ダービートライアルとして重賞に格上げされたのは1994年。それ以前にも指定オープンとして、ダービーとまったく同距離2400mの「青葉賞」が1984年から10回行われている。シンボリルドルフの年からである。
指定オープン時代も含めて過去26回、青葉賞の勝ち馬は本番ダービーで[0-5-2-18、不出1]の成績。2着は藤沢和厩舎のゼンノロブロイ、シンボリクリスエス、古くはレオダーバンなど5頭もいるが、なぜか本番のダービーを勝った馬はいないという歴史がある。青葉賞2着馬は日本ダービーで[0-1-0-22、不出3]。1986年にグランパズドリームが2着した記録はあるが、ここは勝つくらいでないとダービーではまず通用しない。そこで、優先出走権はこれまでの3頭から、2頭に減ったと推測できる。
青葉賞といえば、1989年に2着して本番に出走したロンドンボーイに始まって、藤沢和厩舎のダービーに向けたステップレースの印象が濃いが、今年はなんと、ペルーサ(横山典)、ミッションモード(北村宏)、リリエンタール(安藤勝)。3頭も出走させてきた。それも同じ山本オーナーの所有馬である。
どうして? の同士討ちにも映るが、青葉賞の歴史を振り返ると、これは納得。ここを快勝するならダービーの展望ができるが、青葉賞を勝てないようではダービーなどおよそ無縁。同士討ちではなく、藤沢厩舎にとっても最終候補選定戦なのである。仕上げの手法、若駒のうちに無理をしない流儀から、牡馬クラシックには無縁のトレーナー。ここ数年は「3歳クラシック」に対する考えが微妙に変化したようにみえるが、ここをステップにそろそろ「ダービー馬」を送れるだろうか。
2分24〜25秒台ならダービーの勝ち時計と同じだから、必然的に展望は広がる(アドマイヤメイン、ハイアーゲーム)。2分26秒台前半の場合は、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイのごとく自身の上がりは楽々と「34秒前後」で、かつ明確な差をつけて完勝することが、最近のダービー好走馬のパターンである。全体レベルは非常に高いとされるが、もしここが大接戦では「ダービー候補」がいっぱい存在することになってしまうから、ちょっと苦しい。完勝する馬が出現してほしい。
東京2000mの2連勝が、ともに後半3Fを自身「11秒台の連続」でまとめた内容から、速い脚が長続きするとみて、人気でもペルーサ中心。自在型でレースの流れに乗れるのが強み。ゼンノロブロイ産駒はまだ1世代だけだが、レースセンスを問われる「トライアル」レースにきわめて合う印象を与えている。ペルーサも完成度は低くない。母の父は先日急死したバブルガムフェローの半兄で、インヴァソールを送って名を挙げた名種牡馬である。
トゥザグローリー、トウカイメロディ、ハートビートソング、同厩舎のリリエンタールなど注目馬が多いが、最大の伏兵は、幼さを出して精神的なスランプに陥っているサクラエルドール。好馬体とバリバリ動く調教の動きから、いつか快走するはずだ。