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ファンタジーS

  • 2006年10月30日(月) 23時52分
 データ系の原稿というのは「気付いて書いた途端にその傾向が途切れて大失敗」ということがある。

 昨年のファンタジーSでまさにそのパターンにはまってしまったのが、「前走OP特別・重賞組が弱い」という主張だった。

 実際問題として02〜04年の3年間は前走でOP特別・重賞を走っていた馬の連対がなく、特に重賞組はその前から弱かった。

 しかし、昨年のファンタジーSはというと、前走でききょうSを勝っていたアルーリングボイスが優勝、2着に前走函館2歳S・2着のラッシュライフが入って、それまでの流れを完全に断ち切ってしまった。

 ついでに言うと、3着に入ったニシノタカラヅカも傾向から見ると例外的存在。それまでファンタジーSでは前走で未勝利を勝った馬が馬券に絡んだことはなかった。前走新馬勝ちの馬も、かつての「折り返し」を勝った馬の好走例はなく、1戦1勝の馬だけが馬券に絡んでいたのである。

 さて、そこで今年はどうしたものか。

 妥協的な案だが、他の傾向とあわせて複数の条件をクリアする馬を優先する、という方法をとってみたい。

 他の傾向とは例えば、芝ダート問わず前走距離が今回と同じ1400mだった馬が優勢であるとか、一方でマイル以上だった馬は不調であるとか、北海道からの転戦組が優勢であるとか、前走500万下3着以内の馬がけっこう来るとか、そういったものだ。

 イクスキューズを例にとると、前走が札幌なのは歓迎だが1800mというのはいまひとつで、そこに先述した重賞組というネックも加わる。血統的に今回の条件が向きそうと考えても▲△まで……ということになる。一方、かえで賞の1、3着馬あたりは減点材料が無いので◎までつけられる。

 データ派というのは妥協せずに自分の方針を貫いたほうがいいようにも思うのだが、昨年の結果があまりな内容だったために、弱気になっている次第である。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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