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OBSマーチセール9万ドル落札馬 母父譲りの芝適性で逃げ切り勝ち

  • 2023年07月03日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・7/2 CBC賞(GIII・中京・芝1200m)
 好スタートからハナを奪ったジャスパークローネがマイペースに持ち込み、サンキューユウガの追撃を1/2馬身抑えました。フロステッドを父に持つ外国産馬で、2歳時の2021年3月、米フロリダ州で行われたOBSマーチセールにおいて、森秀行調教師が9万ドル(当時のレートで約1000万円)で落札しました。このセールで森調教師は8頭購買し、ジャスパークローネの価格は下から2番目。決して高馬ではありませんでした。父フロステッドはタピット(3年連続米チャンピオンサイアー)の息子で、アメリカで走りダートG1を3勝。4歳時のメトロポリタンH(米G1・ダート8ハロン)は後続に14・1/4馬身差をつけ、1分32秒73という驚異的なタイムを計時しました。

 このときのべイヤー指数「123」は、2000年以降では全米5位タイという優秀なものです。種牡馬としては目立った存在というわけではなく、2022年の北米種牡馬ランキングは43位、今年は現在28位です。わが国で走った産駒は7頭で、そのうち3頭が勝ち上がり、芝で勝ったのはジャスパークローネのみ。母の父キトゥンズジョイは芝適性を伝える種牡馬で、その特徴が影響しているのでしょう。

・7/2 ラジオNIKKEI賞(GIII・福島・芝1800m)

 直線入口で先頭に立ったシルトホルンを、残り100mでエルトンバローズがとらえました。初勝利を挙げるまで5戦を要したものの、そこから3連勝。一気に重賞ウィナーの仲間入りを果たしました。ドグマ(3勝クラス)、カバーガール(3勝クラス)の半弟で、父はディープブリランテ。同馬は7頭いるディープインパクト産駒の日本ダービー馬の1頭で、昨年の総合種牡馬ランキングは54位。

 JRAではこれまでモズベッロ(日経新春杯)、セダブリランテス(中山金杯、ラジオNIKKEI賞)が重賞を勝っています。「ディープブリランテ×ブライアンズタイム」の組み合わせはセダブリランテスと同じ。同馬は2017年の当レースの勝ち馬なので、同じ組み合わせの馬が同じ重賞を勝ったことになります。エルトンバローズは今後、小回りコース・内回りコースでより注目したい馬です。

今週の血統注目馬は?


・7/8 マカオジョッキークラブトロフィー(1勝クラス・中京・芝2200m)
 中京芝2200mに強い種牡馬はエピファネイア。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した33頭の種牡馬のなかで連対率29.4%は第4位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワンです。ブライトジュエリーは新馬戦を勝ったあとフローラSで3着と健闘。キャリア不足を能力の高さで補いました。ここに入ればスケールの大きさで上回りそうです。

今週の血統Tips


 7月2日、中京芝1600mの新馬戦をルージュスタニングが勝ちました。同馬の父はイントゥミスチーフ。昨年まで4年連続で北米リーディングサイアーの座にある大種牡馬で、今年も首位を独走しています。アメリカのナンバーワンサイアーなので、ダートを得意としているのは当然ですが、このところもうひとつの特長が注目されています。芝適性です。芝競馬の成績のみを集計した北米種牡馬ランキングによると、イントゥミスチーフは2016年以降、49位→22位→19位→13位→7位→4位と着実に順位を上げ、2022年は5位とひとつランクを落としましたが、今年は現時点で首位に立っています。アメリカを代表する芝種牡馬キトゥンズジョイを抑えているのですから立派です。

 日本におけるイントゥミスチーフ産駒は、現在までに芝7勝、ダート30勝という成績。ただ、今年に限ると芝2勝、ダート3勝と拮抗しており、勝率、連対率、複勝率はいずれも芝がダートを上回っています。そうした事実を踏まえると、ルージュスタニングが芝で勝ったことは意外なことではありません。とはいえ、母ボインビューティーは名馬アロゲート(BCクラシック、ドバイワールドカップなどG1を4勝)の半妹なので、芝・ダート兼用タイプでしょう。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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