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【#43】「“鬼嫁”こそ私の使命」騎手という職業の光と闇を見た鬼嫁の覚悟

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  • 2024年03月04日(月) 18時01分
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。

週1回、調整ルームでのリハビリを受けることになった雄造騎手はそこに向けて“食べない減量”を始めていました。すると由紀子さんに病院から「食べるように進言してほしい」との連絡があり、久々の面会へ行くも効果はなく…。

去る2023年2月19日、自らがバレットを務めた福永祐一騎手の引退式に立ち会った由紀子さん。その景色を見て、改めて雄造騎手の復帰のサポートをしたい気持ちが高まったのだとか。そこで自らに誓った覚悟とは──。

「バレットというお仕事に就けたこと、“福永祐一”のバレットだったことは私の誇り」


 私の提案で週に一度、調整ルームで藤田先生のリハビリを受けることになった夫。久々のトレセン通いを前に、どうやらお菓子の食べ過ぎで崩れた体型を元に戻そうと減量を始めたようでした。

 運動量を増やせばいいのに…と思うのですが、夫は「食べない減量」をしているようで、病院で出される食事のほとんどを食べない始末。主治医や看護師さん、栄養士さんの指導も空しく、食べない状態が続きました。つい先日まではお菓子を食べ過ぎてみんなを困らせていたのに、今回は食べない…。食べたり食べなかったり忙しい人です(笑)。

 私は痩せている男性が好きなので、個人的な感覚としては、食べ過ぎるより食べないほうがマシ。むしろ崩れた体型が少しでも以前の体形に近づくのであれば、「食べない減量」もアリだと思っています。

 しかし、病院から下された私への指示は、「食べるように進言してほしい」というもの。病院側としては、当然のお願いです。私は、夫に食べない減量をやめるよう伝えるため、子供たちを連れて久しぶりに面会へ。久しぶりに会った夫に食べてほしい旨を伝えたのですが、「騎手の減量は“食べない”、“サウナ”のふたつだから」と言い切られてしまいました。

 若い頃の(福永)祐一さんは減量に苦労するタイプではなく、ご結婚されてからも、奥さまの翠さんお手製の完璧なアス飯(アスリート飯)で体重をコントロールされていたので、私は減量に関してはあまり詳しくありません。とはいえ、確かに「食べない」+「サウナ」のセットという印象はあります。

 ただ、みなさん無駄な物を口にしないのはもちろんですが、そこはアスリートですから、筋肉をしっかりとキープした上で極限まで体重を落とす必要があるはず。あとは週の後半は食べないようにするか、1週間を通して摂取量を調整されている方が多いのではないかと思います。

 夫にもそんな話をしてみたのですが、取り付く島もないとはまさにこのこと。10分間の面会ではまったく説得することができず、あっという間に終わってしまいました。

 家に帰った後も、食べるように促すLINEを送ったりもしたのですが、まったく響かず…。周囲の心配をよそに、食べない減量を続けているようでした。

 2023年2月11日、土曜日。この日は私が祐一さんのバレットをさせていただく最後の日でした。

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1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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