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イクイノックスの血統背景を分析 中距離で高い能力を発揮するキタサンブラック産駒最高傑作

  • 2023年10月30日(月) 18時00分

血統で振り返る天皇賞(秋)



【Pick Up】イクイノックス:1着

 1973年12月2日、中京競馬場で行われた愛知杯で、シンザン産駒シルバーランドが芝2000m1分59秒9のレコードタイムを樹立しました。わが国で初めて2000mの勝ちタイムが2分の壁を破った瞬間です。それから50年かけて時計は4秒7も短縮されました。絶え間ない良血の輸入、馬場の整備、調教技術の進歩などが相まった結果です。

 母シャトーブランシュは、ダンシングブレーヴ、トニービン、アレッジドと、近い世代に3頭の凱旋門賞馬を抱えています。母の父キングヘイローの母は、アメリカでG1を7勝した名牝グッバイヘイローです。

 父キタサンブラックは抜群の心肺機能を武器に芝3000m以上で3戦全勝。タフな条件に強い野武士的な強さで人気を博しました。しかし産駒は、スピードと決め手を武器とした洗練されたスタイルのものが目立ちます。その最高傑作がイクイノックスです。

 キタサンブラック産駒の芝主要距離の連対率を見ると、1600mの25.2%を頂点に、1800m=23.6%、2000m=21.0%、2200m=19.4%、2400m=11.8%と徐々に下降していきます。イクイノックスは母方の近い世代に3頭の凱旋門賞馬の血を抱え、道中の折り合いがつくので距離延長を苦にしません。ただ、本質的には2000m前後がベストではないかと思います。中距離向きのスピードと決め手は、種牡馬となった際に大きな武器となるでしょう。

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【Pick Up】チェルヴィニア:1着

 富士Sのナミュールに続いて2週連続でハービンジャー産駒が重賞を勝ちました。今年7勝目です。

 ノッキングポイント(新潟記念)の半妹で、「ハービンジャー×キングカメハメハ」は、ブラストワンピース(有馬記念)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ローシャムパーク(オールカマー、函館記念)などが出ているニックス。2代母ハッピーパスの一族は、出走18頭中16頭が勝ち上がっており、2歳戦の東京芝では連対率61.9%(21戦13連対)という驚異的な成績です。

 前走の未勝利戦はほぼ馬なりのまま後続を6馬身ちぎる大楽勝。今回の勝利で世代屈指の逸材であることをあらためて印象付けました。距離延長は問題なく、牝馬クラシック戦線の中核を形成するであろう逸材です。

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【キングマンボ】

 父は大種牡馬ミスタープロスペクター、母は80年代世界最強マイラーのミエスク、という超良血。自身は仏英のマイルG1を3勝したマイラーでしたが、産駒の距離適性は幅広く、マイルから長距離まで多くの名馬を送り出しました。日本ではエルコンドルパサーが年度代表馬に、キングカメハメハが最優秀3歳牡馬に選出されました。

 本質的にはスタミナ寄りの血統で、わが国では東京芝2400mの成績が抜群。エルコンドルパサーとアルカセットがジャパンCを、キングカメハメハが日本ダービーを勝っています。大レース向きの底力に定評があり、ダートも苦にしません。キングカメハメハを通じて父系が発展し、ドゥラメンテ、ロードカナロア、ルーラーシップなどの後継種牡馬が成功を収めています。キングカメハメハを経ないラインは、外国産馬のレモンポップ(フェブラリーS、マイルCS南部杯)がいずれ種牡馬入りするはずです。

血統に関する疑問にズバリ回答!



「データも出揃ってきたところで…新・京都競馬場で強い血統は? 」

 今年の春、約2年半にわたる休止期間を経て、京都競馬が再開しました。それから約半年が経過し、ある程度データが出揃ってきたので、成績がいい種牡馬を、芝・ダートそれぞれ3頭ずつピックアップしてみます(右数字は連対率)。

【芝】
アメリカンペイトリオット……42.1%
サトノダイヤモンド……26.9%
ドゥラメンテ……26.3%
【ダート】
ダノンレジェンド……33.3%
ニューイヤーズデイ……33.3%
シニスターミニスター……29.1%

 注目は芝のアメリカンペイトリオット。京都芝では19戦8連対と図抜けた成績を収めています。ダートのシニスターミニスターは、休止期間以前の成績はごく普通でしたが、再開後の好成績が目立っています。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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