も距離が長いベルモントS(ダート12ハロン)を勝ちました。日本生まれの半兄アイアンバローズは、阪神大賞典2着、ステイヤーズS2着と、これまた長距離で実績を残しています。ジャスティンパレスは昨年の皐月賞と日本ダービーはいずれも9着に終わりましたが、3歳夏を越してグンと成長し、4歳を迎えると馬体重も増え、さらに逞しさを増しました。ステイヤー血統らしい成長曲線です。イクイノックスとの再戦が楽しみです。

・4/29 青葉賞(GII・東京・芝2400m)
 中団を追走したスキルヴィングがハーツコンチェルトとの一騎打ちを制し、未勝利戦から3連勝で重賞制覇を果たしました。父キタサンブラックは、ラヴェル(アルテミスS)、ソールオリエンス(皐月賞、京成杯)に次いでこの世代3頭目の重賞勝ち馬。日本ダービーはソールオリエンスとスキルヴィングの2頭で臨むことになります。いずれも有力候補であり、もしどちらかが勝てば、昨年2着だったイクイノックスの雪辱を果たしてダービー初制覇となります。ソニンクにさかのぼるファミリーは日本を代表する名牝系のひとつで、すでに2009年にロジユニヴァースが日本ダービーを制しています。現3歳のフリームファクシ(きさらぎ賞)もこの牝系に属しています。大レース向きの底力に恵まれ、成長力もありそうな血統構成なので、ダービーはもちろん3歳夏以降のビッグレースでも楽しみな存在です。

今週の血統注目馬は?


・5/6 鴨川特別(2勝クラス・京都・芝2000m)
 京都芝2000mと相性のいい種牡馬はディープインパクト。連対率30.3%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した45頭の種牡馬のなかで第1位。レッドラディエンスはディープインパクト産駒。2歳時にベゴニア賞を勝った素質馬ですが、二度の骨折で出世が遅れています。順調に使えるようになればこのクラスでモタつく馬ではないでしょう。

今週の血統Tips


 NHKマイルCの過去10年間の優勝馬を振り返ると、クロフネ産駒が2回優勝しているのが目を惹きます。クロフネは基本的に直線の短いコースを得意としており、全体成績を見ると東京よりも中山、外回りよりも内回りコースのほうが優勢。しかし、なぜか東京芝1600mでは連対率24.3%と好成績。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した110頭の種牡馬のなかで第3位です。

 過去10年間のNHKマイルCではアエロリットとクラリティスカイが優勝し、インパルスヒーローが2着となっています。父系はフレンチデピュティ→デピュティミニスターとさかのぼります。この系統はマイネルホウオウ(13年2着)とギベオン(18年2着)の母の父でもあります。NHKマイルC向きの血統といえるでしょう。今年の登録馬のなかでデピュティミニスター系に属する馬はショーモンだけ。同馬はマインドユアビスケッツ産駒です。マインドユアビスケッツはデピュティミニスター3×4。産駒は東京芝1600mで過去1戦(11番人気で12着)しかしていませんが、東京ダート1600mでは26戦8連対(連対率30.8%)と抜群の成績。ショーモンは芝向きなので東京芝1600mは合うのではないかと思います。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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