◆予想する方にしてみれば、この持ちハンデを読み解いて印に有効活用するだけだ
この世界には何やら「持ちハンデ」なる“内部用語”があるらしい。かつて松田国厩舎のモンテクリスエスという馬はレコードでダイヤモンドSを快勝した後、どんなに凡走を繰り返してもハンデ戦で56キロを背負わされ続けた。それを疑問に思ったトレーナーに対して、ハンディキャッパーからは「それが持ちハンデである」という旨の説明があったという。
「そんな言葉は公にはないんですけどね。本来、ハンデ戦は距離や相手関係を見てゴール前で横一線になるようにつけられるもの。結果が出なくても持ちハンデでずっと斤量を背負わされたモンテクリスエスはその後おかしくなってしまった」
この持ちハンデという言葉は以前、違う調教師からも聞いたことがある。明らかに重いと思ったハンデについて理由を聞きにいったところ、やはり「それが持ちハンデなのだ」と言われたとか。
上下7キロ差もある中京記念。オープン昇級後ずっとハンデ55キロをつけられているブレイズアトレイル、ハンデ重賞では近2走ともに57.5キロを背負い2桁着順に敗れていながら、またしても57.5キロをつけられたフラガラッハなどは、これが「持ちハンデ」なのかも?
もし相手関係、近走の成績関係なしにハンデをつけられているのだとしたら、関係者にとっては迷惑な話だろうが…。予想する方にしてみれば、この持ちハンデを読み解いて印に有効活用するだけだ。
上位ハンデをつけられた陣営は一様にして「背負わされた」と話すこのレース。狙うなら斤量に恵まれた馬だろう。ダノンヨーヨーは57キロのエプソムCで見せ場十分の競馬(0秒3差5着)をしながら、ハンデ56キロで出走できる。追い込みが決まる展開になれば、出番は十分あるとみた。
(栗東の坂路野郎・高岡功)