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【緊急報告】「今年いっぱいで引退しようかと…」“ジョッキー小牧太”として最後に前代未聞の挑戦

  • 2023年07月18日(火) 18時01分
太論

▲小牧太騎手から読者の皆さまへご報告(撮影:桂伸也)


「僕から報告したいことがあって…」と、小牧騎手の言葉からスタートした今回の『太論』。

近年は騎乗馬の確保が難しくなり、今年も後半戦に入ったところでいまだ未勝利という状況で、百戦錬磨のベテランが“ある決断”をしました。

これ以上はネタバレになってしまうので…、さっそく本編をご覧ください!

(取材・文=不破由妃子)

失うものはなにもない──小牧太の最後の挑戦が始まる!


小牧 今日はね、最初に僕のほうから報告したいことがあって。今年いっぱいで引退しようかと……

──えーーーーーーーッ!!

小牧 いやいや、最後まで聞いて(苦笑)。

──あ、すみません…。

小牧 今年いっぱいで引退しようかと思っててん。今年の2月頃だったかな、嫁さんと一緒に長年お世話になったnetkeibaさんの本社に行って、社長さんにもその旨を伝えて。

──それはもう「辞める辞める詐欺」じゃない…。

小牧 そう。新たな道に進もうと、一度は決断したんやわ。でもね、僕のパーソナルトレーナーをしてくれている人が、僕のエージェントをやりたいって言ってくれて…。

 以前、『太論』に出てもらったことがあるから、覚えている方もいると思うんやけど、京都で加圧トレーニングスタジオを経営している淨閑延浩(じょうかん のぶひろ)さんね。実は2〜3年前から「やらせてください」って言われていたんやけど、エージェントという仕事は大変やし、子供が生まれたばっかりだったから、苦しい生活を送らせるわけにはいかないでしょう。だから、ずっと断ってたんやわ。そんなに甘いもんじゃないのは、僕もよう知っているからね。

──しかも、現在活躍されているエージェントのみなさんは、競馬新聞の現役記者か、元記者という経歴の方ばかり。まったく別の世界から入ってきた方なんて、私が知る限りおひとりだけです。淨閑さんは、確かに小牧さんのほか、何人かのジョッキーのトレーナーをされていますが、いわゆる“競馬界”とは無縁ですものね。

小牧 そうやねん。ただでさえ厳しい仕事なのに、淨閑さんの場合、外の世界から入ってくることになるわけで。僕が断ったあとは、しばらくその話は出なかったんやけど、今年に入って僕のほうから「今年いっぱいで辞めるわ」っていう話をしたら、また「最後にエージェントをやらせてくれへんかな」という話になってね。

「何度も言うけど、大変な仕事やで。甘い世界じゃないよ」って強く強く言うたんやけどね。「大丈夫です。何を言われようが、どんなに嫌な目に遭おうが、僕はへこたれない」と。さすがに僕も心を動かされたわ。そこまで言ってくれるのであれば、最後に淨閑さんと一緒に頑張ってみようかなって。それで、ずっとエージェントをしてくれていた荒木敏宏さん(競馬ニホン)にも会ってもらって、いろいろと話を聞いたりして。

──そうでしたか。エージェントをやるとなったら、JRAにも申請するんですよね?

小牧 もちろん。申請して、面接をして、ここにきてやっと許可が下りた。で、今月の22日から営業を開始していいということになったので、今日ここで報告したんやけどね。

──淨閑さんは、京都でトレーニングスタジオを経営されているわけですが、エージェントとしてはどういう動きになるんですか?

小牧 火曜日から金曜日の朝は、毎日トレセンに通うことになるんちゃうかな。で、エージェント業務が終わったら、京都に戻ってスタジオを開けて。電話だけはいつでも出られるようにってお願いしてあります。

 とりあえず、今週の木曜日にトレセンにくるよ。まずは笹田厩舎に挨拶に行って、そのあとはスタンドでほかの調教師さんにも挨拶したり。荒木さんには、一緒に行ってくれるように頼んであるし、笹田さんも連れて行ってくれるやろうしね。

──そう簡単ではないことは私もわかっていますが、淨閑さんなら風穴を開けてくれそうでワクワクします。とりあえず、年内引退は撤回ということでいいんですよね?

小牧 うん。淨閑さんも慣れるまで時間が掛かるやろうし、少なくとも来年いっぱいは頑張ってみようかなと思ってる。僕もしんどいしんどい言わんとね、淨閑さんと一緒に頭を下げて回らなアカンね。

──“ジョッキー・小牧太”の最後の挑戦が始まるわけですね。

小牧 そうやね。もう失うものはなにもないからね、僕は。まぁやれるだけやってみて、それでもアカンようなら仕方がない。ただ、やり切ったという気持ちにはなれるかなと思ってる。いずれは辞めなアカンねんから、今はやれるところまでやり切ってみようっていう気持ちです。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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