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調教師人生約30年!沖芳夫元調教師にインタビュー!

  • 2019年03月05日(火) 18時00分

新調教師に、8人の騎手デビュー戦と話題満載


職人

調教師人生約30年!先月末で定年の為、引退された沖芳夫先生に話を伺いました


 春の息吹を感じられるレースが東西で行われました。

 チューリップ賞(GII・阪神芝1600m)で圧倒的な人気に応え、桜花賞に向けて狼煙を上げたダノンファンタジー号。一瞬ひやっとしましたが、川田騎手は慌てず、冷静に判断。手綱さばきに応え、いい反応で伸びたダノンファンタジー号には、まさに人馬一体のレースを見せていただきました。感動!

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慌てず騒がず 人馬一体のレース運びに感動!(C)netkeiba.com


 川田騎手のコメントにもありましたが、目の前に進路がなくても、焦らず徐々に道を作りながら抜け出しました。馬群の外に誘導し抜け出しましたが、この時、外に出すという扶助動作、馬に合図を送るのは一瞬の判断なのでとっても難しいことです。

 100mを全力疾走するイメージをすると外に出したほうがいい走りができる。何の迷いもなく外へ出した川田騎手の好判断・好騎乗ですね。さすがと思いました。素晴らしいレースぶりを生観戦できなかったのが悔しいです。(怪我治療中)

 2着のシゲルピンクダイヤ(栗東・渡辺薫彦厩舎)も取材させて頂いたので応援していました。よく頑張ったよね。桜花賞には、生観戦かぶりつきですね。楽しみです。

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2着のシゲルピンクダイヤもよく頑張りました。桜花賞が楽しみです(写真は昨年11月未勝利戦出走時)(C)netkeiba.com


 弥生賞(GII・中山芝2000m)のメイショウテンゲン号は、直線で抜け出し皐月賞への権利獲得。池添兼雄調教師との親子タッグで権利を勝ち取った池添騎手。勝負強さをここぞとばかりに見せつけたレースでしたね。

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父・ディープインパクトも制した弥生賞を母譲りのパワーを武器に勝利(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 今週は、金鯱賞が行われます。ダノンファンタジーに続けとばかりに、ダノンプレミアムが出走予定。

 厩舎に初GIをもたらしたプレミアムの底力が見たいですね。「爪の故障でクラシックレースを見送ってきたが、じっくり時間をかけ仕上げてきた」という陣営。ひと追いごとに変化しているそうです。今週も中内田厩舎が買い目かな?

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一昨年の朝日杯FSを制したダノンプレミアム。厩舎に2週連続の重賞勝利をもたらせるか注目!


 また1日は、2月で引退された調教師の後を継ぎ新規開業調教師のデビュー。8人の騎手のデビュー戦と話題満載。初出走・初勝利した石坂公一調教師の管理馬リーガルリリー号は2月で引退した中村調教師の元管理馬。「この勝利はオーナーと中村先生とスタッフからのプレゼントです」と謙虚に話されていたのが印象的でしたね。

 開業前に、引退される調教師に挨拶訪問されている石坂先生に会い「よろしくお願いします。また厩舎に来てください」と名刺をいただき、慎ましやかな方だなぁ…と感激しました。早速取材に寄らせていただきます。改めておめでとうございます!

 新人騎手も話題いっぱいですね。岩田騎手の親子対決。逆輸入の藤井騎手。斎藤騎手の親子タッグでの勝利など、話題満載なので取材も忙しくなるぞー。

 怪我治療中なんて言ってられないですね。事故から40日過ぎ歩けるようになってきましたので、トレセン内をうろうろしていたら、声をかけてくださいね。よろしくお願いします。新人騎手は初々しくてみんな同じような顔に見え、名前と顔が一致しなくて…間違ったらごめんなさい。

***

 引退を前に沖調教師に競馬人生をたっぷりうかがってきました。2月28日生まれで、この日に引退と言うのも奇遇ですね。

職人

2月28日を以って引退された沖芳夫先生にお話を伺いました


常石 今日はよろしくお願いします。先生には、いっぱいお話をお聞きしようと思っていたのに、いつの間にか日が過ぎてしまってとっても残念です。

 僕にはそう大した話題はないよ。

常石 確かサラリーマンのお家だったといわれていましたよね。この世界に入られたきっかけは、何ですか?

 東京出身で関西にいるのも不思議かな?動物が大好きだったんですよ。小学校の時に、寄せ書きで将来北海道へ行きたいと書いていたんですね。

 スポーツも大好きで、中学時代はサッカー部。東京農業大学付属高校へ入りサッカーをやりたかったのですがクラブがなく、ラグビー部に入ろうかとも思ったのですが、馬にふれるのもいいなーと思い馬術をすることにきめました。

常石 僕もラグビーをしていたんですよ。そこから騎手になったのも変ですね。(苦笑)

 そうだったんだ。僕はちょうど東京オリンピック開催の年だったので、サッカーも盛り上がっていました。

常石 母も東京オリンピックの話は、よくしていますね。ほんまか嘘かよくわかりませんが、聖火ランナーだったそうですよ。(苦笑)

 おーそれはすごいことですね。あの当時は、盛り上がりましたからね。農大の近くに馬事公苑もありオリンピック競技会場でもあったので。農大に進んでからは馬術中心の生活だったので授業にはほとんど出ずでしたから、単位が取れずに5年も行きました。飼い葉代も必要なのでアルバイトにも忙しかったですね。

常石 競馬の世界に入るきっかけは、なんでしたか?

 大学の先輩に、競馬史に残る馬主さんの中村勝五郎さんのご長男がいて、そのご縁で生産牧場へ就職しました。ハクセツやジョセツなどの生産に携わっていた千葉の扶桑牧場です。競走馬の速さには驚きましたね。

常石 僕も栗東実習に来た時に競馬学校馬との違いに驚きました。スピードとウマの柔らかさに感動しました。この時騎手になりたいと思いましたね。

 出会いは大切ですね。大久保石松先生に「調教師になったらどう?」と勧めていただき、必死で勉強したよ。3回目で合格しました。

常石 初勝利も早かったですよね。

 開業3年目で重賞を勝つことができました。ダイイチオイシが函館3歳ステークスで勝った時は、うれしかったね。今は、2歳Sだね。9番人気でも勝ち負けになるんだと思いましたね。

常石 やっぱりこの道に入るって小学校から予測していたんでしょうね(笑)

 そうだね。やれば大変なこともいっぱいあるが面白いこともいっぱいある。やっていて面白い仕事ですね。JRAGI初勝利した1997年エリザベス女王杯のエリモシックは今でも思い入れの強い血統です。エリモシックは、体質が弱く腰もパッとしていませんでしたから、不安はありましたが、それで故障することはなかったんですよね。

 不安があったからこそゆっくり仕上げ調整したことがよかったんですね。

常石 あと、忘れられない馬がいますよね。トップロードとの秘話を教えてください。

 皐月賞はテイエムオペラオー、ダービーはアドマイヤベガ。そして菊花賞を制覇したのがナリタトップロードだったよね。

 6年目の渡辺薫騎手(現・調教師)が手綱を取っていましたが、道中行きたがって口の周辺に血が付いてくることがあったので、位置取りは気にせずに、折り合いだけを重視して乗るように言うと、口を切るようなことはなくなりました。

 きさらぎ賞を使うときに、クラシックに行けるかなと思いましたね。

常石 騎手は、いい位置につけたいと思って乗りますが、折り合いも大事なことだと改めて確認できました。

 ダービーは1番人気に支持されましたが2着に敗れ、渡辺は悔しかったと思うがいい経験になり、何の悔いも残っていません。よく走ってくれたと思います。トップロードは自分の競馬ができる賢い馬だから、次があると信じていました。

常石 皐月賞3着、ダービー2着と来ていましたよね。ダービー2着は凄いと思いました。僕も必死で応援しました。

職人

沖厩舎に飾られていた肩掛けの数々… トップロードの馬名が刻まれたものも


 トップロードの菊花賞は1枠1番というのが気になりました。1完歩が大きく不安があったので、渡辺に「何か迷うことがあるか?」と聞きました。即答で「いえ、ありません。大丈夫です」と。

 山路オーナーも一言も言わずに任せてくれましたのでありがたかったです。好位から抜け出し最後の1冠を勝ち取ったときは感慨深かったですね。騎手を育てるには、それなりの責任もあるからね。

 何がいいのかわからなかったが調教師になるまで僕の所にいましたね。これも調教師冥利に尽きるね。今年は渡辺厩舎が重賞を勝つことができたので、安心して引退できますよ。

常石 あの勝利は、うれしかったです。僕も飛んでいきたいと思いました。いつも一緒にいましたからね。

 先生は、今でも毎朝馬に乗っているでしょう。退職はもったいないですね。

 元気なうちに退職できるのはうれしいです。

常石 退職されたら何かされる予定はあるんですか?また、一番印象に残っていることはなんでしょうか?

 情報誌が多くなり身近になった競馬はスポーツとしての一面もあると思います。

 豊君(武豊騎手)が「僕はどこへでも行きますよ」と言ってくれた時は、こんなに偉大な騎手がこんな風に言えるのは凄いことだと思った。後輩達には先輩をまねて尊敬できる騎手や調教師に育ってほしいと思います。

 馬を大事にしてほしいですね、同じ空気感で生きている仲間ですからね。強い馬に乗って1つずつ覚えていくことも大事です。とっても大事な馬を預かっていることを忘れないでほしいです。

常石 先生とはご縁があり、渡辺先輩と一緒に大事にしていただき、
感謝いっぱいです。口取り写真の時「常石も入り」とお声をかけて頂き、写っているんです。宝物ですよ。

 ありがとうございました。パドックへ行っても楽しみが少なくなりますよ(笑)

職人

一緒に撮って頂いた口取り写真は今でも宝物です


 取材しっかりして、読んでもらってくださいね。自分はしばらくゆっくりするわ。競馬はまだまだ続くので応援していきたいです。

常石 ありがとうございました。とっても寂しくなります。本当にありがとうございました。お体に気をつけてお過ごしください。

 常石君も目標に向かって頑張って!応援してるよ。

常石 ありがとうございます、話はまだまだつきませんがとりあえず今日はここで失礼します。

職人

「しばらくゆっくりするわ」と笑う沖先生とジョーアラビカ


***

 また機会があれば続編をお届けしたいと思います。取材中でもずっと沖先生の優しさ、「馬が好き、人が好きなんだなー」と感じました。

 つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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