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重賞初制覇のジャスティンカフェは「エピファネイア産駒の好配合パターン」

  • 2023年06月12日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・6/11 エプソムC(GIII・東京・芝1800m)

 後方を追走したジャスティンカフェが外から鮮やかに差し切り、1番人気に応えました。これが重賞初制覇。父エピファネイアも今年に入ってから初の重賞勝ちとなります。本馬はサドラーズウェルズのクロスを持ちます。このパターンのエピファネイア産駒は、同産駒全体を大きく上回る好成績を収めています。

 アリストテレス、オーソクレース、ムジカなど、獲得賞金上位馬の「母の父」は、これまでディープインパクトであることが多かったのですが、本馬はスタミナタイプのワークフォース。同じサドラーズウェルズのクロスを持つエピファネイア産駒ではありますが、配合構造はかなり違います。おそらく2代母ギミーシェルターが伝えるスピードが鈍重な方向に傾くのを抑え、うまくバランスを取っているのではないかと思います。

・6/11 函館スプリントS(GIII・函館・芝1200m)

 いつもより後ろに位置したキミワクイーンが直線で外から伸び、ジュビリーヘッドを3/4馬身とらえました。ロードカナロア産駒のワンツーフィニッシュです。キミワクイーンは母方にサクラバクシンオーを持つロードカナロア産駒。

 この配合は成功しており、高松宮記念を勝ったファストフォースをはじめ、キルロード、テイエムトッキュウ、ペプチドバンブー、サトノレーヴなど活躍馬が目白押し。連対率36.3%、1走あたりの賞金額448万円は、ロードカナロア産駒全体の19.6%、227万円を大きく上回ります。日曜日の函館新馬戦を勝ったロータスワンドもこのパターンの配合馬でした。重賞に限らずこの配合パターンは注目です。

今週の血統注目馬は?


・6/17 米子S(L・阪神・芝1600m)

 阪神芝1600mに強い種牡馬はキタサンブラック。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した83頭の種牡馬のなかで連対率29.2%は第2位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワンです。ジャスティンスカイは当コース1戦1勝。前走のマイラーズCは9着と敗れたものの、血統的に向いている阪神芝1600mに戻り、相手関係が楽になる今回は好走必至でしょう。

今週の血統Tips



 新種牡馬ブリックスアンドモルタルが好調です。2歳戦の開幕週にテラメリタが、2週目にゴンバデカーブースが勝利を挙げ、現在2週連続勝利。JRA2歳勝利数ランキングではモーリス(3勝)に次ぐ第2位です。これ以上ない滑り出しといえるでしょう。

 現役時代、鋭い決め手を武器にアメリカで芝GIを5勝し、米年度代表馬に選出されました。おもしろいことに、テラメリタもゴンバデカーブースも逃げ切り勝ち。とりあえず現時点では父と仔の脚質は対照的です。この勢いが持続するのか、どのぐらいの距離が向くのか、脚質はどうなのかなど、2歳戦を見ながら考えていきたいところです。現時点でこの種牡馬はこうだと決めつけることはやめたほうがいいでしょう。

 少なくとも最初の半年間は観察の期間とし、その走りから何を感じるかが重要です。少ないサンプルで最初にこうだと決めつけると、あとあと方向転換しづらくなります。新種牡馬の走りを継続的に眺めていると、日々、認識をあらためる必要に迫られます。それが普通です。種牡馬というものは、産駒が走り始めてからだいたい3世代を経ないと確かなことは分からないものです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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