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【騎手の種牡馬辞典】ディープインパクト・キングカメハメハ編 ──切れ味に特化しているがゆえ、無双状態の最適条件が!/後編

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  • 2023年01月09日(月) 18時02分
ryusei

▲「使える種牡馬辞典」第二弾、今回が最終回! (撮影:榎本良平)


“超”のつく競馬オタクの坂井瑠星騎手が、豊富な知識と自身の経験から種牡馬を解説する「使える種牡馬辞典」。モーリス、ルーラーシップ、キタサンブラック、ダイワメジャーなど人気種牡馬について語ってきたこの短期連載も、いよいよ今回が最終回です。

今回取り上げるのは、前回につづきレジェンド種牡馬2頭、ディープインパクトとキングカメハメハです。前回のコラムで“ザ・オールマイティー”と表現したキンカメ産駒。対して、極端な適性を持つのがディープ産駒だと言います。

何年もトップサイアーの座に君臨している、“究極の種牡馬”ディープインパクト。その産駒に実際に跨ることのできる騎手だからこそ感じ取れる真のすごさ、坂井騎手の生の言葉からご堪能ください。

(取材・構成=不破由妃子)

◆大反響!「種牡馬辞典」第一弾はこちらから

ラヴズオンリーユーが4歳の頃、トレセンの地下馬道で…


 前回、我の強いディープ牝馬の代表としてラヴズオンリーユーを挙げましたが、ラヴズはその走りもディープ産駒の典型だと思います。もちろん、僕は調教でしか乗っていませんし、それ以前にディープインパクト自体の走りを体感したこともありませんから、あくまでも僕が知っているディープ産駒の印象がベースです。

 確か、ラヴズが4歳の頃だったと思います。いつものようにその背に跨り、栗東トレセンの地下馬道でダク(速歩・はやあし)を踏んだとき、本来なら聞こえてくるはずの音がないことに気づいたんです。

「あ、脚音が聞こえない…」

 読者のみなさんも想像がつくと思いますが、競走馬がダクを踏めば、普通なら「パカパカ」と音がするものなんです。でも、ラヴズの場合、例えるならば「フワッフワッフワッ」。この音の違いは何か。これぞディープ産駒の特徴といえるのかもしれませんが、とにかく脚捌きが軽く、なかでもラヴズはさらに軽くて、パカパカという音さえしなかった。

 脚捌きが軽いということは、それだけ切れるということであり、ラヴズの走りを見れば納得ですよね。よく「長く脚を使える」という表現をしますが、ラヴズさらにその上をいき、「速い脚を長く使える」タイプ。まさにディープ牝馬の究極系だったと僕は思います。

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▲「ディープ牝馬の究極系」と言えるラヴズオンリーユー (C)netkeiba.com


 僕がずっとコンビを組ませていただいているエントシャイデンもディープインパクトの男馬で、2018年から2019年にかけて3連勝してオープン入り。その3連勝時の上がりが32秒3、33秒3、33秒3だったのですが、1勝目のときに騎乗していた(武藤)雅がレース後、「こんなに脚の速い馬は初めて乗りました」と驚いていたことを覚えています。

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1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属として地方通算2000勝を達成した名手(現調教師)。同期は藤田菜七子、荻野極、木幡巧也ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎所属でデビュー。2019年ノーワンのフィリーズレビューで重賞初制覇。2020年ダノンファラオのジャパンダートダービーで交流GI初制覇。また、2017年のオーストラリア長期遠征を皮切りに、ヨーロッパや中東など世界各国で騎乗。

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