スマートフォン版へ

直線の長い芝コースで輝く「モーリス×ディープインパクト」の組み合わせ

  • 2023年07月24日(月) 18時00分

血統で振り返る中京記念


【Pick up】ディヴィーナ:2着

 後方追走から大外を伸びて2着を確保。昨年3月にオープン入りしてから初めて馬券圏内に入りました。

 モーリス産駒は総じてトビが大きいため、東京、阪神外回り、中京などの、直線の長い芝コースを得意とする傾向があります。「モーリス×ディープインパクト」の組み合わせは、瞬発力に秀でた母の父ディープインパクトの特長が加わるので、さらにその傾向が強まります。

 この配合の中京芝1600mの成績は、21回走って連対率42.9%と驚異的。過去、ルークズネストがシンザン記念で2着、ララヴォルシエルが1分32秒2というレコードタイムを樹立しています。

 ディヴィーナ自身、今回の2着で[3-1-0-1]という成績。前走のヴィクトリアマイルは、15番人気ながら4着と健闘したのですが、このレースは今回と同じく、直線の長い左回りコースで行われたマイル戦でした。今後もこの条件なら好走が望めます。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【ロベルト】

 1972年に英ダービーを制覇し、ベンソン&ヘッジスゴールドカップでは15戦無敗の怪物ブリガディアジェラードを相手にレコードタイムで逃げ切りました。気分良く走ったときに無類の底力を発揮する一方、そうでないときはあっさり敗れるというタイプ。典型的なムラ駆けタイプでした。

 アメリカ産馬ながらスタミナに秀でたタイプで、底力と持続力が持ち味。先に行ってしぶとく粘るのがロベルト系のスタンダードなスタイルなので、直線の長いコースよりも小回りコースを得意とする傾向が見られます。産駒成績を見るとアベレージヒッターというよりはホームランバッターで、稀に出す大物は能力の上限が高く、大舞台での強さに定評があります。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「去勢することで成績が良くなる血統・悪くなる血統はある?」

 たとえばオーストラリアでは、牡であれば去勢し、セン馬として走らせることが珍しくありません。セン馬が大レースで頻繁に優勝しています。ジャパンCを勝った唯一のオーストラリア産馬ベタールースンアップもセン馬でした。

 日本では「セン馬=気性の悪い牡馬を落ち着かせるため」というイメージがありますが、海外ではむしろ、去勢したことによるホルモン分泌の変化により、筋肉が柔らかくしなやかに保てる、という効果を期待するほうが一般的です。アメリカで9歳時に年度代表馬となったセン馬ジョンヘンリーのように、高齢まで能力が落ちにくい、という効果もあるようです。

 日本ではファルブラヴとフレンチデピュティがセン馬にして効果がある種牡馬の代表格です。2頭とも牡馬よりもセン馬の成績が優れています。共通点は筋肉量が豊富である、ということ。牡馬は筋肉がつきすぎて硬くなってしまう傾向があるため、セン馬にするとそのあたりがマイルドになり、競走成績が向上します。

 こうした目立った例を除けば、セン馬にしても成績が向上する種牡馬は少なく、低下するほうが一般的です。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング