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「いまやディープインパクトの有力な後継種牡馬」シルバーステート産駒の新たなスタート

  • 2023年07月10日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・7/9 七夕賞(GIII・福島・芝2000m)

 直線半ばで先頭に立ったセイウンハーデスがククナ以下の追撃を振り切り快勝しました。3歳時から重賞戦線の常連でしたが、勝ったのはこれが初めて。前走、新潟外回りの新潟大賞典で2着、今回は小回りの福島で七夕賞を快勝と、コース形態を問わず好走しています。菊花賞から装着したブリンカーが吉と出ています。父シルバーステートはウォーターナビレラ(ファンタジーS)、エエヤン(ニュージーランドT)などの父で、種牡馬入り当初は受胎条件で80万円という安い種付け料もあって、ハイレベルな繁殖牝馬との交配が望みづらい状況でした。にもかかわらず、優れた産駒を出して注目を集め、2022年の種付け料は前年比4倍の600万円となりました。

 いまやディープインパクトの有力な後継種牡馬の1頭にのし上がっています。今年の当歳は高い種付け料で交配した産駒なので、これらが競走年齢に達したときがシルバーステート産駒の新たなスタートとなるはずです。基本的には直線の長いコースよりも小回りコースに向くタイプ。したがって、ローカル競馬は得意です。今回の七夕賞にも3頭の産駒が出走していました。揉まれ弱いタイプなので、ブリンカーに加えて外枠に入ったことも良かったのでしょう。

・7/9 プロキオンS(GIII・中京・ダ1400m)

 逃げたドンフランキーがリメイクの追撃をクビ差抑えました。デビュー1、2戦目は芝を使ったものの勝てず、3戦目にダートに転向すると楽勝しました。ここから快進撃が始まり、ついに重賞を制覇しました。JRA所属のダイワメジャー産駒がJRAダート重賞またはダートグレード競走を勝ったのは、ノーヴァレンダ(全日本2歳優駿)、デュープロセス(兵庫ゴールドトロフィー)に次いで3頭目。母ウィーミスフランキーはアメリカ産馬で、2歳時にデルマーデビュータントS(米G1・ダ7ハロン)、オークリーフS(米G1・ダ8ハロン)を勝ちました。

 母方の硬質なアメリカ血統の影響で、本馬はパワー型の巨漢馬となりました。今回の馬体重594kgは、2019年のマーチSを572kgで勝ったサトノティターンを抜く、JRA重賞最高馬体重勝利記録です。今回は2着リメイクが58kgの別定重量を背負い、本馬は57kgと、1kg有利な条件でした。両者の再戦が待たれます。

今週の血統注目馬は?


・7/16 福島テレビオープンT(オープン・福島・芝1200m)

 福島芝1200mに強い種牡馬はビッグアーサー。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した120頭の種牡馬のなかで連対率27.1%は第2位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワンです。クリノマジンはオープン昇級緒戦の前走、極端な不良馬場となってしまい、力を発揮できませんでした。得意コースに替わり、通常の馬場コンディションであればもっとやれるはずです。

今週の血統Tips


 シルバーステートは現役時代に5戦4勝。新馬戦で2着と敗れたあと、2戦目から4連勝し、そこで屈腱炎を発症して引退しました。全弟ヘンリーバローズは、もっと短い競走生活でした。新馬戦でのちのダービー馬ワグネリアンにハナ差敗れ、2戦目の未勝利戦を4馬身差で楽勝。ここで脚部不安を発症し、長い休養のあと復帰を断念して引退しました。新馬戦の上がり5ハロンは57.7秒。これはわが国の新馬戦史上ナンバーワンで、2位がディープインパクトの57.8秒ですから価値があります。ヘンリーバローズはハナ差2着だったので相当な能力の持ち主だったと推察されます。

 初年度産駒は2歳。血統登録頭数は22頭と少ないので、まだ中央競馬でも地方競馬でも産駒がデビューしていません。シルバーステートと遜色ない競走能力の持ち主だったとすれば、種牡馬としても期待できそうです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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