ダービーで華々しく散ったオオヤブ。自慢だった単勝3刀流も錆びつき具合がひどく、完全なナマクラ状態。にっちもさっちもいかない感じのオオヤブに救いの神が舞い降りた。灼熱の夏競馬突入直前、オオヤブは「修行の刻」に入る――。

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◆そろそろオオヤブのやり方にも限界が来た？

『不器用な男ですから』

　そんな健さんの名言を「男の渋さ」とは真逆なスットコドッコイのお調子者・オオヤブが呟いたのは、ダービー・デイで惨敗を喫してから1週間後。一度はうまくいった単勝3刀流がここにきてついに馬脚をあらわし、馬券を的中させてもオオガミ源太のユニバGで、ノックの本数をチョビチョビ減らすだけになってしまっている現状は、さすがにヤバいだろうって！

『僕の単勝3刀流はそろそろ限界なんですかね。けど、新しい必勝法を編み出そうにも、僕は不器用なもんですから……そうそう新技なんて浮かびませんっ！』

　それは不器用なんじゃなくて、お前に知恵と考える努力が足りないということ。まあ、馬券の買い方は居酒屋兆治並みに「ぶきっちょ」だけどな。

『というわけで、ここはひとつ、かの藤岡弘、隊長を見習って、山籠もりで開眼して新技を披露と行きたかったんですが、とりあえず高尾山レベルと思ってチャレンジしてみたら、僕の体と膝が「イィ〜、イィ〜」とまるでショッカーのように悲鳴を上げるんです。いやあ、参ったなあ(←藤岡弘、風)』

　じゃあ、どうすんの？　このまま現状維持かい？　もうすぐ夏競馬なんだから新しい展開が欲しいよなあ。

『もう僕の脳ミソじゃ限界です。誰かやさしく馬券の買い方を教えてくれる女神みたいな家庭教師どこかにいませんかね。スーツのメガネっ子で、こうキュッとスリットの入ったスカートはいて……』

　あっ、それいるいる。さすがにボンキュッボンの家庭教師とはいかないけど、めがねをかけたやさしい(？)先生だったらいるわ。今までのお前の馬券100本ノックのダメっぷりや、馬券の買い方を見てくれていて、すご〜く心配してくれている方が実はいてね。うんうん、これありだわ。6月の馬券100本ノックの実戦日にオオヤブをコーチしてくださいってお願いしとくから。つまり、馬券100本ノック「修行編」ってことで、こりゃ面白い。ウヒョヒョヒョヒョ！

『誰ですか？　あっ、イヤイヤイヤ、いま教えていただかなくてけっこう。楽しみは当日にとっておきます。う〜ん、ワクワクするなあ。夏を目前にして新しい出会い……体搾って夏仕様にしとかなきゃ！』

　せっかくなんで、まあ、ガチで揉まれちゃってくださいな。

『揉・ま・れ、るの？』

◆相変わらずのオオガミ連打で意気消沈

　そして中央開催も今週で終了という6月22日。東京競馬場に颯爽と現れたオオヤブ。どこかこう浮かれた感じが漂っている。

『今日は手取り足取り馬券を教えてもらって、100本ノックの捕球数を減らして、さらに儲けも出して。さあ、行きますか、コーチのもとへ。馬券王に俺はなる！』

　いやいや、向こうも忙しいし、今日は午後からの約束なのよ。とりあえず午前中はいつもの通り、単勝3刀流でも5刀流でもなんでもいいから、ひとりでがんばってくれ。

『もう、向こうも恥ずかしがり屋なんですね。まあ、いいですよ。午前中はウォーミングアップということで軽〜くいっときますか。でも、当たり過ぎちゃってコーチがいらない、なんてことになったらどうしよう!?』

　と、オオヤブの戯言は無視して6月の100本ノックがスタート。買い方は……やっぱり単勝3刀流。不器用なのか、意地っ張りなのか、面倒くさがりなのか……まあ、午後は修行もあるし、変えずにこのままの方が都合はいいか。

『今回の単勝3刀流は「ハイパー」の3連単を意識して、騎手の複勝率も使うことにしました。1Rは単勝が6.5.9の3頭。3連単は6の頭で2、3着に3.4.5.7.9.10.11。でも9と10の騎手の複勝率が低いのでこの2頭は消します。でも嶋田鞍上の6が軸っていきなり攻めてるでしょ。こういう派手な馬券を前もって獲っておいて、コーチにかっこいい僕をアピールするんですよ』

　すさまじい皮算用だな……。一応ちょっとだけ工夫をしてきたようだが、その甲斐なく1Rはハズレ。続く2Rはヒモでしか買ってなかった圧倒的1番人気が快勝してドボン。「いいとこ見せたい」という打算的な穴狙いじゃ、やっぱりうまくいかない。

『3Rは4.7.12の単勝と4を軸の3連単。2番人気の12が軸でもいいんですが、配当妙味を考えて5番人気の4を1着固定します。今日は僕、攻めたい気マンマンなんです』

　なんかずっと上の空だな、コイツ。そんなに午後が楽しみなのかね。

『あちゃ〜、3Rは的中しましたが12の単勝420円を100円だけ。払い戻し金は420円。馬券は3300円買っていたのでマイナス2880円。さすがにみっともない。つーか、かっこつけずに12を軸にすればよかった……』

　いやはや強烈なオオガミだな、と思っていたら、4Rも2300円分の馬券を買い、単勝は的中したものの、100円しか買っていないので払い戻しはたったの230円。またもや超オオガミで、的中させてもほとんど意味が無いっつーの！

『ダメだ、ダメだ、ダメだ……。また同じことの繰り返し。誰かは存じませんが、コーチ様、早く僕を一人前にしてください』

　そんな宗像コーチを見つめる岡ひろみのような瞳をして、串揚げ見つめるなよ！

◆いよいよコーチ登場！　その正体は、あ・の・ヒ・ト

　5Rの新馬戦も当然のことながらハズし、ここまでですでに約1万2000円ほど溶かしてしまったオオヤブ。しかし、ついにコーチからOKの連絡が入った。修行タイムに突入だ。おい、オオヤブ、これからコーチのところに向かうぞ！

『う〜ん、まだ心の準備が……。ドキドキしますね。一杯引っかけていいっすか？』

　で、向かう先は専門紙の記者室。そこから現れた本日のコーチを顔を見たオオヤブは唖然ボー然。

『か、か、かし、かし、かし、かしわぎさぁぁぁぁぁ〜ん』

「やあやあ、よく来たね」とやさしい笑顔で我らが「ノック部隊」を招いてくれたのは、日刊競馬の看板、予想界の重鎮・柏木集保氏。オオヤブが昔から憧れ、尊敬していた予想家でもあり(でも、コイツの新聞はなぜか東スポ……)、これ以上のコーチ役はあるまい。

『アワワワワ。コーチって柏木さんだったんですか？　ヒエ〜、今の僕にとってはAKBの柏木ちゃんと会うよりも、うれしいんですけど！』

　netkeiba.comの柏木さんの人気コラム『重賞レース回顧』は、『馬券100本ノック！』のお隣ということで、柏木さん自身も「なんだこれ？」と思って、ずっと読んでくれていたらしい。そしておバカなオオヤブのことを本気で心配してくれていたようである。

『う、うれしいです。柏木さんがついていれば100人力！　で、さっそく6Rを……』

「まあ、慌てずにゆっくり行きましょう。レースはまだあるし、そんなに飛ばしたら最後までもたないよ」

『い、いきなり注意された〜。うれしい〜』

現在の馬券的中数　26本
ゴールまで残り　74本

【次回予告】
オオヤブの前に現れた鬼コーチの正体は柏木集保氏。柏木さんの含蓄ある予想術を一言一句聞き漏らないよう、真剣に耳を傾けるオオヤブにいきなりキツ〜いダメ出しがっ!?

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【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・