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阪神JFに最適な配合構成 アスコリピチェーノの勝利を血統面から回顧

  • 2023年12月11日(月) 18時00分

血統で振り返る阪神ジュベナイルフィリーズ


【Pick Up】アスコリピチェーノ:1着

 ダイワメジャー産駒は阪神JFに強く、これで通算3勝目。現在のコース形態となった2006年以降、ディープインパクトと並んで最多の優勝回数です。ダイワメジャー産駒は総じて完成が早く、スピードにも恵まれています。したがって、2歳から3歳春にかけてのマイル重賞に強く、阪神JFはそうした長所が最大限に活きる舞台といえるでしょう。

 勝った3頭、メジャーエンブレム、レシステンシア、アスコリピチェーノは、「母方にサドラーズウェルズとダンジグを併せ持つ」という配合的共通点があります。父だけでなく全体の配合構成もよく似ているというわけです。

 サドラーズウェルズはヨーロッパの重厚なスタミナ血統で、英愛チャンピオンサイアーの回数は史上最多の14回を誇り、ガリレオの父、フランケルの2代父にあたる名血です。日本向きの素軽さに欠ける重厚な血統だけに、どの種牡馬と合わせても上手く行くわけではありません。ダイワメジャーはスピード能力に秀でたマイラー血統なので、サドラーズウェルズの重さが足かせにならず、むしろ底力に転化して大レース向きに仕上がるという理想的な構造となります。

 ちなみに、ダイワメジャー産駒は朝日杯FSをアドマイヤマーズで勝っています。同馬もやはりサドラーズウェルズを持つ配合構成です。

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【Pick Up】ヤマニンサルバム:1着

 イスラボニータ産駒のJRA重賞勝利は、昨年春にファルコンSを勝ったプルパレイ以来2頭目。どちらも中京競馬場が舞台であるように、中京芝の適性が高く、なかでも中京芝2000mは連対率41.7%(12戦5連対)と優れています。

 母ヤマニンエマイユは、京成杯AHで4着となるなど重賞戦線で活躍しました。ヤマニンサルバムのほかにヤマニンペダラーダやヤマニンマンドールを産んでおり、繁殖牝馬としても実績を残しています。ヤマニンエマイユの配合構成は、2代前にダンシングブレーヴとトニービンを併せ持つので、イクイノックスの母シャトーブランシュとよく似ています。

 2019年にキタサンブラック(イクイノックスの父)と交配したものの、残念ながら産駒は出来ませんでした。生まれていればイクイノックスと配合的によく似た馬が誕生していたことになります。

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【ガリレオ】

 現役時代は英ダービー、愛ダービーなど通算8戦6勝。管理したエイダン・オブライエン調教師は「ギアが入ってからのトップスピードが驚異的」と評しました。その父サドラーズウェルズは英愛チャンピオンサイアー14回の大種牡馬、母は凱旋門賞馬アーバンシーという超良血で、8歳下の半弟シーザスターズは英ダービー、凱旋門賞などビッグレースを総なめにしました。

 種牡馬としても大成功。今世紀最強といわれるフランケルを筆頭に多くの名馬を送り出し、英愛チャンピオンサイアーの座に12回就きました。これはサドラーズウェルズ(14回)、ハイフライヤー(13回)に次ぐ歴代3位の記録です。スピードの持続力を武器とし、欧州向きのパワーに秀でています。それゆえに日本向きの素軽さに欠け、JRAでデビューした37頭の産駒から、重賞勝ち馬はおろか馬券に絡んだ馬すら出ていません。息子のフランケル(ソウルスターリング、モズアスコット、グレナディアガーズなどの父)とは対照的であり、両者は親子であっても別物と考えるべきでしょう。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「日本で種牡馬入り! ウエストオーバーをどう見る?」

 かなりの素材だと思います。父フランケルは、直系先祖のサドラーズウェルズ-ガリレオの親仔とは違い、日本の高速馬場に適応する素軽さを秘めています。スピードと切れ味を武器に無敗で凱旋門賞を制したエースインパクトのような馬が出てくるのも、フランケルのラインがそうした重要な要素を伝えているから、という気がします。

 ヨーロッパの芝は日本のそれに比べて力を要するため、スピード検定の舞台として適切とはいえず、スピードの有無は距離適性で判断されがちです。すなわち、短距離向きの馬はスピードがあり、長距離向きの馬はスピードがない、と。12ハロン向きの馬は種牡馬として冷遇されがちです。

 しかし、日本で成功する欧州血統の種牡馬を見分けるときに、最も重要なのは距離適性ではなく、血の質であると考えます。優秀なマイラーであっても血の質が重ければ日本向きとはいえません。逆に、12ハロン向きでも日本向きの血の軽さがあれば注目すべきであり、その上で高速馬場で実績を残していれば期待できるでしょう。

 自身は硬い芝を得意とし、サンクルー大賞(仏G1・芝2400m)の勝ちタイムは2分25秒46のレースレコード。エースインパクトが2分25秒50で差し切った凱旋門賞(仏G1・芝2400m)、イクイノックスが2分25秒65で逃げ切ったドバイシーマクラシック(首G1・芝2410m)でそれぞれ2着となっています。なおかつ、母、2代母はいずれもアメリカの軽い芝で8ハロンの重賞を勝ちました。

 ファミリーに代々交配している血は、ヘイルトゥリーズン、ラウンドテーブル、ニジンスキー、ライシアス、リアファン、フランケルと、いずれも日本適性があります。

 新冠町の優駿スタリオンステーションに繋養され、初年度の種付け料は250万円。個人的には大きな可能性を感じています。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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