【AR共和国杯予想】長距離適性を秘める血統背景 伏兵ニシノレヴナントの快走に期待
母の父は長距離G1を4勝
伏兵ニシノレヴナントは、全8勝が1200m以下の典型的なスプリンターだったネロ(その父ヨハネスブルグ)産駒。また、牝系の3代母は桜花賞、スプリンターズSなどを制した快速ニシノフラワー。ニシノレヴナントはスピード型に育つと思えた。
ところが、前走2000mを好時計で快勝して5勝目。他の4勝は2400〜2500m。ときに出現する異端児なのか、成績はステイヤーに近い。
もっともネロの3代父ストームキャットの巨大父系は、さまざまな適性を秘める種牡馬を世界中に広げて大発展してきた。実際はスピード優先型だけにとどまらない。
また、ニシノレヴナントは明らかに母方の影響が強い。母の父コンデュイットは、12FのBCターフ2連覇。キングジョージVI世&クイーンエリザベスSなど長距離G1を4勝もして、重馬場の14Fを超える英セントレジャーの勝ち馬でもある。
祖母の父は万能型で無敗の皐月賞馬アグネスタキオン。3代母ニシノフラワーの父マジェスティックライトは中〜長距離タイプのG1馬を10数頭も送った名種牡馬。4代母デユプリシトの父ダンチヒは、快速系だけでなく長距離型も含め、全世界に50頭近いG1馬を輩出した近年の大種牡馬だ。
デユプリシトは輸入されてニシノフラワーを筆頭に17頭もの産駒を送った稀に見るタフな牝馬であり、デユプリシトの3代母はセクレタリアト、サーゲイロードなどの母となったサムシングロイヤル(父プリンスキロ)になる。
ニシノレヴナントは決して短距離系ではないタフな牝馬デユプリシトの「3×4」、同時に大種牡馬サンデーサイレンスの「3×4」でもある。代を経て、父方、母方双方に秘められていたスタミナ能力が前面に出てきたのだ、ともいえる。
常識的にみて、伏兵ニシノレヴナントが快走の可能性は高くはない。こういうムラで、つかみどころのない馬を取り上げるのは気が引けるが、「東京の長距離戦はいつでも難解。結果が出るまで力関係はわからない」という金言はまだ生きている。昨年は10番人気の8歳馬ハヤヤッコがレースレコードで差し切った。かつて、天皇賞(秋)も3200mだった当時、1965年に人気のシンザンが勝ったあと、距離が2000mに短くなり1番人気のミスターシービーが勝利する1984年まで、なんと18連敗を続けていた歴史がある。