◆ゼンノロブロイはオークスが正念場
天敵レッドリヴェールが回避したことで、ハープスターの二冠達成がますます濃厚となった。オークスは登録段階で23頭。このうちノーザンファームの生産馬が9頭、社台ファームが3頭、追分ファームが2頭。社台グループだけで14頭もいた。抽選で4頭が除外となって10頭に減ったが、それでもフルゲートの過半数を社台グループが占める。
ただ、これは今に始まったことではなく、もはやクラシックで毎年恒例のシナリオ。おそらく1-3着馬も社台グループが独占するのだろう。そんな身内の運動会にも、すっかり慣れっこになってしまった。
その社台グループが擁する名牝系は、軽く20系統を超える。しかし、今、それぞれの名牝系が深刻な悩みを抱えている。サンデーサイレンスとともに発展した名牝系が多く、ディープインパクトを筆頭とした同系の一級種牡馬を付けられないジレンマだ。商業主義一辺倒の配合は、次世代、その先の世代で苦しむ危険性が潜む。
非サンデーサイレンス系は頼りのキングカメハメハが伸び悩み、シンボリクリスエス、クロフネもクラシックは頭打ちの状態。ジャングルポケットもとうにピークを過ぎ、期待していたチチカステナンゴも思うように伸びない。日本で最高峰の名繁殖牝馬群が、非サンデーサイレンス系の大物種牡馬に恵まれず、日干しの状態となっている。
ハープスターのアンティックヴァリュー系もその一つだが、幸いなことに母のヒストリックスターは不出走ながら、ファルブラヴ産駒だったためにディープインパクトを配合相手に選ばれる幸運を得た。将来を見越したバランスの取れた配合の重要性を、このハープスターに垣間見ることができる。
相手候補はハーツクライ、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァース産駒あたりだろうか。ハーツクライが伝えるスタミナは捨てがたい。多少なりとも消耗戦になればヌーヴォレコルト、マジックタイムにもチャンスはある。
ゼンノロブロイの初産駒は2010年のオークスで1、3、4着。その翌春に生まれたのが現3歳だ。それだけに良血馬が揃っており、オークスに3頭が駒を進めてきた。これで3着に1頭も入らなかったら、ゼンノロブロイの将来に暗雲が立ち込める。