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地力上昇 サラキアを彷彿とさせる成長力

  • 2023年11月13日(月) 18時00分

血統で振り返るエリザベス女王杯


【Pick Up】ルージュエヴァイユ:2着

 勝ったブレイディヴェーグに内から食い下がって2着を確保しました。これで3戦連続の重賞2着。着順は同じでも、GIII→GII→GIとレースの格が上がっているので、馬の地力が上昇していることがうかがえます。

 母ナッシングバットドリームズは、父フランケル(通算14戦全勝、英愛チャンピオンサイアー)、母デインドリーム(凱旋門賞など欧州G1を5勝)という世界トップクラスの超良血馬。成長力と、大レース向きの底力に秀でた血統構成です。一方、父ジャスタウェイは本格化までに時間を要する血で、距離延長は苦にしない傾向があります。

 ルージュエヴァイユは、3歳時にフローラS5着、オークス6着と、世代トップに混じってそれなりの実績を残した馬でした。それから約1年が経過した今年6月から重賞で上位争いをするようになり、ついにGIで連対を果たすまでになりました。この成長力はサラキア(府中牝馬S1着→エリザベス女王杯2着→有馬記念2着)を彷彿させます。フロック扱いしないほうが良さそうです。

血統で振り返るデイリー杯2歳S


【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着

 新馬戦はゴール前で抑える余裕を見せて芝1800m1分47秒4の好時計勝ち。2戦目となる今回は最内から突き抜けて1番人気に応えました。過去10年間の勝ち馬から3頭のGIホース(ジャンダルム、アドマイヤマーズ、セリフォス)が出ている出世レース。エリートコースに乗ったといえるでしょう。

 前述のGIホースはいずれもマイル以下を主戦場としましたが、ジャンタルマンタルは2000m以上でも問題ないと思わせる血統構成です。父パレスマリスはジャスティンパレス(天皇賞(春))の半兄で、現役時代にダート12ハロンの米G1ベルモントSを勝ちました。母インディアマントゥアナは芝11ハロンの米G3勝ち馬です。

 今回は雨の影響が残る稍重のコンディションだったのもプラスに働きました。アメリカ血統の持込馬(母の胎内に入った状態で日本にやってきて産まれた馬)だけに、少しパワーが問われる馬場のほうが走りやすいタイプでしょう。洋芝がオーバーシードされた冬場の芝も合うはずです。

知っておきたい!血統表でよく見る名馬


【ダンシリ】

 兄弟姉妹に5頭のG1馬を持つ超良血馬。自身はG2とG3を計3勝し、G1では2着が最高でした。しかし、種牡馬としては成功を収め、レイルリンク(凱旋門賞)、フリントシャー(パリ大賞などG1を5勝)、ハービンジャー(キングジョージVI世&クイーンエリザベスS)など多くの名馬を送り出し、デインヒルの優れた後継種牡馬の一頭となりました。硬い芝を得意とするタイプで、ハービンジャーが勝ったキングジョージは2分26秒78のレコードタイム。速い勝ち時計が計時されるアメリカのターフでも多くの活躍馬が誕生しています。ハービンジャーはわが国で供用されて成功し、ブルードメアサイアーとしても優秀です。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「多数の日本馬が登録!シャティン競馬場を得意とする血統は?」

 12月10日(日)の香港国際競走まで1ヵ月を切りました。今年は68頭が登録を済ませています。例年どおりのスケジュールであればあと10日ほどで選出馬が発表されます。

 シャティン競馬場は、1周1899mの洋芝コース。したがって、洋芝に強い血統が善戦する傾向があります。ステイゴールド、ロベルト、デインヒルあたりは定番で、キングカメハメハ、フォーティナイナー、ストームキャットあたりも悪くありません。キタサンブラック産駒は走った経験がありませんが、洋芝適性が抜群なので、おそらく適性は高いだろうと思います。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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