次走は侮れないピクシーナイト 「キングヘイロー×サクラバクシンオー」は1200m戦へ適性あり
血統で振り返るセントウルS
【Pick Up】ピクシーナイト:8着
勢力拮抗のスプリント路線。主役不在だけに10月1日のスプリンターズSでどの馬が1番人気になるのかすら読みづらい状況です。2年前、ピクシーナイトが3歳にして制覇したときは、この路線はしばらくこの馬の天下が続くかに思われました。3歳秋にスプリンターズSを制した馬は、00年以降、本馬とアストンマーチャンの2頭のみで、かなりのレアケースだったからです。母ピクシーホロウがキタサンミカヅキ(東京盃2回、東京スプリント)と同じ「キングヘイロー×サクラバクシンオー」なので、本質的にスプリンターとはいえないモーリス産駒でも1200m戦への適性があります。
香港での落馬事故を経て、今年春に長期休養から復帰し、ここまで3連敗。ただし今回は、スタートで躓き、位置取りが悪くなったことが厳しく、大型馬の久々だけに、プラス10kgの馬体重以上に重かったのかもしれません。しかし、次走はすべての条件が好転するだけに、侮れない1頭でしょう。
血統で振り返る紫苑S
【Pick Up】ヒップホップソウル:2着
好位追走から直線で抜け出したものの、ゴール直前でモリアーナに差されました。稍重のコンディションにもかかわらず、1000m通過58秒1のハイペース。それに乗じて後方から差し切った勝ち馬に比べると、厳しいレースを強いられたといえるでしょう。
父キタサンブラックは今年の春、242頭に種付けをしました。社台スタリオンステーションに繋養される32頭の種牡馬のなかでナンバーワンの数字です(2位はコントレイルとマインドユアビスケッツの211頭)。馬産地ではキタサンブラック人気が沸騰しており、繁殖牝馬の質と量が急激に上昇を開始した現当歳以下の世代から、キタサンブラックの真価が発揮されるでしょう。
昨年の春開催までは、中山芝の成績が悪かった(29戦2連対)ものの、昨年の秋開催以降、セントライト記念(ガイアフォース)、有馬記念(イクイノックス)、皐月賞と京成杯(ソールオリエンス)と、4つの重賞を制覇するなど41戦14連対(連対率34.1%)と好成績を残しています。ヒップホップソウルの母ダンスファンタジアは中山でフェアリーSを制覇。牝馬三冠を目指すリバティアイランドの強さは格別ですが、秋華賞が行われる京都芝2000mは、ヒップホップソウルにとって申し分のない舞台です。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【デインヒル】
父ダンジグ譲りのスピード、前進気勢が持ち味。道中行きたがる悪癖によってマイル路線では結果が出なかったのですが、スプリント路線に転じると芝6ハロンの英G1を制しました。ノーザンダンサーの母ナタルマを3×3で持つ大胆な配合構成で、種牡馬入りすると大成功を収め、英仏豪でリーディングサイアーとなりました。
名馬フランケルは、豊富な筋肉量と雄大なトモ、そして前進気勢の強さといったいくつかの特長から、父ガリレオよりもむしろ母の父デインヒルの面影を感じさせます。
1996年に日本で一年だけ供用され、フサイチソニック(神戸新聞杯)、ブレイクタイム(京成杯AH2回)などを出しました。ヨーロッパの重い芝でも日本の軽い芝でも産駒が走ったのは、高い種牡馬能力ゆえでしょう。このほか、マル外のファインモーションが秋華賞とエリザベス女王杯を制しています。近い世代にこの血が入った馬は、完成が早くなり、スピード方向に適性が寄る傾向があります。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「予想をするうえで血統を活用したほうがいい時」
もちろん、距離や馬場コンディションで血統を活用するのは当然ですが、過去の戦績がない、どの馬も初出走となる新馬戦は血統が大きなファクターとなります。
たとえば、もう新たな産駒がデビューすることはありませんが、ディープインパクト産駒は新馬戦の連対率が40.0%。2010年以降、新馬戦で100走以上した136頭の種牡馬のなかで断然です。2位キタサンブラックが27.6%ですから異次元の数字といってもいいでしょう。
オルフェーヴルやゴールドシップといったステイゴールドを父に持つ種牡馬は、逆に新馬戦の成績が低調です。持ち味が違うということです。徐々に良くなるタイプなので、新馬戦では疑ってかかったほうがいい血統といえるでしょう。
ちなみに、現在産駒が新馬戦に出走可能な種牡馬の連対率上位は以下のとおり。
1位 キタサンブラック 27.6%
2位 ドゥラメンテ 24.4%
3位 ロードカナロア 23.3%
4位 エピファネイア 23.0%
5位 ダイワメジャー 22.6%