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当面は藤田菜七子騎手が唯一の受益者 “女性騎手の減量特典”大幅拡大の背景

  • 2018年12月24日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲藤田騎手のさらなる飛躍になるか、女性騎手の恒久的減量制度導入 (撮影:高橋正和)


 JRAは11月20日の経営委員会で、2019年度の事業計画と予算案を議決し、併せて競走番組に関する細部事項を発表した。最も注目を集めたのが、女性騎手の恒久的減量制度導入だった。

 16年3月に16年ぶりの女性騎手としてデビューした藤田菜七子騎手(21、美浦・根本康広厩舎)が順調に勝ち星を伸ばし、競馬界の外でも女性騎手への関心度が高まった状況で打たれた一手である。

 現行ルールは男女とも、通算101勝に達するかデビューから5年が経過した時点で、一般競走での減量特典(通常より軽い斤量で騎乗できる)が消えるが、来年3月から女性騎手は、上記の2つの条件に該当しても、引退まで2キロの減量特典が残ることになった。デビュー5年未満、100勝以内の女性騎手に対しては減量幅を拡大。50勝までは4キロ減、51-100勝で3ロ減となる。驚きの大判振る舞いだ。

21年まで「受益者」は1人


 当面、受益者は藤田騎手1人だ。競馬学校には現在、2人が1年次に在籍中で、来春に1人が入学予定だが、順調に行っても次の女性騎手が出るのは21年だ。唯一の受益者・藤田騎手は今年も成績を上げている。

 初年度は6勝止まりだったが、2年目の昨年は14勝と倍以上に増やし、増沢由貴子・現調教助手(40、旧姓牧原)が1997年に記録した女性騎手年間最多勝記録を更新。今年は12月21日時点で27勝。再び前年の倍近い水準に伸ばし、地方交流戦の5勝を加えて通算勝利が52に達した。

 減量幅は1キロとなった。勝利数は全国40位で、美浦所属組で18位。現在の勝利数は勝浦正樹騎手(40、美浦)や酒井学騎手(38、栗東)と並ぶ。

 ただ、10月1日更新の当欄でも触れたが、本来はここからが壁のはずだった。減量幅が1キロとなった後、勢いが止まる若手騎手が多いからだ。藤田騎手は12月2日の中山で中央47勝目、地方交流込みで51勝に到達し、8日から1キロ減となった。筆者は当時、「来年前半」と予測したが、一足早く壁の前に立った形だ。

 だが、来年3月からは新減量ルールにより、101勝に届くまでは再び3キロ減となる。今の勢いで減量幅が再び2キロ拡大となれば、一般競走とは言え、騎乗馬の質は相当に上がりそうだ。むしろ、自身のみに適用されるルールを負担に感じ、無用なプレッシャーを受けなければ、との心配が先に立つ。

「菜七子ルール」なのか?


 師匠の根本康広調教師(62)は、今回の新ルールについて「(藤田騎手が)自分で結果を出し、注目度を高めたことで、ここまで来た」と話す。確かに、96年に増沢助手を始め、3人が同時にデビューした当時、女性騎手への優遇策を期待するような雰囲気はなかった。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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