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持久力に高い適性を持つパワー色 チャックネイトの血統面からレースを回顧

  • 2024年01月22日(月) 18時00分

血統で振り返るAJCC


【Pick Up】チャックネイト:1着

 中山芝2200mは、スピードの持続力とスタミナが要求され、上がりが速くならない傾向があります。不良馬場の影響もあってレースの上がり3ハロンは37秒8、ラスト1ハロンは13秒1という持久力勝負。チャックネイトはそうしたレースに高い適性がありました。

 父ハーツクライは、ドウデュース、スワーヴリチャード、リスグラシュー、ジャスタウェイなどの父。母ゴジップガールはアメリカンオークス招待S(米G1・芝10ハロン)など3つの芝重賞を制覇しました。

 母の父ダイナフォーマーはクリスエスやシルヴァーホークと並ぶロベルト系の名種牡馬で、現役時代は米G2を2勝した程度の目立たない競走馬でした。しかし、サンシャインフォーエヴァーやブライアンズタイム(この2頭は父が同じで母同士が全姉妹)と血統構成の8分の7まで同じという良血がモノをいい、アメリカはもちろんヨーロッパでも多数の活躍馬を誕生させました。

 ロベルト系のセールスポイントはスピードの持続力とスタミナ。中山の中長距離に向いた血で、たとえば有馬記念においては無類の強さを発揮しています(通算9勝)。ダイナフォーマーはロベルト系のなかでもパワー色が強いので、道悪の中山芝2200mという舞台は、チャックネイトにとって持ち味を発揮しやすかったといえるでしょう。ちなみに、「ハーツクライ×ダイナフォーマー」と血統構成がよく似た「ハーツクライ×ブライアンズタイム」は、過去重賞を4勝していますが、うち2勝が中山コースでのものです。

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【Pick Up】ウィリアムバローズ:1着

 父ミッキーアイルは、ディープインパクト産駒の名マイラー。メイケイエール、ナムラクレア、ララクリスティーヌ、デュアリストの父となっています。

 牡と牝とで産駒の傾向に明確な違いがあり、牡はダート向き(芝=17勝、ダート54勝)、牝は芝向き(芝=51勝、ダート19勝)に出ます。これまでに5頭の仔が重賞を計13勝していますが、牡の2勝はいずれもダート、牝の11勝はすべて芝です。こうしたタイプの種牡馬は、たとえば今回2着だったオメガギネスの父ロゴタイプ、昨年の新種牡馬カリフォルニアクロームなどがいます。

 ウィリアムバローズは芝でデビューし、4戦して勝てず、ダートに転向しました。ここから見違えるように勝ちはじめ、6歳にして重賞ウィナーの仲間入りを果たしました。

 母ダイアナバローズは紫苑S(当時はオープンクラス)の勝ち馬ですが、船橋競馬場で行われたダートグレード競走マリーンC(JpnIII)で5着となっており、シンボリクリスエス産駒らしいパワーの片鱗を見せています。シンボリクリスエスはルヴァンスレーヴ、サクセスブロッケンなどの父です。

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【シーキングザゴールド】

 マイル以下を得意とする芝・ダート兼用タイプ。瞬発力よりもスピードの持続力に強みがあり、仕上がりが早く、JRAで走った64頭中50頭が勝利するという驚異的な勝ち上がり率を記録しています。

「ミスタープロスペクター×バックパサー」の組み合わせは、ミスワキ、ウッドマン、アワエンブレム、マイニングなどと同じニックス。わが国ではシーキングザパール、マイネルラヴ、ゴールドティアラがGIを勝ったほか、6戦5勝の成績を残したレディブロンド(ディープインパクトの半姉)は、ダービー馬レイデオロ、帝王賞馬ゴルトブリッツなどの牝祖となっています。

 シーキングザゴールドの代表産駒ドバイミレニアム(通算10戦9勝)は5歳春に早世しましたが、わずか1世代の産駒からドバウィ(愛2000ギニー、ジャックルマロワ賞、愛ナショナルS)を出しました。同馬は種牡馬として大成功し、2022年に英愛チャンピオンサイアーとなりました。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「24年のブルードメアサイアーの動向は?」

 ブルードメアサイアーという語は「母の父」という意味です。「BMS」と略して表記されることもあります。

 23年の総合ブルードメアサイアーランキングは、キングカメハメハが約51億円で首位の座につき、2位ディープインパクトに約3億円の差をつけて4連覇を達成しました。3位クロフネは約32億円なので、1位と2位のマッチレースの様相です。ディープインパクトは過去5年間、16億→23億→34億→42億→48億と順調に数字を伸ばしてきており、この勢いが今年も続くようなら、数字的に頭打ちの感があるキングカメハメハを逆転するかもしれません。

 24年の現時点のランキングは、1位ディープインパクト、2位シンボリクリスエス、3位アグネスタキオン、4位キングカメハメハ、5位マンハッタンカフェ。まだシーズンが始まったばかりなので、あくまでも参考成績です。ディープインパクトはブレイディヴェーグ、マスクトディーヴァ、ゴンバデカーブースを、キングカメハメハはチェルヴィニア、ママコチャ、ローシャムパークを擁しています。これらが順調に稼働すれば、今年も激しい首位争いが繰り広げられそうです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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